The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

カー、セックス、ウソ&花嫁の友人

 4月は3月に余り映画を見れなかった反動からいつにもましてたくさん映画を観てしまい、その一方感想をブログに書くのが億劫になってしまったりしていた。そこでここでは感想を書き忘れていたものをまとめて載せたいと思う。一応劇場で見た映画に関しては絶対感想を書く、というのがこのブログの唯一のルールだから。いずれもちょっと難しい作品で要するに勢いで書くのが大変だった作品たち。

キャリー・マリガンのその一 ドライヴ


 アメリカ版「アジョシ」などとも言われた作品。昼は車の整備士をしながら時にカースタントマン、夜は銀行強盗の逃走を請け負う凄腕ドライバー。そんな彼が隣の部屋の母子と知り合い、懇意になるがやがてトラブルが起きる・・・という物。予告編で見たときは例えば助手席や後部座席にヒロインであるキャリー・マリガンを乗せながら凄まじいカーチェイスをする作品かと思いきやそれほどカーチェイスシーンは無かった。バイオレンス描写は満載で特にエレベーターでマフィアを蹴り殺すシーンは強烈。ただ即物的すぎて余り感情に訴えるものでは無いのだなあ。アメリカ映画では珍しいかも。ライアン・ゴズリング演じる主人公は表情に乏しく、むしろ背中に背負ったサソリのスカジャンで語る感じ。この若いのに技術的に完成されてて過去が一切明かされない感じは「魁!男塾」の剣桃太郎を思わせる。
 最初、白いスカジャンを着て、以下にも八〇年代な音楽がかかりピンクの書き文字で「Drive」とタイトルが出た時は思わず「だ・・だせぇ、本当に二一世紀の映画かよ」と心のなかでつぶやいてしまったのだが、まあスタイリッシュな作りではある。僕は余りのれなかったがハマる人も多そう。マフィアのボス(ロン・パールマン!)を倒すところとかがあっさりしてたのが残念かな。後はやはりタイトルに反してそれほどカーチェイスが出て来なかったのはもったいない。


 で、キャリー・マリガンがカワイイ!と思って引き続いて観たのがやはりキャリー・マリガン出演の・・

キャリー・マリガンのそのニ SHAME-シェイム-


 我らがマイケル・ファスベンダーがセックス中毒の男を演じる。NYのIT企業で働くファスベンダーはそれなりに成功し、金にも困らない男だがセックス中毒。毎夜コールガールを呼び、パソコンでアダルトサイトを見ている。さすがに会社のパソコンに画像の類(それもかなりハードなもの)を保存してたりする部分に及んでは「お前馬鹿だろ」と言いたくなるが、何と言っても彼はマイケル・ファスベンダー、イケメンだし会話能力もあるのでその気になればコールガールを呼ばなくても相手に困ることはない。しかし彼はきちんとコミュニケーションを持って臨んだ相手とはセックス出来ない。彼のセックス依存症はきちんとしたコミニケーションの持てないことの裏返しでもある。

 途中、唐突に男とまでセックスしてしまうのはびっくりしたが、要はセックスそのものが出来れば性別は関係なしということか。
 キャリー・マリガンはファスベンダーの妹、ジャズシンガーであるがいわゆるメンタル面に不安を抱えている役柄。ヌードは見れたが(正直それが目的だった)あんまり見て嬉しい描写じゃなかった。キャリー・マリガンのキュートさで言えば「ドライヴ」のほうが良かったね。

 この映画で出てくる女性で一番綺麗だなと思ったのは冒頭に出てくる彼女。ちょっとナオミ・ワッツ似。
 この映画の監督、名前が「スティーヴ・マックィーン」というのだが当然、あの「スティーヴ・マックイーン」とは関係なし。「ピラニア3D」で出てきた孫のスティーブン・R・マックイーンもいてややこしいので特に何も付けずマックイーンと呼ぶときは「大脱走」「荒野の七人」のスティーヴ・マックイーン、孫と併せて呼ぶときは大マックイーン、孫の方を小マックイーン。そしてこの作品の監督を呼ぶときは「シェイマックイーン」と呼ぶことを」提案したい。このシェイマックイーンはファスベンダーの盟友といってもイイ間柄らしく、作品にはすべてファスベンダーが出演している。
 

