よろしくユウキ！　海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE

　「海賊戦隊ゴーカイジャー」もいよいよクライマックス。残念なバカ王子ことワルズ・ギルも倒れてラスボスと思わしきザンギャック皇帝アクドス・ギルも登場しました。さて、この時期になると例年は前年度のスーパー戦隊とのＶＳシリーズが公開（「ゲキレンジャーVSボウケンジャー」まではオリジナルビデオ）される次期ですが、今年は６月の「ゴーカイジャーゴセイジャースーパー戦隊199ヒーロー大決戦」が一足お先に（！）戦隊ＶＳシリーズ的なことをやってしまったので、冬はどうなるんだろう？などと思っていたらやってくれました。まさかの「宇宙刑事ギャバン」とのクロスオーバー！しかもオリジナルの大葉健二氏がきちんとギャバン＝一条寺烈を演じるというものでした。というわけで「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」を例によって公開初日に鑑賞！あばよ涙！よろしく勇気！

物語

　突如として追いつめられたゴーカイガレオン。謎の宇宙船ドルギランから現れたのは伝説の宇宙刑事ギャバンだった。ギャバンはゴーカイジャーを逮捕しようとする。ゴーカイジャーも抵抗するが買い出しに出ていた鎧を除いて逮捕されてしまう。
　宇宙警察総裁ウィーバルの前に引き出されたゴーカイジャーだが、実はウィーバルの正体を暴くギャバンの作戦だったのだ。ギャバンは正体を現したウィーバル＝アシュラーダを捉えようとするがギャバンの技術を流用したロボット、ギャバン・ブートレグの前に囚われ魔空空間送りにされてしまう。
　ゴーカイジャーはギャバンそっくりなレジェンド、バトルケニア＝曙四郎とデンジブルー＝青梅大五郎の力を借りて、脱出不可能と言われる魔空空間の刑務所魔空監獄に挑む！そして判明するマーベラスとギャバンの因縁！

　全体としてはいわゆる「オールライダー」や「VSシリーズ」と作りは同様なのだが何しろこれまでと違って「宇宙刑事ギャバン」が「一度終わったコンテンツ」。シリーズ（宇宙刑事としてもメタルヒーローとしても）でも単独でも一度完全に完結しているのでまさに復活というにふさわしい。
　僕自身は子供の頃にリアルタイムで見ていて個々のエピソードは忘れているけどとても大好きだったのは覚えている。それだけに登場するだけで涙ぐんでしまったりする。勿論ノスタルジーの訴える所があるのは当然だが、その点で先の「仮面ライダー」や６月の戦隊映画とは少し特殊になっていると思う。
　脚本自体はイベント度が高いこともあって正直完成度が高いとは言えない。お約束の流れが続くこともあって先の「MOVIE大戦MEGA MAX」に比べると決め台詞も陳腐に聞こえる（あばよ涙、よろしく勇気って主題歌の歌詞だけどTV劇中で決め台詞になってた？よく覚えていない）。まあ時間も短いし仮面ライダーより若干対象年齢が低いだろうしなあ。
　ただ、うまいなあと思ったのは約３０年前のコンテンツを復活させることで、今のこども、その親で当時見てた世代、そしてマーベラス達主役を演じる役者たちと同じ１０代後半２０代の世代と広い世代にわたってアピールすることに成功しているのだなあ。僕なんか子供はいないけどいたら絶対こどもと一緒に見に行きたいし、大きなお兄さんではなく子供と同じ目線で語り合いたくなる。そんな気分にさせられた。
　で、僕はこの企画を知った時、幾つか判明して欲しいと思ったことがある。それは、

ギャバンの宇宙警察と特捜戦隊デカレンジャーの組織関係
バトルケニヤとデンジブルーとギャバンがそっくりなのは関係あるのか？
電子星獣ドルは「星獣戦隊ギンガマン」の星獣の仲間なのか？

の３点。
　最初のギャバンとデカレンジャーの関係は以前にショーの方で共演したことがあるらしいのだが公式には不明。ただ冒頭ハカセが「デカレンジャーによって（海賊行為の）容疑は晴れた」というようなことを言っていたので同じ組織だと思われます。
　また、大葉健二氏演じる３人については同時に登場することで似てるのは偶然！ということで片がつきました。長谷川裕一氏の「すごい科学で守ります」シリーズ（勿論非公式）だと同じ役者さんが演じてる人は同一人物、ということになっていてそれはそれで面白いんだけどあんまり多用すると世界観が狭まってしまうのでこっちのほうがいい。面白いのは体育会系さながらそれぞれの登場順に序列が決まっていて、デンジブルーはバトルケニヤに、ギャバンは他の二人にそれぞれ敬語を使っている。あとはどうみてもそっくりなのだが鎧にだけ見分けがつくとか、ギャバン以外の二人が「そういやギャバンに間違えられたことがある」というような楽屋落ちと劇中設定のぎりぎりのネタが楽しい。
　最後の星獣関連に関しては残念ながら触れられず。電子星獣ドルのおもちゃは当時持っていてとても良くできていたように記憶するが、今回はフルCGのよう。全体的に頭部が以前より大きくなっているような気がした。
　ギャバンのスーツはTVでは蒸着（変身）用の銀メッキの光を反射するスーツとアクション用の鈍い銀色のスーツとがあったのだが今回はすべて銀メッキ仕様のキラキラ光るスーツで統一されている。デザイン的にいま見ても全く格好良さが変わらないのが素晴らしい。

