The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

変身は正義の力 仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX

リアル・スティール」と同日に観たのが公開初日の「仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX」。何も初日に行く必要はないと思うけど最近はTVと連動してることも多いんでなんだか早く見とかないと、と思ってしまう。で、こちらも男泣きの大傑作だった!(ネタバレ全開!)

物語 第一章 第二章

第一章 仮面ライダー
 宇宙から隕石群が落下。世界各地で隕石の付着物をめぐって財団Xと伝説の7人ライダーが戦いを繰り広げる。しかし仮面ライダーストロンガーの善戦むなしく付着物SOLUは財団のXの手に渡ってしまった!

第二章 仮面ライダーオーズ
 隕石によって時空の歪みが生じ40年後の未来から仮面ライダーポセイドンがやってきた。戦いを求めるポセイドンの目的はオーズとバースの打倒。帰国した映司をポセイドンが襲撃する。だが倒されたと思ったのは映司ではなく消滅したはずのアンクだった・・・!

 始まってすぐに7人ライダー登場。なんで今回はZXまでの10人ライダーもしくはBlackRX含む11人ライダーでないのかというと「フォーゼ」の仮面ライダー部の7人と合わせているから。それを示すようにラビットハッチで(というか月面)で活動する彼らが隕石群の最初の目撃者となる。彼らについては「伝説の」という肩書きで語られるが細かいことは不詳。変身後の姿だけで声もオリジナルとは違う。どちらかと言うとゲスト的な出演なのだけどなぜ平成ライダーではなくて彼らなのかは僕なりの考えがあるので後述したい。
 
 そしてオーズ編はポセイドンとの戦いとアンクの復活がメイン。実質TV最終回の後日談。映司はただ世界を放浪していたわけではなく鴻上ファウンデーションの協力員としてアンク(の元となっているコアメダル)の復活を目指して頑張っている。で、ポセイドンの来襲のために帰国した映司の前にアンクが現れる。ポセイドンはただ戦いを欲している(という欲望か)。TVシリーズのレギュラーはほぼ全員登場で伊達さんと後藤さんのダブルバースも参上。伊達さんが髭を剃りました!映司とアンクの喧嘩しながらも相変わらず良いコンビ。映司はポセイドンと接触した際に何かを感じる。また「仮面ライダーを名乗る以上正義の心があるに違いない」というような理由でポセイドンが自分の意志で戦っているのではないのではないかと述べる。この辺は後述するが、今回「ディケイド」以前の平成ライダーが登場しない理由でもあると思う。
 そしてポセイドンの正体は未来世界(40年後!倍!)において仮面ライダーを務めるアクアがその正体だったことが判明。アクアに変身する湊ミハルはそのライダー属性に反して水が苦手で変身出来なかったところ、未来の鴻上会長(まだ生きてた)に新しいコアメダルとドライバーを渡されポセイドンに変身。しかしポセイドンは過去(TV最終回)からやってきたコアメダルを吸収し暴走、現代にやってきてオーズに戦いを挑んだというわけだ。アンクも実は未来で復活してポセイドンに取り込まれたコアメダル奪取のために過去にやってきたことが判明。映司は自分が頑張れば未来でアンクが復活するんだ、ということを励みに今後の頑張りを誓う。この辺は「ドラえもん」の同人誌で似た話があったような。
 で、オーズといえばその魅力的な「仕事のできる女性たち」だが、今回もその魅力は健在。里中さんは相変わらず強くて美しいし知世子さんはハプニングの中でも動じない精神的な強さ。そして比奈ちゃんはこれまでの劇場版では比較的添え物というか救われるヒロイン的な役割が多かった気がするけど今回は普通に怪力を発揮して活躍。比奈ちゃんの活躍が多かったという意味でも今回の映画は素晴らしい。
 そして、オーズはポセイドンからミハルを解き放ち、ポセイドンを破る。ミハルも弱点を克服し仮面ライダーアクアに変身。未来に帰るアクアとアンク。しかしポセイドンのコアメダルを回収しようとするとそこに現れた財団Xのカンナギがその3枚のコアメダル(サメ、クジラ、オオカミウオ)を奪っていくのだった・・・

物語 第三章 第四章

第三章 仮面ライダーW
 風都。財団Xと遭遇した左翔太郎は仮面ライダージョーカーに変身して戦う。撃退には成功したが財団Xが密かに移動しようとしていたものはどこかへ消えていた。一方7人ライダーは幹部であるレム・カンナギを追い詰めたがそこには罠が・・・

第四章 仮面ライダーフォーゼ
 文化祭を開催している天ノ川学園高校。仮面ライダー部も伝説の仮面ライダーの存在を知らしめるべく活動中。そこに突然空から女子が降ってきた。その少女美咲撫子(ミサキナデシコ)に一目惚れした弦太郎だがそこにゾディアーツが襲いかかる。戦うフォーゼの前で撫子も変身!仮面ライダーなでしことなる。彼女の正体は一体?

