The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

猿顔VS犀顔! ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE

 一人の漫画家によって長く続けられていくのが日本のマンガの特徴。一方でアメコミは出版社がキャラクターの権利を持っており、基本的に同じ出版社のコミックスは同じ世界観に属する。異なるタイトルのキャラクターが共演するクロスオーバーはアメコミの華である。日本では人気のあるキャラクターも中々共演というのは少ないがその数少ない例が今回観たモンキー・パンチ原作「ルパン三世」と青山剛昌原作「名探偵コナン」が共演する「ルパン三世VS名探偵コナン」である。元はTVスペシャルとして制作されたが作品だが、今回はその続編として新作が劇場公開。「ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE」を観賞。

 怪盗キッドの姿を騙ったルパン三世が宝石を盗む。それは峰不二子を人質とした相手からの要請による実力試しだった。本番としてチェリーサファイアという宝石を盗むこととなるルパン。銭形警部は佐藤・高木両刑事とともにチェリーサファイアを盗みに来たルパンに対応する。
 一方、東京にはイタリアのアイドル、エミリオが来日しコナンはそのボディーガードの中に次元大介の姿を確認。エミリオの滞在ホテルを突き止めた園子やエミリオの女性マネージャー、クラウディアに一目惚れした毛利小五郎に蘭とともに付き合いホテルへ。そこではエミリオに対してコンサートを止めるよう脅迫状が届いていた。やがて2つの事件が一つにつながっていく・・・

 というわけで、二大ヒーロー共演の銀幕版。僕はルパン三世は普通にファンだったけど、名探偵コナンの方は基本設定は知っているし、漫画もアニメも時々見るけれど特にファンというわけでもない、というレベル。というかコナンの方はそんなに昔という気がしないけれどそれでも連載開始が1994年だからもう20年近いんですなあ。
 元々この企画は2009年TVスペシャルから始まっており、今回も独立した物語、と言うよりは前作の物語を引き継いだ続編という趣が強い。一応僕も見ていて当時簡単に感想を書いていた。

小覇王の徒然なるままにぶれぶれ!: ルパン三世VS名探偵コナン

 ここで

「ルパン」のその他のレギュラーの方たち、どうしようもないことだけどやっぱり、往年と比べて声が衰えましたね

と書いているが、この後、ルパン側も栗田貫一のルパンと小林清志氏の次元大介を除いてレギュラーが総入れ替えとなり、劇場版という形では新レギュラーの初の仕事という形になるのか。これで現在シリーズ最初から声を演じているのは小林清志氏のみ、ということになる*1
 次元大介といえば、前作でコナンと擬似親子を演じたことも合ってある意味ルパンよりコナンとのコンビとしての意味合いが強いです。特に前半はほぼ「コナン&次元」という感じで二人の活躍が楽しめる。

 オープニングのそれぞれの作品のキャラクター(ルパンは第1期の再現)をルパンならコナンが、コナンならルパンがと互いのキャラが説明する件は良かったですね。物語としてはコナンの方はいわゆる推理モノとしての趣が強いのだと思うが、今回はルパン側に近い作りになっており、謎解き要素は殆ど無い。アクションも実はルパンよりコナンの方が(主に秘密兵器の扱いなどで)荒唐無稽に思える。僕はコナン側には特に思い入れがないからそう思うのかもしれないが。更にやはり絵であるな。ルパンはその長い歴史の中で色々キャラクターデザインも変わっているのでどんな感じでもそれほど違和感は覚えないのだが、コナンは原作者の青山剛昌の特徴が大きく出ている。これが正面からの絵はまだイイのだが、横顔となると鼻の部分がまるでサイの角みたいであんまりその絵に慣れていない僕には大変だった。いやそれでもこれが普段の「名探偵コナン」で全てが青山剛昌のキャラならそういう物だと思うので違和感は感じないのだが、今回はゲストキャラクターが全てルパン側に近いデザインになっているのでコナンのキャラと並ぶと余計に違和感が際立つのだな。特にイタリアの美少年エミリオよりも日本の子供の方が鼻が高い、と言うのは結構凄いことだ。多分ルパン側がもう少しコナン側に近づいたデザインにすると良かったのではないかなあ。

 少年探偵団をもてなす五エ門。ここで「日本は初めてですか」とか聞いてしまう少年探偵団が愉快。いや五エ門はどう見ても日本人だろう!
 後半になればなるほど前作との絡みが出てきて見てない人にはちょっときつくなっているが今回は日本から全く出ること無くまた思い返すと死者が(物語のきっかけとしては)出ていない。両作品の各キャラクターがうまく共演しているという意味ではよく出来た作品だったと思います。
 両作品のレギュラーはもちろん、ゲストのキャラクターには夏菜内野聖陽三浦知良が声を当てているのだけれど、このテの映画には珍しく長台詞もありながら全く違和感が無かったのは良かった。事前に知らなかった(知ってたけど観る気がなかったので忘れてた?)からかもしれないがエンドクレジットで「タレント吹替だったんだ!」とびっくりした。3DCGアニメは大げさな感じになるので違和感が少ないけど、普通のアニメや洋画吹替は違和感が大きいのが常だったのだが、今回は素晴らしかったですよ。

 さて、ルパンといえば本家のアルセーヌ・ルパンを描いた「怪盗ルパン伝 アバンチュリエ」も第2巻が発売中!いよいよ次は「奇巌城」ですよ!!

 そして「ルパン三世」の方も実写映画化の制作も発表されました。

『ルパン三世』が実写映画化、キャストに小栗旬、玉山鉄二、綾野剛、黒木メイサら

 どうやら全員日本人キャストでいくようですね。だいぶん前に噂になったジム・キャリーがルパンを演じる実写版というのはどうなったんだろう。個人的にはやはりルパンには無国籍で世界を股にかける活躍をして欲しいので日本よりもハリウッドで映画化して欲しかったですね。ルパン一味はルパンを除くと日本人名が付いているけれど特に日本人である必要はないと思っている。ルパンは1世の時か2世の時か日本人の血が混じっているという設定だったか、それでも名前からして白人(フランス人)でもいいわけだし、次元と不二子も日本人名だけれど実は人種・国籍不明という設定だった気がする(今現在は知らない)。銭形警部もキャラクターとしては昔気質の頑固な名刑事、という感じで必ずしも日本人で無くてもいいわけだしどうしても日本人でなければならないのは五エ門だけだろう。まあ実写版にもそれなりに期待してはいるけれど。
 
 今回の映画版はちょっと前作とのつながりが強すぎたり、そりゃ色々矛盾もあると思うけれどイベントムービーとしてはよく出来ていたと思います。両作品のファンならおすすめ。

*1:全員入れ替えた「風魔一族の陰謀」除く