続・夕陽のガンマン を吹き替えで見よう!
劇場で観た映画の感想以外では、時折書いているのがTV東京「午後のロードショー」で見た作品。時々大好きな映画が放送されるとツイッターでまるで回し者のように宣伝してしまったりするのだが、4月木曜日は西部劇特集。「大いなる西部」のようなクラシックな名作とサム・ライミのマカロニ風味な「クイック&デッド」。そして名匠セルジオ・レオーネによる「夕陽のガンマン」と「続・夕陽のガンマン/地獄の決斗」という充実のラインナップ。
僕は「続・夕陽のガンマン」が特に大好きなこともあって今日は以前の「大脱走」の記事にならってちょっと書いてみたい。
荒野の用心棒
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夕陽のガンマン
むしろアメリカでは「荒野の用心棒」とシリーズのように扱われたのが「夕陽のガンマン」英題「For a Few Dollars More(もう一握りのドルのために)」でクリント・イーストウッド演じる「名無し」が賞金稼ぎとして活躍する作品。
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アメリカでは「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」「続・夕陽のガンマン」の3つをドル三部作あるいは「名無し三部作」としてシリーズ扱いするのが通例のよう。実際に物語的なつながりはないが、「続・夕陽のガンマン」終盤でイーストウッドがお馴染みのポンチョを入手するためあえて、イーストウッド演じる名無しが同一人物だとすると「続・夕陽のガンマン」「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」の順になるのだろうか。とはいえこの作品のイーストウッドはまだまだ浅慮で血気盛んな若者という印象もあるのでやっぱり別人だよなあ、と思うけれど。
続・夕陽のガンマン/地獄の決斗
で、今回一番楽しみにしていたのがこの「続・夕陽のガンマン」。僕は大好きな一本で何度も述べているがこれと「荒野の七人」そして(西部劇ではないけれど)「大脱走」をとにかく繰り返し観ていた時期がある。ただ僕が最初に「続・夕陽のガンマン」を観たのは2004年に発売されたDVD「アルティメット・エディション」で存在は知っていたものの意外に最近。しかしすぐにその面白さに打ちのめされてしまった。
物語は南北戦争の最中にイーストウッド演じる”善玉”ブロンディ*1、その賞金詐欺仲間である”卑劣漢”トゥーコ*2、そして殺し屋の”悪玉”エンジェル*3の3人が南軍の士官が隠した金貨を求めて時には騙し合い、時には手を組みやがて金貨の隠された墓地へと辿りつく・・・というもの。
僕の見たアルティメット・エディションは1973年にテレビ朝日の日曜洋画劇場で放送された吹替が収録されている。今回午後のロードショーで放送されたのもこのバージョンで当然ながらカットがされており、その部分は吹き替えは無し。DVDでは一部字幕で処理されていた。で、完全版では174分もの長尺な映画であるが(日本で劇場公開されたものはもう少し短いらしい)、二時間の放送時間からCMなどを抜くとおそらく110分ほどだろう。およそ一時間近くもカットされているわけだが、そのカットの仕方が興味深い。
というのはこの作品全て観ると英題タイトルロール「The Good, the Bad and the Ugly(善玉、悪玉、卑劣漢)」の3人の内、実質的な主人公はイーライ・ウォラック演じる”卑劣漢”トゥーコであることが分かる。実際イーストウッドは最初、自分が主役ではないことを知って出演をためらったとも聞くし、主役が誰かはともかく、見た後に強い印象を残すのはウォラックである。ウォラックはこの前に「荒野の七人」でオリジナルの「七人の侍」では印象の薄い山賊のボス、カルベラを演じて強烈な印象を残しているが更にそれを発展させたような役作り。ちなみにウォラックは1915年生まれの今年97歳だが今も役者としては現役で一昨年はユアン・マクレガー主演の「ゴーストライター」で短いながら強い印象を残した。てかあの時は予期せぬウォラックの出演に劇場で歓喜したのだが90代には見えぬ元気の良さだったなあ。
話を戻すと、TV放送版ではトゥーコの出番で物語に直接影響しない部分をカットして3人の比率を比較的イーストウッドよりにしている、と思う。やはりウォラック主演と言うよりはイーストウッド主演、という方が受けはいいのだろう。そのカットシーンの殆どはトゥーコのシーンである。「アルティメット・エディション」を吹き替えで見た時から一部字幕シーンがカットされたところなのだなあ、と言うのは分かっていたが、やはりそのカットされた状態で見るのはまた別。主なカットシーンは
- エンジェルが自分の雇い主を殺すシーン(「オレ悪いやつ」の部分だけ使われている)
- 賞金稼ぎがトゥーコを狙うがブロンディによって殺されるシーン(詐欺の前準備段階)
- エンジェルがビル・カーソン(金貨の隠し主)の情婦を脅すシーン
- ブロンディに捨てられたトゥーコが銃砲店を襲い、いろんな銃からひとつの銃を組み立てるシーン
- トゥーコがブロンディへの復讐のために仲間を集めるシーン
など。これらは前半に集中しているためTV放送版を見ると進行が早く感じる。中盤ではトゥーコが神父である兄のところへ瀕死のブロンディを連れて駆け込むところもカットされているが、要するにほとんどがトゥーコのシーンである。完全版は未公開シーンを一つの作品としてまとめあげた部分もあるので劇場公開時どのようだったかはちょっとわからないのだが、それでも編集によってトゥーコの出番を減らしブロンディを目立たせる、という意図は合ったのではないかと思う。
ただ、今回放送版を見てみて意外と物語の進行に問題はないというか(当然ではあるのだが)、大幅に出番をカットされたとはいえ、やはり見た後に印象に残るのはウォラック演じるトゥーコであるのだなあ。どちらかと言うとキャラクターの肉付けの部分がカットされたという感じか。
後はやはりセリフ回しも魅力的で特に吹替版はイーストウッドの山田康雄やリー・ヴァン・クリーフの納谷悟朗がどちらかと言うとそれほどしゃべるタイプのキャラクターではないのに対してウォラックの大塚周夫はとにかくしゃべり倒す役でもあるのでその人間臭さが魅力となっている。特に要所々々での罵倒やラストの「ごめんなさ〜い」は必見。
僕が所持している2004年の「アルティメット・エディション」の他にも色々とソフトは発売されているようで、レンタル店などで扱っているのは字幕だけで未公開シーンを別個収録の162分のバージョン(レンタル用は特典はないかも)。
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とにかく面白い映画なのでぜひ見てほしい一本。
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午後のロードショー放送作品や吹替という部分に重点を置いて紹介した記事。「マッドマックス」シリーズもついに「2」以外の2作も日本語吹替収録でブルーレイBOXが発売になりますよ!