 第3章は短い時間ながらも堂々「W」が登場。風都を舞台にフィリップ無し(何かを検索中)ジョーカーとして戦う翔太郎が見られる。
 7人ライダーは仮面ライダー部の7人と対比。それぞれのキャラ名がライダーの本名のアナグラムになっている(本郷猛=歌星賢吾)。そして唯一当てはまらない弦太郎がストロンガーに当たる。
 
 そしてフォーゼ編。公開次の日に放送された第14話「毒・針・猛・襲」のラストで弦太郎が「俺も熱い恋がしたいぜ!!」と叫んで「そんなのありえない」と言われていたが、それを受けてか弦太郎の恋愛話。しかしこう見るとユウキちゃんは弦太郎や賢吾に対しては本当に友達以上には思っていないのだな、まったく嫉妬する描写がない。ちなみに大文字が美雨と付き合うきっかけは大文字の一目惚れだったことも判明。どおりで大文字は未練たらたらなわけだ。しかし冒頭の仮面ライダーコスプレは楽しい。なんか演劇的なことが好きだよね、仮面ライダー部(おそらくユウキちゃんの発案)。そういや第15話はついに「glee」モチーフの話しっぽいですよ、みなさん!
 「W」でミュージアムに財団Xが出資していたようにゾディアーツに対しても出資していたことが判明。またTVでは登場しなかったが(鴻上ファンデーションと財団Xにはつながりは無い模様)コアメダルも独自研究していてヤミーやコピーグリードも繰り出す。
 空から降ってきた謎の少女美咲は仮面ライダーなでしこに変身する。フォーゼを簡略化したようなライダーで同じくアストロスイッチを使う。弦太郎とのデートでは高いところ高いところへと向かう。その正体は人間ではなく宇宙から隕石に付着してやってきたコズミックエナジーを蓄えた宇宙生命体SOLU(ソル)。ゲル状の生き物で美咲撫子の姿をコピーした。フォーゼとのダブルライダーでロケットモジュールでダブルロケットパンチで財団Xの怪物を撃退。しかしなでしこはその命を特殊なアストロスイッチ・SOLUスイッチに奪われ消滅。しかし弦太郎のもとにはもう一つのロケットモジュール・ロケットスイッチS1を残すのだった。
 

物語 第五章 MOVIE大戦 MEGA MAX

 なでしこを失った怒りに燃える弦太郎のもとに映司がやってくる。映司は弦太郎を翔太郎とフィリップの元に連れて行く。勢ぞろいしたフォーゼ、オーズ、W。Wは敵を引き受けオーズとフォーゼがカンナギの元へ向かう。
 一方カンナギは財団Xを裏切り超銀河王に変身。弦太郎はアストロスイッチやコアメダルに変化させられた7人ライダーを復活。財団Xの怪人たちを7人ライダーに任せ超銀河王を追う・・!

 最後はオーズ、フォーゼ、そしてWのそれぞれがそして7人ライダーが一同に介するMOVIE大戦。弦太郎の「トモダチ」に反応するアマゾンが楽しい。
 恒例の新フォーム、未来のコアメダルを使って変身したスーパータトバコンボとなでしこの残したロケットスイッチS1で変身したロケットステイツ。スーパータトバコンボは蛍光っぽいカラーで従来のタトバを見慣れためには少し違和感。
 一方ロケットステイツは全体がオレンジ色で両腕にロケットモジュールを備えた姿。こちらは普通にTVシリーズにも出てくると思われる。
 対する超銀河王は未来のコアメダルとSOLUのパワーを備えておりカンナギが変身した姿。
 全体としてアクション描写が最高でテンポもよく、物語面、アクション面共に過去のライダー映画の中でも最良の一本だと思う。Wも各フォームを見せてくれるし、何よりそれぞれの主題歌をBGMにじっくり3人の活躍を見せてくれるのが嬉しい。

