The Spirit in the Bottle

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地下抗争、新展開! アンダーワールド 覚醒

 ここ最近、「TIME/タイム」を観て「これは吸血鬼映画の変種だ」と言ったり、またその「TIME」でも例に挙げたが前回の「ハンター」ではウィレム・デフォーサム・ニールが出てることで「デイブレイカー」を話題に出したりした。また遡れば今年最初に見た洋画は「フライトナイト/恐怖の夜」だったりでここ最近なんとなくだが「吸血鬼映画」に縁が深い。今回は吸血鬼と狼男の長年の抗争を描いた「アンダーワールド」シリーズ最新作、「アンダーワールド 覚醒」を観てきた。そういえば「ドラゴン・タトゥーの女」のリスベットも観る前は本作のセリーンのイメージの延長線上で考えていたのだったな。

物語

 ヴァンパイアの長老マーカスと狼男の始祖ウィリアムを倒し、アレクサンデル・コルヴィナス直系の混血種であるマイケルと結ばれた処刑人(デスディーラー)セリーン。しかしこれまで人知れず抗争を繰り広げていたヴァンパイアとライカンの存在が人類に知られ、人類は「非人類種」の粛清に乗り出した。セリーンとマイケルも逃亡しようとするも抵抗むなしく捕まってしまう。
 セリーンが冷凍睡眠の状態から目覚めるとそこは謎の研究室。脱出したセリーンはヴァンパイアの青年であるデヴィッドと知り合う。セリーンは自分と視覚を共有する人物をマイケルだと信じライカンに襲われているところを助けに向かう。しかしそこにいたのは謎の少女だった。
 セリーンとデヴィッド、そしてイヴと名乗る少女はヴァンパイアたちの隠れ家へ向かう、そこで判明したのはイヴが混血種でセリーンとマイケルの娘だということ。ヴァンパイアたちのリーダーでデヴィッドの父は長老を殺したセリーンをよく思っていなかったがデヴィッドは人間に立ち向かうにはセリーンが必要だという。やがて隠れ家も襲撃されるがそれは人間ではなくライカンだった・・・

 というわけで1作目「アンダーワールド」2作目「アンダーワールド エヴォリューション」に直接続く続編である。前作の「アンダーワールド ビギンズ」はライカンの始祖であるルシアンの革命人生を描いたものでむしろこちらが外伝に近い。前作の感想はこちら。

小覇王の徒然なるままにぶれぶれ!: アンダーワールド ビギンズ

 作品の冒頭で、これまでの流れは説明されるので元の映画を観ていなくても問題なし。今回は元々の主人公であるセリーンをケイト・ベッキンセールが三度演じている。とはいえ観ていればより楽しめる形。僕はというとこのシリーズはすべて劇場で鑑賞済み。ただ、今回はこれまでのシリーズで強烈な個性を発揮していたヴィクター、ルシアン、マーカスと言った連中が登場しないのでそのへんは残念(マイケルは正直どうでもいい)。また前作の「ビギンズ」はヴァンパイアに奴隷として虐げられていたライカンたちの革命物語ですっかりライカンに感情移入していたので今回は悪役になっているので切り替えが少し大変だった。

