夢見るマペットショー! ザ・マペッツ
昔からNHKの人形劇が大好きで「プリンプリン物語」とか「三国志」とかジャンルを問わず見ていた。リアルタイムでは見れていないが「新・里見八犬伝」はノベライズ?が家にあってそれを読んでいたのでこの間NHKで一部が放送された時は非常に嬉しかった。
海外の人形劇も「サンダーバード」などのスーパーマリオネーション物から人形劇とは少し違うが「セサミストリート」まで。今回観た「ザ・マペッツ」の元になった「マペットショー」や「マペット放送局」も少しは見ているはずなのだが残念ながらキャラクターの名前と外見ぐらいしか覚えていない。
物語
田舎町スモールタウンで育った、人間のゲイリーとマペットのウォルターの兄弟。ウォルターは「マペット・ショー」の熱狂的なファンでゲイリーとその恋人メアリーのロサンゼルス旅行に同行して、夢に観たマペットスタジオを訪れる。しかしかつては栄華を誇ったマペット・ショーの劇場やスタジオも今や荒れ果て廃墟と化していた。そこでウォルターはスタジオを取り壊して地下の石油を掘ろうとしているリッチマンの野望を知る。
ウォルターたちは既に引退したカーミットの屋敷を訪ねる。ウォルターの熱い思いに打たれたカーミットはスタジオを買い取るための1000万ドル集めるチャリティーショーをするべくかつての仲間を集めることにした!
ご存知ジム・ヘンソンの想像したマペット達による映画。てっきり「セサミストリート」のキャラクターも出てくるものとばかり思っていたのだけど、番組が違うのかそっちは出てこない。でもカーミットはかつて「セサミストリート」に出ていたことがあるようだし確か「マペット・ショー」と「セサミストリート」は世界観は同じはずである。2004年にジム・ヘンソンプロダクションがディズニーに買収されたこと(この映画はディズニー映画)と関係あるのかしら。
世界観がかなり独特でマペットと人間がほぼ当たり前のように一緒に生活している世界である。ゲイリーとウォルターは兄弟ということになっているが一体どういう経緯での兄弟なのかさっぱりわからない。ウォルターだけ養子なのかそれとも普通に人間から生まれてくるものなのか。そもそもマペットって生まれてくるのか作られるのか。なんとなく「キン肉マン」の超人、という概念に近い気がする。まあかぎりなくおおらかな世界観ですね!
おおらかなのは歌にも現れていて映画の住人たちはミュージカルに自覚的というか楽屋落ち的な存在。ロサンゼルスに旅立つウォルターたちと一緒に歌う部分ではウォルターたちがバスに乗って旅立つのを見届け「やっと行ったか」とか行って住人達が倒れこんだりしている。こういう楽屋落ち的な部分は好き嫌いも分かれそう。
とはいえ、ショービジネスを舞台にするミュージカルと言う意味では至極まっとうな映画で物語も「かつての仲間を集めて再びショーをし、劇場を救う」というよくある物語。まあミュージカルは物語は単純な方がいいですよ。
で、僕は先述した通り、キャラクターのうち何人かは名前と外見は知っていたんだけどその人となりまでは知らなかった。カーミットは外見はよく知っていたけれど具体的にどんなキャラクターかは分からなくてなんとなくエルモ(セサミストリート)の延長線上、要は子供っぽいキャラで想像していたら、思いのほかおっさんキャラで少しびっくりした。
マペットたちは主に人間がそのまま人形になったようなタイプ、動物が擬人化したタイプ、その他、と大きく3種類に分けられるがその間には特に差はないようでカエルのカーミットと豚のミス・ピギーがカップルであり仲間の間をかき乱す。その他暴れん坊のドラマー、アニマルやゴンゾなどが印象深い。
