The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

8分発奮! ミッション:8ミニッツ

 「スクリーム4」と一緒に観たのに感想をなかなか書けなった「ミッション:8ミニッツ」。すでに細かいところを忘れかけている・・・というかいろいろごっちゃになって自分でも良く分からなくなっている。とりあえず雑文。

物語

 男はシカゴ行きの電車の中で目覚めた。目の前には見知らぬ女性。彼女は自分を知らない名前で呼ぶ。トイレに行くとそこには見覚えのない男が鏡に映っていた・・・そして爆発。
 男はスティーブンス大尉。電車はその日の朝に起きた事件を再現したヴァーチャル空間。彼は死亡者の一人、高校教師のショーンの姿を借りて彼の最後の8分間を追体験する。そしてその8分間の間に爆弾と仕掛けた犯人を見つけろ、というのだ。
 何度も何度も同じ8分間を繰り返す。やがて彼は自分がすでに死んでいることを突き止めるが・・・

 まあ、最初に思ったのは「これってフィリップ・K・ディック原作じゃないの?」という感じ。これや寿命が通貨となって金持ちは長生きし、貧乏人は(文字通り)その日暮しを余儀なくされる未来を描いた「TIME/タイム」とか当然のように「デイック的だなあ」と思う癖がついてしまっている。
 物語の基本設定で疑問に思ったのは「いくらバーチャルで爆発前の車両を再現しても、それが被害者の最後8分である限り犯人見つけるとか無理じゃなかろうか」ということ。たとえば「犯人は分かっているが意識不明の重体で仕方がないのでその意識化に潜入して再現した現場から爆弾の場所、次なる標的を探る」とかなら分かりやすいし実際そういう映画もあった気がする。量子力学とかが出てきて説明されていたがいまいちよく分からなかったです。
 面白かったのは途中からスティーヴンス大尉が爆弾そっちのけで自分探しに熱中するのですな。8分間のバーチャル空間のなかで携帯モバイルから自分の名前を調べたりする。そしてテロ事件とは別に徐々にスティーヴンス大尉がなぜこの役目を負わされたかが判明していく。
 大尉は最初の8分の後小さなカプセルの中にベルトで固定された状態でいる。目覚めるたび(8分が終わるたび)その状況も微妙に変わっていく。気温が下がり氷結し、またベルトの固定もなくなる。にもかかわらず彼は強制的に同じ8分間に戻される。やがてそのカプセルも崩壊しそこすら脳内の空間で大尉は実はすでに戦死し脳死状態で強制的に生かされている事実が判明する。この死んでいるのに生きている状況は「ロボコップ」に近い。
 彼をフォローするのはヴェラ・ファーミガ。ケイト・ブランシェットに似たクールビューティー。何度もつらい体験を繰り返す大尉に共感し始める。そしてこのヴァーチャルシミュレーションを計画したのがフェリックス・ライターことジェフリー・ライト。ある種マッドサイエンティストの典型で人間の感情や痛みを理解できない人。
 ミッション中に現れる人たちは現実ではすでに死んでいる。仮にシミュレーション中の出来事で爆弾を回避できても8分が過ぎれば強制的に戻らされる。その中でも一番大尉と関わる事になるのがミシェル・モナハン。目力の強い女性でジェイミー・アレキサンダーとかララ・フリン・ボイル系の美人。でも笑顔がかわいい。「M:I:Ⅲ」でトムの妻を演じてましたね。

 彼女が何度もひどい目にあうので悲しいです。
 
 で、肝心の主人公スティーヴンス大尉を演じるのがジェイク・ギレンホール。この人の映画は「プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂」以来ですかね。「ファースター 怒りの銃弾」は見てる間、ジェイクだと思ってけど別人だったんだよね。「プリンス〜」でも時をさかのぼる役ではあったが、作品の出来は段違い。こちらの方がエモーショナル。
 
 監督はダンカン・ジョーンズ。なんとあのデヴィッド・ボウイの息子だ。いいなあデヴィッド・ボウイが父親って。僕もあんなふうに歳を取りたいものだ(あるいは笠智衆みたいな歳の取り方)。彼の前作「月に囚われた男」も評価が高いのだがまだ見てない。デヴィッド・ボウイの「地球に落ちてきた男 」とごっちゃになってた。

 ラスト、無事爆弾犯を特定するのに成功。ジェフリー・ライト脳死状態の大尉の生命を絶つことを約束させていたが大尉の記憶を消して再び利用しようとする。大尉は最後にもう一度ミッションに戻るという。そして乗客全員を助け出すと。その8分が終わったら生命を絶ってくれ、と。ヴェラ・ファミーガが実行。
 ヴァーチャル世界では無事全員を救出。残った時間でヴェラにメールを送る。そして8分が過ぎた。世界は一瞬止まり・・・
 ラストは後で追加撮影したらしい。世界は続きパラレルワールドとして存続する。大尉はショーンとして彼女とともに生きる。この最後をどう解釈していいのか僕には良く分からない。SF的なものから急に別のものになったような感じだ。でも例えパラレルでも、現実でなくても大尉と彼女たちは救われたのだ。人生乗っ取られたショーン以外は・・・
 ちなみにこの結末で永井豪バイオレンスジャック」の最終回を思い出しました!