The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

崖っぷちだよ人生は! 崖っぷちの男

 念願の「ダークナイト ライジング」まで後もうちょっとだぜ!ハッキリ言って他の映画観る気がしないぜ!とか言ってる間に7月も半ばになって、とりあえず軽めの映画を何か観ようと思って選んだのが「崖っぷちの男」。まあ人生常に崖っぷちみたいもんだしね。サム・ワーシントンが出てるという以外ほとんど前情報なし。

物語


 J・ウォーカーと名乗る男がニューヨークのルーズヴェルトホテルの見晴らしのいい部屋をとった。部屋に案内された男は念入りに指紋を消し、「無実を証明するために飛び降りる」と書いて窓の外に出る。やがて人々が気づき騒然、やってきた警察に男は「30分以内にリディア・マーサー刑事を連れてこい」と告げる。やってきたマーサー刑事は少し前に自殺の説得に失敗して警官を見殺しにしてしまったばかりだった。やってきたマーサー刑事の説得が始まる。その頃別の場所ではある計画が進行していた。果たして男の真の目的は何なのか?

 なかなかの快作でした。サム・ワーシントン演じる自殺志願(?)の男をめぐって警察やNY市民が翻弄される中、実は本当の目的は別にあって・・という話。サム・ワーシントンはその長い時間、ホテルの窓の縁のみに居場所を置いて物語は進行するけれど舞台向きのワンシチュエーション作品というのとも少し違う。映画ならでは展開だとも思う。始まって早々、男の目的が自殺ではない、ということが分かるのだが、最後の最後に実はかなり始めの方から観客も騙されていたことを知り、心地良い。
 原題は「Man on a Ledge」。翻訳かけたら「棚の上の男」と出た。古いホテルの窓の縁のことを「Ledge」と呼ぶのかな。実際は崖でも何でもないが人生行き詰まったことを表現する「崖っぷち」とかければ邦題はなかなかうまいと思う。これ、なんでも最初の脚本は10年以上前に書かれたものでシチュエーションを限定したサスペンスとしては「フォーンブース」や「セルラー」などと共通する要素があるが物語的に10年経って不況を経験したことで深みが出たと思う。実際劇中で「リーマンショック以来」という言葉が出てきたりする。


 今回キャストでびっくりしたのはエド・ハリスがすっかり痩せ&老けてしまって(ハゲはもともと)その演じたキャラクターとも相まってTVアニメ「ザ・シンプソンズ」のモンゴメリー・バーンズ社長(杜撰な管理で有名な原発の社長だ!)にしか見えなかったこと。とにかく憎たらしさ満点で直接あくどい描写が多いわけでもないのに凄い悪人に見える。
 すっかりおじいちゃんになったといえば驚いたのがウィリアム・サドラーでかつては「ダイ・ハード2」で悪役を演じ、「ショーシャンクの空に」「ミスト」などのダラボン作品のバイプレイヤー(「ビルとテッドの地獄旅行」で死神を演じたのもこの人だ!)として活躍した人。爬虫類っぽい顔つきで悪役が多かったのだが、今回はすっかりおじいちゃんになってしかもかなり美味しい役。見所。
 ワーシントンの弟は「キング・コング」「ジェーン・エア」のジェイミー・ベル。「キング・コング」ではまだ少年ぽいし、子役あがりらしく顔つきは童顔(背もそんなに高くない)。なんとなくかつてのセス・グリーンを思わせる感じ。今回はちょっとコメディ調で楽しい所も見せてくれる。

 一方女性陣はサム・ライミの「スパイダーマン」シリーズや「スリザー」などのエリザベス・バンクスがマーサー刑事を演じている。ちょっとクラシックなイメージだった「スパイダーマン」や「スリザー」に比べて現代的な女性刑事。初登場シーンもノーブラTシャツを魅せてくれる。
 ただ今回一番オススメは弟ジョーイの恋人アンジーを演じるジェネシス・ロドリゲス(すごい名前・・・)。その名の通りおそらくヒスパニック系でまるでマテ茶のCMに出てきそうな美女。金庫破りに際してかなり役立っている他、私服の他に途中で下着になり、今度はぴっちりラバースーツを着込んだり(最初からその格好でやればよかったのでは?)と素晴らしいシーンを多数披露してくれる。ミシェルとはまた違ったロドリゲス分を補充してくれる。とはいえ、多分しばらくしたらすっかり忘れて、また別の作品で出会った時には同じように「うひょー!!」って言ってそうだけど。
 とりあえず」IMF(インポッシブル・ミッション・フォース)はこの家族をエージェントとして一刻も早く雇うべき!
 後は今回感じたのはやはりニューヨークは特別だな、ということ。「スパイダーマン」シリーズでもさ散々、いざとなれば市民一体となってヒーローを応援したりするところを見せてくれるが、今回も似た感じのところがあった。最初は物見遊山で「早く翔べ!」とか囃し立てるのだが、だんだんワーシントンを英雄視し始める。「彼こそは我らの代表者、金持ちの犠牲者なのだ」と。そして最後は彼らが重要な役割を果たす。こういう展開がどうにも他の都市では想像しにくい。例えば東京の銀座あたりで同じことが起きたとしても囃し立てもしないがかと言って盛り上がりもしない気がする。
 勿論、悪徳警官もNY出身だったりするように光の面ばかりではないが、少なくとも「NYってやっぱいいよなー」と多少は思わせてくれる作品である。

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 さて、後は満を持して「ダークナイト ライジング」に備えるのみ!もう新作映画は観ない!*1とはいえ嬉しいことに一部の劇場では予習ということで「バットマン・ビギンズ」と「ダークナイト」の再上映があります、のでそれを見に行きたいと思います。特に「ダークナイト」は公開時8回か9回観に行ったけど、「ビギンズ」は劇場では一回しか見ていないのでもう一度劇場で見たい。なにげに新作ではビギンズの要素も重要なようだし、何より僕自身公開当時は結構低評価だったのに今は高評価に転じた作品。なのでもう一度見ておきたい(まあ何度も見てはいるんだけど)。
 とういわけでとりあえずまず「バットマン・ビギンズ」を見て復習しますよ。

*1:メリダ」はダークナイト後に観ます