元祖相棒再び! シャーロック・ホームズ シャドウゲーム
久々の映画鑑賞。話題作は続々公開されているが、とりあえず先日はヒット作の続編、「シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム」を鑑賞。
物語
1891年、ヨーロッパ各地で相次いで爆破テロが起こっていた。名探偵シャーロック・ホームズはこれらは全て一人の人物「犯罪界のナポレオン」ことジェームズ・モリアーティー教授が黒幕だと睨んでいた。
結婚前夜、独身最後の夜を楽しもうとする、ワトソンとホームズ。そこにはホームズによって兄のマイクロフト・ホームズだけが呼ばれていた。ホームズの目的は証拠の手紙に書かれていた人物の妹であるジプシーのシム。シムの命を狙う暗殺者を撃退するホームズ。
二日酔いの状態で無事結婚式を迎え新妻と新婚旅行に旅立つワトソン。そこにモリアーティ教授の使いから呼び出しを受ける。対面したホームズに教授は「手を引かなければワトソン夫妻の命を狙うと警告、ホームズも受けて立った。
新婚旅行中のワトソン。敵が襲撃し忍び込んでいたホームズによって妻を(安全に)列車から放り投げられてしまったワトソンはしぶしぶ彼と再タッグを組む。ヨーロッパ全土を巻き込む巨大な陰謀にホームズとワトソンの名コンビが立ち向かう!
前作の感想はこちら。
元祖であり最も有名な名探偵であるシャーロック・ホームズの活躍を描いた冒険活劇の2作目。「冒険活劇」と今書いたが前作は推理モノというよりアクションに重きを置いた作品だった。またホームズもさることながら(変人としてのホームズを丹念に描いていた)相棒であるワトソンの存在を重要視していたのも特徴でタイトルにこそ入っていないがワトソンは堂々ともう一人の主役と言えると思う。
2作目となる本作はホームズとワトソンのコンビを描きつつ原作でホームズ最大の敵といえるモリアーティ教授、頭脳では弟を凌ぐと言われる兄のマイクロフトなども出てきてより原作に近い展開とも言える。とはいえやはりそこはアクションが面白い。前作では事前にホームズがその後のアクションをシュミレーションしてその後素早くそのとおりにアクションする演出が話題になったが、前作の時点では多少もたついていて物語のテンポを壊す部分があったが、今回は洗練されて物語の邪魔にはなっていない。また推理モノだと関係者を一同に集めて真相を話す、という展開などが定番だがこの映画では推理部分もアクションと同じレベルで展開される。これは少し分かりにくいかもしれないがくどくど説明するよりは(少なくともこのシリーズ)には合っていると思う。
キャストは前作に引き続きシャーロック・ホームズにロバート・ダウニー・Jr。アイアンマン=トニー・スタークと並ぶ「天才だけど変人ヒーロー」を物にしているが変人部分は前作より増えているかな。前作は見なおしていないので忘れてる部分もあるのだけど今回は何度かあるホームズの変装も見所でよく見りゃホームズだけどパッと見は別人に見えるという微妙なリアリティを持っている。特に予告編でも見られたやっつけ感満載の女装は楽しくて後述するが日本語吹き替え版だと別の楽しみもある。
ワトソン役も引き続いてジュード・ロウ。本作ではホームズより美男子で、常識があって収入も安定してて(彼は元軍医の医者)、運動神経も頭も決して悪くない、というある意味理想の人物(アフガニスタンでの戦傷で足を引きずってる描写もあるがアクション時は物ともしない)。今回はいよいよ結婚し、ホームズとのコンビも解消、というその時に巻き込まれてしまう。原作のホームズ作品の多くはワトソンが執筆している設定だが、劇中でマイクロフトも言っているとおり(そして僕も前作の感想で指摘したとおり)ホームズを際だたせるために自分を控えめに書いているのだろう。今回の描写を見るとワトソンも勿論ホームズとの友情は大切にしているが彼の優先度は妻の方に向いており、ワトソンへの依存度が高いのはむしろホームズなんですな。なんとか幸せになろうとするワトソンをホームズがあの手この手で取り戻そうとしているように見える。前作でもコンビというよりまるで恋人同士かのような二人の描写は話題になっていたが意外にそういう視線で見た場合ホームズの一方的な片思いに思える。このシリーズ女性側の明確な(ホームズと恋に落ちるような)ヒロインが登場しないため、一応同性同士でいちゃいちゃしてる描写が色々と感じとれるようになっており、そのへんも人気なのだろう。
何かに似ている・・・は!これだ!
