The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

トホホ戦国ライダー決定戦 仮面ライダー×仮面ライダー 鎧武&ウィザード 天下分け目の戦国MOVIE大合戦

 もうすっかり公開も終わりに近づいて交代で「キョウリュウジャーVSゴーバスターズ」が公開されようという感じですけど、いまさらながら「仮面ライダー」の方の映画の感想。どうにも個人的にウィザード、鎧武と乗り切れないライダーが続いているのもあんまり盛り上がれない原因かなあ。鎧武は最初の1ヶ月で「ウィザードも盛り上がりきれなかったけど、まだましだったなあ」などと思ってしまう感じでした。それでもこれだけは観ておこう、というわけで、今年の「MOVIE大戦」のタイトルは「仮面ライダー×仮面ライダー 鎧武&ウィザード 天下分け目の戦国MOVIE大合戦」。相変わらずタイトルが長いです。

物語(ウィザード)

 謎のファントム、オーガが現れる。オーガの狙いはたくさんのファントムを喰らいより己を強力にすること。その最終的な狙いは晴人の中のドラゴンだ。一方晴人はコヨミとの思い出が詰まった希望の指輪を封印する場所を探す旅に出ていたがオーガに指輪を奪われてしまう。指輪を取り戻そうとする晴人たち。仁藤も再び仮面ライダービーストとなる。その前に消えたはずのコヨミが現れるが・・・

 ウィザードの方はTVシリーズの後日談、エピローグといった感じ。短いながらも戦闘シーンを中心によくまとまっている印象。今回はコヨミが白い魔法使いに変身してウィザードやビーストたちと戦う。コヨミ役の奥仲麻琴ちゃんはアイドルグループPASSPO☆のメンバーで、例によって僕はこの番組で彼女のことを知ったのだけど、そのあとで彼女たちのでてるバラエティ番組とかを見ていたら結構、素の麻琴ちゃんはだらしないというか、寝てる時が一番幸せというぐうたらな感じで「グヘヘ」と笑うしアクションとか全然できない感じ(だがそれがかわいい)なのでコヨミ役とのギャップが激しいですね。そんな彼女がそれなりにアクションも見せてくれるのでありました。
 後はTV本編でも晴人のキャラクター自体は嫌いじゃないもののどちらかと言うと主役より脇にいたほうが輝くタイプだったんじゃないかなあ、などと思うのだけれど、そのせいか後半はどちらかと言うと仮面ライダービーストのデザイン的にもキャラクター的にも正統派っぽい感じがとても良かったのですな。それでも今回は一度物語を終えたあとで晴人の物語のエピローグでもあり、きちんと主役の役目を果たしてくれました。
 ちなみにビースト役の永瀬匡は「八重の桜」で山本覚馬あんつぁまの後妻の時栄さんに迫って山本家をかき回す青木栄二郎を演じていましたが、あのドラマの中で八重さんの夫は仮面ライダークウガことオダギリジョー、そして山本覚馬の娘みねさんの結婚相手伊勢時雄は「仮面ライダー THE FIRST」の本郷猛と仮面ライダーに侵食されていく一家の物語でありましたなあ。ちなみに八重さんに想いを寄せていたっぽい(史実では違うと思うけど)山川浩はガオシルバー。
 新たな強敵オーガを演じるのはバラエティ番組とかで活躍している敦士で僕はあんまり知らないのだけど、モデルらしい長身の肉体にギラギラした感じの顔つきがオーガのキャラクターにはよく似合っていたと思う。
 ウィザードの方は総じてTVシリーズの延長線上でウィザードの世界だけで完結しているのでそつなく破綻のない仕上がり。エピローグとしてよく出来ていたと思う。
 すべてが終わり一件落着、と思ったところで謎の怪人が次元の裂け目から登場。ビーストをさらってしまう。ウィザードもそれを追うのだった。そこには謎の赤い鎧武が・・・

物語(鎧武)

 アーマードライダー達による「戦極バトルロワイヤル」が開催されている沢芽市。鎧武やバロンたちが戦う中、謎の怪人が現れる。次元の裂け目から怪人を追いかけるとそこは現代のようでありながら戦国武将がそれぞれの仮面ライダーを「武神ライダー」として擁立して争う戦国時代の世界だった。ある種のバランスがとれていた戦国時代の均衡を破ったのは武神鎧武と呼ばれる武神ライダーの出現。紘汰たちは本能寺の変に遭遇し、鎧武と武神鎧武が激突する。紘汰たちは武神ウィザードを擁立していた家康の世話になり、一方でバロンは信長の後を継ぎ、自ら天下統一に乗り出した。果たしてこの世界に平和は訪れるのか。そして武神鎧武の真の狙いは・・・!