 物語は相変わらずスタイリッシュなセリーンことケイト・ベッキンセールが黒いボディスーツでキメキメのアクションを見せてくれる。ストーリー的に「ん?」という部分がないでもないけれど、次から次へとアクションが押し寄せるので観てる時はそのへんを感じさせない。ケイトさんは相変わらずのケイト・別嬪セール(オヤジギャグスイマセン。いろんな所で言われてるんだなろうなあ)ぶりで、さすがにシーンによっては年齢を感じさせる部分もあるもののその美貌は文句のつけようがない。まさにヴァンパイアのようである。彼女がアクションのメインであるわけで、両手に銃を構えたマトリックス風のものから、手にしたナイフ(メス)ですれ違いざまに複数の人間を切り裂いたり等多彩。ヴァンパイアだけあって普通の人間より身体能力的に優れているわけだけどそのへんをよく見せてくれる。
 この映画冒頭思わせぶりなイケメンが何人か出てきてはあっさり退場したりするのだけど、その中でしぶとく生き残るのはデヴィッド。でもその父親のほうがヴィクターを思わせて心地良い。
 キーパーソンになるのはスティーブン・レイ演じるレーン博士でこの人が人類による非人類種粛清を煽る。僕は粛清シーンも含めてこのキャラに「デビルマン」の雷沼博士を重ねた。だが後半になって実はこの人がライカンだったということが判明する。すると人類にヴァンパイアやライカンの存在をリークしたのは最初からこの人が仕組んだことだったのだな。この作品、作品ごとに種族の善悪が入れ替わるのであるが今回のライカンは完全に悪者として描いてある。スティーヴン・レイは「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」でパリの吸血鬼サンティアゴ(サンチャゴ)を演じていた。吸血鬼と狼男を両方演じた人って意外といないんじゃないだろうか。クリストファー・リーも演じてないよね。ロン・チェイニー・ジュニアは狼男、ミイラ男、ドラキュラ、フランケンシュタインの怪物と四冠らしいですが。また彼の息子としてイヴの力を取り込んだ銀の効かない超強力ライカンなんかも登場。ただ、前作までの着ぐるみのウィリアムに代表されるライカンや狼男*1の巨大な狼風のに比べると獣人風で威厳が無いのが残念。
 もう一人のキーパーソン、マイケルとセリーンの遺伝子上の娘(多分試験官ベイビー的なものと思われる)イヴを演じたのはインディア・アイズリーという少女。彼女はあのオリヴィア・ハッセーの娘さん。でも父親布施明では無いです(布施との離婚後再婚した人との娘さん)。白い服をずっと着ていて変身すると顔が怖くなるので個人的に「ザ・リング」のサマラを思い出す。

 物語はやはり研究所で冷凍睡眠させられていたマイケルがどこかへ逃げ出し、それを追うセリーンとイヴにセリーンのナレーションがかぶる。この映画で良かったのはとことん「非人間種」の視点で描いていること。人間なんて彼らから見れば敵でしか無い。最後は「ヴァンパイアは立ち上がる!」みたいなセリーンのセリフで締められるのだ。
 
 今回はIMAXの3Dで観たのだけれど、3Dがうまく機能していたかはよくわからない。ただ全体的に暗い画面の作りながら、「フライトナイト」を観た時のような暗すぎて困る、ということはなかった。
 で、IMAXの予告編では「ダークナイト ライジング」と「アメイジングスパイダーマン」が流れた。「ダークナイト〜」の方はアメフト会場が陥没するバージョン。そして「アメイジング〜」の方は3D効果が抜群のスパイディがぐるんぐるん飛び回るもの。今回はヒロインがMJじゃなくてグウェン・ステーシーなのだけど予告編を見るとむしろストーリー上グウェンの父親であるステーシー警部が重要な役割を持つためにヒロインに起用されたように思われる。エマ・ストーンは金髪でも美しいけど赤毛のMJのほうがエマ・ストーンには合ってるような気もするなあ。


 映画館ではこの2作品のポスターが並んで飾ってあったのだけど、色調が一緒。

 かたや「新たな物語が幕を開ける」、かたや「伝説が終わる」。
 両方共IMAXでの公開が決まっているようだけど「ダークナイト〜」は通常で、「アメイジング〜」じゃ3Dで公開して欲しいですね。

アンダーワールド 覚醒 予告編


 監督はスウェーデン出身のモンス・モーリンド&ビョルン・スタイン。アンダーワールド世界の生みの親レン・ワイズマンは製作に回っている。もう一人の創造主ケビン・グレイヴォーは今回はキャラクター原案としてのクレジットのみのよう。ちなみに脚本の一人は「バビロン5」のJ・マイケル・ストラジンスキーです。

*1:ライカンは変身しても人間に戻ることができるルシアンを祖とする種族。いっぽう狼男は一度変身したら二度と人間態には戻れないウィリアムを始祖とする種族