キリアンを充実、略してリア充! レッド・ライト
ここ最近、気になる俳優の一人がクリストファー・ノーランの「ダークナイト*1」3部作のジョナサン・クレイン=スケアクロウや「28日後…」、そして去年の「TIME/タイム*2などで活躍したキリアン・マーフィである。とはいえ、まだ、出演作は全部チェックするよ!というほどではなく、この作品も予告編を観た段階ではスルーでいいかな、などと思っていた。ああ、ベテランのロバート・デニーロとシガニー・ウィーバーの主演作ね。キリアンはベテランを支える脇役という感じか、てな感じ。それが一転して劇場に観に行こう!と思ったのは先に見に行った人の評価が「キリアンを100%堪能できる作品」とかだったので、これは観ねばなるまい、と劇場に足を運んだのでありました。ちなみに日本の予告編では最初に錯覚がどうのこうの、という前置きが入っていて、「なんだか『シャッター・アイランド』の時と似てるなあ、どうせ大して関係ないんだろう?」などと思いながら観ていたのでほとんど内容を覚えておらず、実質キリアンが頑張ってる!という以外前情報ゼロで観に行ったのだった。
ポスターこっちは地味だったので冒頭に派手なの持ってきたよ。
物語
ポルターガイスト現象に悩む田舎の家に二人の男女が訪れる。大学で物理学を教えているマーガレット・マシスン博士とその助手のトム・バックリー博士。二人は一般に超常現象と呼ばれる様々な事象を科学的に解明してきた。その日もその家で起きるポルターガイスト現象を見事解決したのだった。
トム好意を抱く学生サリーもチームに加わり、インチキ霊能力者のトリックを暴き刑務所送りにした二人。そこに思わぬニュースが入ってくる。1960年代から70年代に盲目の超能力者として一世を風靡したサイモン・シルバーが復帰したというのだ。地元にもやってくると知ったトムはシルバーを調べるべきだと主張するがマーガレットは拒否。どうやら彼との間には因縁があるらしいのだが。そしてマーガレットの止めるのも聞かず、独自に調査を開始するトム。彼の周りで異常な現象が起き始める。果たしてシルバーは本当に超能力者なのか・・・?
予告編だと脇役みたいだったけど、キリアンはバッチリ主役です。ほぼ出ずっぱり。最初登場した時は髪型がちょっと60年代ぽくて、かつオープンリールの機材を使ってたりしてたのでてっきりそういう時代の話かと思ったりしたけれど舞台は現代。「TIME/タイム」の時は役柄もあってちょっと強面な感じだったけど、こっちはまた若返って繊細な大学の研究者という雰囲気にピッタリです。母親ほども歳が離れているシガニー・ウィーバーとの関係性も面白い。ただ主役なだけでなく色々な表情を見せてくれるので本当にキリアンを愛でる映画としては最高ですね。以上!
と、これだけでは何なので、本編についても。
この作品が始まって最初は幽霊屋敷ものなのかな、とか思ったりした。またシガニー・ウィーバーが大学教授ということで「コピーキャット」、デニーロが出てることで「ハイド・アンド・シーク」などを連想。もちろん「シャッター・アイランド」やキリアン絡みで「インセプション」なども。
何度か書いているけど、僕は超能力だとか心霊現象だとかはフィクションの題材としては大好きでも現実には全く信じていない人間。だから超常現象バスターである、シガニー・ウィーバーとキリアンの二人のチームなんかは非常に爽快であるのだが、日本でもTVとかでたまに出てくるがああいう自称超能力者みたいなのは人間のクズだと思っております。占い師はまたちょっと別である種の心理カウンセラーみたいなもので、相談者を元気づけて前向きにさせる分には結構だと思うが、どこぞの人みたいに「地獄に落ちるわよ」みたいなこと言って脅迫まがいの事する輩は取り締まって欲しいとか思いますね。さて、それでもさすがはアメリカというべきか。向こうの自称霊能力者はやることが派手で劇場に客を集めて口八丁手八丁で盛り上げる。単純にパフォーマンスとして一流で普通にそういう(トリックありの)ショーってことにすればいいのに、とか思ったりする。特にシルバーの弟子の人なんて顔もいいし口も上手いんだから下手にインチキなんてしなきゃいいのに。
