The Spirit in the Bottle

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笑う「進撃の巨人」

 「進撃の巨人」は今年も大躍進。アニメも大成功しオープニング主題歌を歌った Linked Horizon は紅白に出場も決定です。てっきり小林幸子の巨大衣装を巨人に見立てて、と思ったら小林幸子は出場しないのですな。代わりに和田アキ子を巨人だと思ってやっつけてもらいたい。
 実写映画化も一時は中島哲也監督で企画されていましたが、それは頓挫し現在は樋口真嗣監督、町山智浩脚本(渡辺雄介と共同)で進んでいるそうです。「パシフィック・リム」上映会で観客の女性に「怪獣やロボットは俺たちのものであって、君たちのものじゃない!」と言った監督とアイドルが自分達の作った雑誌を持っていたら「女の子が急にマニアックなこと言い出したら、たいてい男の影響」と言った人の共同作業っていやあ一体どんなシロモノができるか楽しみでは有りますね。

樋口真嗣「パシフィック・リムは女たちのものではない!」 - Togetterまとめ
 
町山智浩さん「女の子が急にマニアックなこと言い出したら、たいてい男の影響。」に対する反応 - Togetterまとめ

進撃の巨人」のファンは普通に女性も多いと思うのだけれど。僕はこの二人を普通に映画関係者としてそれなりにリスペクトしてますが、こういう発言は正直げんなりしますね。いわゆるオタク趣味を女性に馬鹿にされてきたルサンチマンがどうこう、と弁護する向きもありますがそんなの中学卒業と一緒に卒業しとけよ!って思います。「映画秘宝」自体もとても濃密で好きな雑誌ですがこういう部分は好きになれません。
 僕自身は例えば同年代の女子に少なくとも表立って趣味をバカにされた記憶って無いのでよくわからないんですが(僕のオタク趣味の最初の師匠とでも言える人は同級生のお姉さん)、むしろこういう趣味趣向の違いで現実で影響をおよぼすのって異性間よりも同性間での方が大きい気がします。閑話休題
 それで「進撃の巨人」ですよ。第12巻を購入。物語はいよいよ巨人化の謎に迫るのかという勢い。アニに続いてユミル、ライナー、ベルトルトまでが巨人だったことが判明しエレンと秘密を握るクリスタを巡って調査兵団や駐屯兵団とライナー達の攻防戦が描かれます。

進撃の巨人(12) (講談社コミックス)

進撃の巨人(12) (講談社コミックス)

 作者の画力は相変わらず上手いのか下手なのかよくわからないけどとにかく迫力と勢いだけはある。という感じなのですが、時折見られる伏線の貼り方(アニの仕草やライナー達の態度)やコマの隅っこでまるでコントのように重大な秘密を打ち明けるライナーたちといった外しの魅せ方が見事。新刊が出るたびに既刊分を読み直したくなる作品。それでもこの12巻ではちょっと「んん?」となるところがあってそれが次の絵。

 いや、これは明らかに別の人が描いているだろう?!(これだけ見た方はわかりづらいかもしれませんがこの笑顔のキャラクターはミカサです)
 そこまではいかなくてもとにかくこれまでの画風とは違っています。単純に上手い下手で言えばこの3〜4ページ分ぐらいのミカサの顔ははっきりってこれまでの作者の絵より上手です(個人的にはギャルゲーぽくて嫌いな絵です)。でも作品の流れの中では明らかに浮いている。ミカサの表情だけでなくこのミカサの一連の動作がどうにも不自然です。右下のエレンの顔は普通通りですね。
 作者の諫山創の絵柄は時々キャラクターのかき分けがきっちりできていなかったりします。劇中で一番美人とされているのはおそらくクリスタ*1でしょうが僕は時々アルミンと区別がつかなくなる時があります。ミカサはもちろんエキゾチックな美人なんでしょうけど、ルックスに惚れているのはジャンだけだったような。とにかくこのシーンは結構な違和感があるのですな。
 で、僕はこのシーンを見て思い出したのは「新世紀エヴァンゲリオン」の第6話で碇シンジ綾波レイ
「ごめんなさい。こういうときどんな顔をすればいいかわからないの」
を受けて
「笑えばいいと思うよ」
と言った後の綾波レイのニコッという笑顔のシーン(TV版と「シト新生」ではかなり描きなおされている)。思うに作者は無理矢理でもこのいシーンのオマージュを挿入したかったのではないかな、などと思ったりします。


 ところで邦画で実写化するのはいいけどミカサのほぼ唯一の東洋人設定はどうなるんだろう。(ミカサに白人系の役者を起用して原作と逆にするという説もありますが、まあ今のところ原作でもその設定は特に表立ってないし、なかったコトにされる、が一番近いかなあ)

*1:僕のイチオシはサシャだけど