 今回はストロンガーまでの7人ライダーだけど宇宙用ライダーとして先輩でもあるスーパー1へのオマージュも幾つかあった。まず敵の超銀河王はスーパー1の劇場版出でてきた敵の銀河王が元になっているし、なでしこがフォーゼに残したアストロスイッチはロケットスイッチS1(スーパー1)。少なくともZXまでは登場してもいいのではないかと思うので今後の登場に期待。
【12月17日追記】
 コメント欄でななしんぼさんから指摘を受けましたが銀河王が出てくるのは「スーパー1」ではなく「仮面ライダー(スカイライダー)」の劇場版でした。今回の超銀河王はその銀河王が名前デザインの元になっています。後はダンテ・カーバー氏が変身した見た目が怪獣ぽい怪人がネオショッカー首領のオマージュになっているのではないか、と思ったことも書き忘れていたので、ここに記しておきます。

悪の仮面ライダーなどいない。ただ偽物が存在するだけだ

 TVシリーズのWで仮面ライダーを名乗る偽物が登場した時、翔太郎は「仮面ライダーってのは風都のみんながつけてくれた正義の味方の名前なんだ、それを汚すことは許さない」というようなことを言っていた。また今回は登場しないが仮面ライダーアクセルこと照井竜も最初は仮面ライダーを名乗ることを避けていたが復讐でなく正義に目覚めた時、自ら仮面ライダーを名乗る。オーズはポセイドンが仮面ライダーを名乗った時、「仮面ライダーを名乗るなら正義の心が残っている」と考える。そして仮面ライダー部は都市伝説として残る正義の戦士仮面ライダーを受け継ぐ意志で創部された。W以降の平成ライダーシリーズには基本的に「悪のライダー」と言う概念がない*1。製作者がそこまで考慮したかは分からないがこれこそがディケイド以前の平成ライダーが登場しない理由と僕は考える。
仮面ライダー龍騎」以降(源流は「Black」のシャドームーンか)「悪のライダー」という概念が一般化した。当たり前のようにライバルのライダーが登場する。しかし例えばショッカーライダーは悪のライダーではなく「ライダーの偽物」なのだ。本来「仮面ライダー」という呼称は正義の味方だけが名乗れるものなのだ。繰り返すが映司がポセイドンもライダーを名乗っている以上正義の心が残っている、と判断するがこれが受け入れられるのは悪のライダーが登場しない世界観だからだ。だからディケイド以前の(特に龍騎以降)ライダーは今回の映画に参加できない。たとえ出自が同じでも、容姿が似ていても悪党であるならそれはライダーではない。
 今回の映画はそんなある意味ヒーロー物としては当たり前のことを思い出させてくれた。

なあ、信じてみないか。たとえ神も仏も居なくても、仮面ライダーは居る、ってな・・・

仮面ライダーSPIRITS村枝賢一著より

仮面ライダーSPIRITS(1) (マガジンZKC)

仮面ライダーSPIRITS(1) (マガジンZKC)

 W以降の各作品の世界観は多少の矛盾点も抱えつつ緩やかにつながっている、という感じだと思う。今のところ財団Xが各世界を繋いでいるが劇場版だけでなくTVでもオーズやWが出てきてくれると嬉しい。
 

仮面ライダー本郷猛は改造人間である。彼を改造したショッカーは、世界征服を企む悪の秘密結社である。仮面ライダーは人間の為にショッカーと戦うのだ」

 この有名なオープニングナレーションを考えた脚本家の市川森一氏が僕がこの映画を観ている最中亡くなられたそうだ。どちらかと言うとウルトラマンのイメージがあった市川氏がこのナレーションを考案したとは知らなかった。R.I.P
【12月13日追記】
 id:j_whiskeyさんよりブクマ(とブログ)で指摘あり。「仮面ライダー」のOPナレーションは「人間の”自由”の為に戦うのだ」が正しいそうです。ニュースサイトの記事をそのままコピペしてしまいました。また正義だといってしまうのは(ナチスなども正義を掲げていたため)危ういとも。たしかにその点には僕も賛同です。ただ、ここ(この拙記事)ではもう少し単純に命あるものを守る、というようなわかりやすい意味での勧善懲悪の正義と受け取って頂きたいと思います。

市川さんが「仮面ライダー」オープニング考案 - BIGLOBEニュース

*1:コアやエターナルが微妙