でも、一番はやはり新キャラクターであるウォルターで彼が超かわいい!ゲイリーと兄弟だがゲイリーが成長する一方で彼は肉体的には成長しない。精神的にも最初からある程度大人な一方、やはり成長しないので最終的にはゲイリーに抜かれている。ある意味ウォルターの方こそエルモっぽい部分がある。彼とゲイリーはとても中がよく互いを想い合っているのではたから見ると微笑ましいが、ゲイリーの恋人メアリーからすると二人の間にいつも存在するちょっと邪魔な人。悪い人でないだけ逆に扱いが困る、という感じ。僕はこのメアリー視点のウォルターを見て「スクール・オブ・ロック」のジャック・ブラックや「ハングオーバー!」のザック・ガリフィアナキス。あるいは「ショーン・オブ・ザ・デッド」のニック・フロストといった辺り。ウォルターはこれらほどではないけれど似た感じで彼女持ちの友人にまとわりつく感じ。友人は大事に思ってるが恋人は邪魔者だと思ってる。とか思ってたら後にジャック・ブラックとザック・ガリフィアナキスが出てきてびっくりした。この二人はゲスト出演にとどまらず、大活躍する(特にジャック・ブラック)。
人間キャストはゲイリーにジェイソン・シーゲル(脚本と製作総指揮も)とメアリーにエイミー・アダムス。シーゲルは顎の割れた典型的なアメリカ人という感じ。メアリーと付き合いつつウォルターにも愛を注ぐ。ウォルターとゲイリーがそれぞれ人間とマペットになった自分を横にデュエットするときも子供のような青年である人間ウォルター(タンタンが成長した感じというか若いジュード・ローという雰囲気。ウォルターの声を演じている人なのかな))に対してマペット化しても顎割れもみあげたっぷりの濃い男風。でもその人間の良さがにじみ出ている。
一方、ヒロイン(この映画におけるヒロインはミス・ピギーとメアリーの二人)エイミー・アダムスは「魔法にかけられて」に引き続いてのディズニーミュージカル出演で歌うシーンもあるが「ファイター」の頃より更にふっくらした感じでかなりムチムチしてるのだがハッキリ言って好みです。
更に見せ場は悪役リッチマンとして登場するクリス・クーパーで、部下のマペットに「悪役笑い」を強要したりする。しまいにとても似合わない、でもとてもキュートなラップまで披露する。
後は「ソーシャル・ネットワーク」で弁護士を演じていたラシダ・ジョーンズがマペットショーを放送するTV局の重役を演じている。
マペットは劇中では特に誰かが操作しているわけでもなく、そのにヌイグルミ然としながらも実に自然に人間との共演している。この辺おなじジム・ヘンソン作品でも「ダーククリスタル」や「ラビリンス/魔王の迷宮」のリアルな造形故に人間と絡んで違和感がない*1、というのとは少し違う。
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ゲスト出演も豪華で先述のジャック・ブラック(本人役)とザック・ガリフィアナキスの新旧ウザキャラ共演に始まって(といっても絡むシーンは無いけど)、それぞれの人脈か「スクール・オブ・ロック」にも出てたサラ・シルバーマンや「ハングオーバー!」のケン・チョンなんかも出ている。あとは本人役でウーピー・ゴールドバーグやセレナ・ゴメス、ジャド・ハーシュなどが出てる。なにげに僕はよく見かける「天才少年ドギー・ハウザー」ことニール・パトリック・ハリスも出演。彼も歌がとても上手いので、歌うシーン見たかったな。
ジャド・ハーシュが「TMNT(ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ)出てる?」というシーンがあったりするのだが、そういえば「TMNT」最初の実写映画シリーズとTVシリーズはジム・ヘンソンプロの手がけたものだったなあ。もしもTMNTとマペットショーとセサミストリートが同じ世界の出来事だとすると必然的に「パワーレンジャー」も同じ世界ということに*2!
映画はラスト、ショーの盛り上がりと危機を一度逃げ出したウォルターが思わぬ才能を発揮して場をさらう。この辺はちょっと感動的。僕も思わず真似をしたくなりました。
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この映画上映館が限定されてて客の入りも散々だったりするのだが、大人が見ても子どもと一緒に見ても同等に楽しめる作品だと思うので、既に上映回数も減って入るけれどぜひ見て欲しいと思う。