　敵対するのは佐野史郎演じるウィーバルとその怪人態（というか本体の）アシュラーダ。ウィーバルの時は「帝都物語」の加藤保憲を思わせる衣装で佐野史郎に似合っていたが、アシュラーダの時は全体的にマッシブなフォルムなのであんまり佐野史郎の声には合っていなかったように思う。アシュラーダは犯罪組織マクーの首領ドン・ホラーの血縁者ということで微妙に似てるような気がしないでもない。ドン・ホラーの息子とかはＴＶシリーズでも出てきたけどドン・ホラーはいろんなところに種蒔いてそうだな・・・
　他にギャバンの宿敵になるのはニセギャバンとでも言うべきギャバンブートレグ。ギャバンの海賊版という形なのだがこれがロボットなので、動くときのアクチュエーター音とでも言うのか関節の音？がロボコップを思わせて興味深い。元々ロボコップのデザインには東映の正式許可の元ギャバンのコンバットスーツデザインが参考されているが、それを逆輸入したようだ*1。
　ＴＶシリーズ「ゴーカイジャー」のレギュラーはいつものメンバーに加えてザンギャック側はアクドス・ギルやダイランドーがいるのでダマラス死後、すべての大いなる力を手にい入れる前後第４７話の少し前ぐらいだと思われる。つまり今回もリアルタイムでTVと映画を連動させようと思ったら公開初日の土曜日に見るのがベストだったのだな。
　過去の戦隊シリーズの悪役（で主に改心した連中）がマクー監獄に捕まっているという設定でガイアーク三大臣（及川奈央さんはこれで「仮面ライダー」「ウルトラマン」「スーパー戦隊」に引き続きいて「メタルヒーロー」シリーズにも出演果たしたことになりますね。まさにグランドスラム！）や風のシズカ、ヤツデンワニなどが出てきます。そしてまさかのジェラシット再登場。恋多き実は強いオトコ。手には指輪があるので駆け落ちしたたこ焼き屋主人の母とは上手く行っているようです。ところでパンフの誤植によりインサーン１７歳がトム・クルーズに変わっていました。
　
　アクションはいつものようにテンポよく見せ場も多かったのだけどひとつすごいシーンがあってゴーカイグリーン（ハカセ）が落下するシーンで後頭部から一斗缶の山にぶつかる所があって凄い痛そうだった。このシーンはジャッキー・チェンの映画のエンドクレジット（NGシーン）を思わせた。ただこれ（偶然か意図して撮ったのかは分からないが）もTVシリーズで培ってきたハカセのトリッキーな戦い方が繰り返し見せられていたからOKなのでこれがジョーやマーベラスのアクションならNGになっていただろう。
　来週あたりにクライマックスを迎えるバスコに関しては今回はマーベラス達にマクー空間の情報を教える役どころ。ナゼ？と思わせつつその理由はマーベラス達がいない間にガレオンからレンジャーキーを奪おうと画策するのだった。ここで次年度の新戦隊「特命戦隊ゴーバスターズ」が登場。バスコの邪魔をするという形でお披露目となった。例年どおりだが今回、ギャバンが先行しすぎて新戦隊の登場を忘れてたので少し驚いた。とはいえ、いつもに比べると中盤の登場で少し印象は薄いかな。バスコはある意味組織としてしっかりしすぎているせいで怪人としてのインパクトにかけるザンギャック幹部*2に比べるとここ最近でも素晴らしい悪役。このまま突っ走ってもらいたい。

　幼いマーベラスがギャバンに助けられていた、というエピソードを用意することによって突然３０年後に復活ではなくちゃんとこの３０年間ギャバンは活動していたんだな、と思わせるところも素晴らしい。
　ラストはバトルケニヤ、デンジブルー、ギャバンの三大大葉健二揃い踏み！これに興奮しないわけには行かないぜ！
　

おまけその１

ツイッターで見かけたちょっといい話。

映画館にて、暗くて恐いから入りたくないと急にぐずりだした小さな子供。それをあやすお父さんがスゴイ。「お前のゴーカイジャーに対する愛はそんなものか！？俺は、ギャバンが観たい！愛している！！だから、お前を置いてでも観にいくぞ！」まさに、愛ってなんだ？状態w
— 納谷＠マウスプロモーションさん (@suke_mausu) 1月 22, 2012

うん、でも子供を置いていくのはいけないよ、お父さん！よろしく勇気！そして子供よ、男なんだろう？くよくよするなよ！
　

おまけその２

　で、「よろしく勇気」といえば今の僕にはむしろ「よろしくユウキ」という感じで「フォーゼ」のユウキちゃん最高！ここ最近ずっと特撮とアイドルにはまっていたりするので、そろそろ（これらと平行して）普通に洋画鑑賞にもどりたいです。
　そういや仮面ライダーメテオの変身はなんとなくギャバンの蒸着を思わせますね！