 一方で「仮面ライダー鎧武」の方である。以前も書いた通り僕は「仮面ライダー同士が戦う」という設定はあまり好きではなく、鎧武の方も結局あんまり乗り切れていないのだが、それでもライダーのデザイン的には仮面ライダーグリドン、キャラクター的には仮面ライダーブラーボの凰蓮・ピエール・アルフォンゾが僕好みでその辺りから俄然面白くなってきた。正直デザイン的には鎧武もバロンもそんなに格好良く感じないんだよね。主役級では龍玄が一番いいかな。
 ただ、今回の映画ではグリドンは冒頭で少し出てくるだけ、ブラーボは全然出番なし(というか時間軸的にまだ出てきてない時期かも)で残念。映画における鎧武の世界自体も微妙にTVとはパラレルな感じもするがメインの舞台となるのはさらにパラレルな謎の戦国時代。そこは現代風戦国時代であり平成ライダーが武神ライダーと言う名で各勢力の守護神を務める世界だった。家康や秀吉、信長が出てきてある意味これも時代劇?と言えないでもないが、描写は正直しょぼい。「最後の猿の惑星」のラストバトルをよりこじんまりさせた描写が続く。一応オーズ擁する信長役で伊達さん(岩永洋昭)が出てきた時は格好良くてアドレナリンが上がったけれど(それにしても伊達さんなのに伊達政宗では無かったのだな。ちなみにまた髭生えました)、なぜか本能寺はキリスト教教会風。後はW擁する豊臣秀吉が照井竜(木ノ本嶺浩)だったり(所長・山本ひかるは寧々ではなく茶々さんだそうです)、フォーゼ擁する武将が歌星賢吾(高橋龍輝)だったり(家康と同盟を組んでるということで後北条氏かな?)、キバを擁する武将に753(加藤慶祐)だったりと友情出演は豪華です。
 ただもちろん今回はパラレルなんでWやオーズ、フォーゼがTVシリーズとは全く別物だし、変身後しか登場しないけれど、その声が違うと違和感があるのだなあ。できればそれぞれオリジナルの本人に演じて欲しかったです。
 晴人と紘汰、ミッチーが厄介になる家康はJOY。とにかく軽い。とりあえず「攘夷がJOY」の動画を貼っておきますね。


 武神鎧武は鎧武のオレンジアームズ部分が真っ赤になったような感じなのだけれど、鎧武もオレンジで違いがわかりづらい。また鎧武がイチゴーアームズになると彩色的には全く変わらなくなってしまうのでよりどっちがどっちだかわからなくなってしまう。武神鎧武が設定上、デザイン的には鎧武そのまんまなのはしょうが無いにしても色彩的にはもっとがらっと変えたもの(全身真っ黒とか)にしても良かったのではないかと思う。
 後半は晴人が合流し、独自に天下統一を目指すバロンを紘汰が説得してともに武神鎧武に立ち向かう。そしてフォーゼやオーズ、Wを模したロックシードを使いそれぞれ鎧武がウィザードアームズ、龍玄がWアームズ、バロンがオーズアームズ斬月がフォーゼアームズとなる。フォーゼアームズとWアームズは(元ネタをうまく取り込んでいるという意味では)格好良いけど、ウィザードアームズとオーズアームズはちょっとイマイチかな。そこにビーストとウィザードも加わって最終対決へ。

 やっぱり男泣きの傑作「MEGAMAX」や怪作「アルティメイタム」に比べるとつまらなくはないけれど数段落ちる感じは拭えない。特に鎧武篇は豪華なのかしょぼいのか判断に苦しむ部分が多数あり、普通に鎧武世界での物語として展開したほうが良かったのでは、と思う。あと、あれだなあ、W、オーズ、フォーゼまでで紡がれた微妙に地続きかもしれない世界観はもう(ウィザードはまだともかく)鎧武は違うんだろうなあという気はする。同じ架空の都市を舞台にしていても風都はまだ実際にあるどこか、という雰囲気があったのに鎧武の舞台は完全に架空の都市でリアリティをあまり感じないものなあ。とりあえず僕はブラーボとグリドンを応援しますよ。