裏切りのサーカス


 原題が「TINKER TAILOR SORDIER SPY」。「鋳掛屋、仕立屋、兵隊、スパイ」という意味でジョン・ル・カレの長編小説を映画化。いわゆるスパイ物で英国諜報部MI6を扱っているので007を思い出すが雰囲気は全然別物。こちらのほうが圧倒的にリアルだろう。邦題「裏切りのサーカス」のサーカスとは英国諜報部の別名で司令官「コントロール」がスパイたちを猛獣のように操ることが由来か。とはいえサーカスではなんのことかわからないし、「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」という原題は韻を踏んでいて声に出して言いたくなるのでこれはカタカナに直すだけで良かったのではないかとおもう。

 映画は長大な原作を刈りこんでいるので人間関係(ただでさえ騙し騙され自分を偽るスパイの世界)が分かりにくいが物語そのものはとても面白い。1970年代前半を舞台にソ連の二重スパイをめぐってドラマが繰り広げられる。
 またイギリスらしく、友情を超えた男と男のロマンス(ブロマンスとか言うらしいですね)的展開も多い。主人公ジョージ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)とコントロールの関係もそれっぽい。というか劇中で明確に描かれるのはベネディクト・カンバービッチ演じるピータ・ギラムが同居している教師に別れを告げるシーンぐらいでその他は普通に結婚もしてる。どちらかと言うと戦国武将的な衆道に近いのかな、という気もする。

 で、以前「ジョン・カーター」を見た時に「だれかそろそろマーク・ストロングに善良な役を演じさせてあげてください!」と書いてその直後ぐらいに本作を見たわけだが、ここでのマーク・ストロングは善悪を超えたキャラクター。個人的にはスマイリーより、彼のほうが主人公として見ていたいですね。
ゲイリー・オールドマントム・ハーディが出てることでちょっとした「ダークナイト ライジング」前哨戦映画。ハッキリ言って一度見ただけでは分かりにくいのでもう一度見たい作品。

 で、「裏切りのサーカス」が非常に男臭い映画だとすれば対照的に女性の映画が・・・

ブライズメイズ


 最近、実は自分の好きなジャンルってアメリカのコメディ映画なんじゃないか?という思いが強くなったりしている。いや、勿論以前から好きだったのだが、SFやホラー、ミュージカルと並ぶくらい好き、というか自分と相性がいいんじゃないか、と思ったりしている。自分ではあんまり意識していなかった*1のだが例えばドリームワークス系のCGアニメ映画では声の出演でサタデー・ナイト・ライブ出演のコメディアンがたくさん出演しているし、「アメリカン・パイ」や「スーパーバッド」のような学園コメディ映画も大好きだ。今回観た「ブライズメイズ」も主演のクリスティン・ウィグは実は結構見かけている人だったりした。

 「ブライズメイズ」とは花嫁の介添人のこと。友人が結婚することになった主人公が新郎側の友人達とブライズメイズを務めることになるが、上流階級である彼女たちとはどうもしっくり来ない。自分が一番花嫁の親友のはずなのに!というコメディ。「ヤングアダルト」と「ハングオーバー!」を合わせたような、という声はたくさん聞いた。
 とにかく女性同士のリアルな会話が面白いし、出てくるキャラクターも強烈。ただ「サニー」を見てしまった後だとちょっと物足りないかな。クリスティン・ウィグは「宇宙人ポール」などにも出ていた女性コメディアン。充分美しいがこういう女性がスタンダップ・コメディアンをやるところが日本とは違うか。その他には「X-MEN ファースト・ジェネレーション」でモイラ・マクダガートを演じたローズ・バーンが主人公のライバルに当たるヘレンを演じている。
 個人的に好きなのは喧嘩した警察官の気を引くため目の前で何度も交通違反を繰り返すシーン。

 
 本当は映画を見たその日、あるいは次の日くらいには感想をあげられるのがベストだと思うのだがパソコンの調子が悪かったり全体的にスランプ気味で難しめの映画はつい先延ばしになってしまう。でも伸ばしたところでいい文章が書けるわけでもなく、映画の内容を忘れたりして勢いが無くなるだけなのでできるだけ速く感想を書きたいと思う(と言いつつ、現在3本保留中)。

*1:まあ、日本語吹き替えで見ることが多いので