伝説の超能力者、という触れ込みなのがデ・ニーロ扮するシルバーなのだが、デ・ニーロも作品によってニコラス・ケイジ並みに大げさな演技するよね。特に今回は役柄もあってか大げさな時はとことん大げさ。本人が演じてるのかどうか分からないが劇中で若いころのシルバーの映像、というのが流れるのだがこれがデ・ニーロというより、日本でのデ・ニーロのモノマネで知られるどーよのテルにしか見えなくて思わず笑ってしまった。ああいうモノマネ芸ってモノマネ対象の人の仕草とかを強調して芸にするのに、本人がやっちゃうんだからたまらない。自称超能力者だが、学者の検証の前ではしょぼいことしか出来ない、というのもいかにもな感じ。最後のショーではいきなり空中に浮いたりするのだが、さすがにこれは劇中の観客もネタだと分かっていたようだが。
シガニー・ウィーバーは90年代前半ぐらいが一番老けこんでて生気に欠けてる印象があって、「エイリアン4」ぐらいからまた元気が出てきて年齢を感じさせない美しさを発揮してる感じ。まあ元々大柄な女性で可憐な少女とかいうイメージとは縁遠いのだけど(なんといっても遅咲きで注目されたのが「エイリアン」のリプリー役)さすがにまたちょっと歳相応に老けこんできたかな、という感じ。彼女の演じるマーガレット・マシスン博士(マシスンという名前はSF作家のリチャード・マシスンから取ったのだろうか)は4歳の時から意識不明な子供がいてそのウィークポイントをシルバーの代理人の女性につかれてしまったりする。彼女は途中で退場してしまうけれど、キリアンとの擬似親子関係も興味深い。
ヒロインに当たるのはサリー役のエリザベス・オルセン。顔と名前でピンとくる方も多いでしょうがあの「フルハウス」のミシェルこと双子のアシュレー&メアリー=ケイト・オルセンのオルセン姉妹の妹。姉たちとともに子役として活躍していたらしい。ちなみにオルセン姉妹は生後8ヶ月で「フルハウス」のミシェルとしてデビューで、今26歳ですよ(エリザベスは24歳)。時の経つのは早いですね。もちろん姉たちとも似てるがアマンダ・セイフライドをもっと親しみやすくしたような感じか。
後は「ミスト」「キャプテン・アメリカ」などでその特異な風貌をいかして活躍中のトビー・ジョーンズが同じ大学のちょっとダメな教授を演じている。また、「ダークナイト ライジング」でキリアン演じるスケアクロウの裁判長にゴッサム追放刑に処せられて氷の張った河を歩かされた人なんかも出て来ましたね。この人名前知らないけど、小さい顔がまるでドクロのような風貌で一度見たら忘れられませんね。
タイトルの「レッド・ライト」とは緊急信号などのほか不協和音、場違いなもの、などという意味があるらしい。劇中でもインチキ霊能力者のショーに乗り込む前に事前に客の様子を観察し、その中で他の客と様子の違う人物をさしてレッド・ライトと表現したりしている(その人物は客の情報を得てインチキ霊能力者に伝えるのだ)。そしてその「赤い光」はシルバーの部屋の前の非常灯など劇中で効果的に使われる。劇中で起きた事象からレッド・ライトを除いていくと最後に残るのは・・・
ラストの大ネタは多少反則な気がしないでもない。ネタバレすると「実はトムこそ超能力者で、彼の周りで起きていた説明の付かない超常現象(主にポルターガイスト)は彼が無意識に起こしていたもの」という事なのだが、それでもまあ面白かったのでありはありなのかなあ。「ドリームハウス」でもクライマックスで突然それまでの主人公視点から幽霊視点の描写があったりしたが、こういういわゆる視点の転換は反則かもしれないけれど映画としてはありなのかもしれない。少なくともそれで面白くなるならそっちを優先すべきだと思う。
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まあでもね!とにかくこの映画はキリアンを愛でる映画なわけですよ。キリアンが好きな人はもちろん、少しでも気になる人は絶対観たほうがいいよ!というわけでラストにもう一回キリアンを!
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