一回戦終了の図。
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その他のキャストはモリアーティ教授にリチャード・ハリスの息子でもあるジャレッド・ハリス。原作の痩せた陰鬱な容貌とは異なり(参照ウィキペディア「ジェームズ・モリアーティー」)堂々とした雰囲気の紳士。劇中では簡易ながらオペラも披露。ラストのラストで原作「最後の事件」につながったのはびっくり!
一応ヒロインという形なのはジプシーの占い師であるシムを演じるノオミ・ラパス。「ドラゴン・タトゥーの女」スウェーデン版のリスベットですね。
個人的に一番嬉しいのはシャーロックの兄であるマイクロフト・ホームズの登場。この人物頭脳の優秀さでは弟をしのぎ、ホームズをして「イギリス政府そのもの」と言わしめる人物だが、出不精の肥満体質で官庁と自宅、彼が発起人である秘密社交クラブ「ディオゲネス・クラブ」との行き来しかしていないイメージ。現場に出向き捜査するホームズと対照的に安楽椅子探偵といった感じだろうか。今回も自宅では婦人(ワトソンの新妻)の前でも平気で全裸で過ごす(おそらく本人はセクハラのつもりは毛頭なく普段通り過ごしているだけなのだろう)シーンがあったり変人ぶりでは兄弟でよく似てる。このマイクロフトが結構な活躍をする。それもこれも事件が全ヨーロッパ規模だからなのだな。演じているのはスティーブン・フライ。
個人的にはマイクロフトこそが「007」シリーズMI6の初代Mなのだと信じているが映画「リーグ・オブ・レジェンド」ではモリーアティ教授こそが実はMであったという設定だった。
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前作から順当にパワーアップしたまっとうな続編。個人的には文句なしです。後はロバート・ダウニー・Jrが出てるからかもしれないけどアメコミ的な雰囲気がこのシリーズからは感じられる。のでこのシリーズと並行して「アルセーヌ・ルパン」シリーズを作ってですね、7〜8年ぐらい後に1900年あたりを舞台にして「ルパンVSホームズ」を映画化してはいかがでしょう!勿論ルパンの客演的なホームズ(ショルメス)ではなく対等なヒーロー同士の対決!という形で。今ならそういうのもありな気がします!
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吹き替え
それでですね。今回は日本語吹き替えで観たのですね。というのも前日に「アイアンマン」をソフト吹き替えで見ていて、事前に調べたらロバート・ダウニー・Jrの吹き替えが同じ藤原啓治さんだったので、そのまま行こうと思って積極的理由から吹き替え版を選択。で、これが個人的に大正解だったと思っている。主役二人(ジュード・ロウはシュー先生こと森川智之さん)はもちろん、モリアーティ教授役が「タンタン」のサッカリンに引き続き安定の「悪い教授」である森田順平さん。はっきり言ってジャレッド・ハリスその人はカリスマ性では主役二人に大きく負けるけど、森田さんの吹き替えで二人に負けないものになっている。
後は僕が勝手に連想しただけで多分製作者は勿論日本語吹き替え版のキャスティングの人も考えていないと思うけど女装したホームズがアクションを終えて一段落した時、口紅が左右に広がって(ヒース・レジャーの)ジョーカーみたいになってるシーンがある。ご存知のようにソフト版でヒースジョーカーを演じているのは藤原啓治さん。なのでこのシーン妙にロバート・ダウニー・Jrがジョーカーに見えてしょうがなかった。
その他しっかりした役者さんたちが吹き替えをしているので、この作品映像的にしっかり画面を見ていたい部分もあるし吹き替え版もオススメです。
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