The Spirit in the Bottle

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宇宙を守る緑の光! グリーン・ランタン

 映画「グリーン・ランタン」を初日に観てきました。これほど事前の評判が悪い作品を見るのも久々ではないかな、と思うんですが(おそらく「DRAGONBALL EVORUTION」以来)、別に初日に観なけりゃ観る気が失せるからじゃないか、とか109シネマだと10日は会員料金で見れて正規料金払わなくて済むからとか、そんなんじゃありませんよ。
 とはいえ、期待しないで臨んだのも事実。今回は近場の劇場では字幕3D上映のみだったのでそうしましたが、3Dは特別料金が加算されるので2Dの方がいいんですけどね。せめて字幕が浮いて見えるから3Dの時は吹き替え中心にして欲しい。僕はいわゆるタレント吹き替えでなければ特に字幕にはこだわりません。
 で、上映前の予告編でですね。遂にダークナイト・ライジング」が流れたわけですよ!少し前に劇場で流れ始めた、という情報を得ていて、「まあ、同じワーナー、DCのアメコミ映画だし流れる可能性は高いかな」と期待していたんですが観れました!既にネットで公開されている物と一緒で僕なんて最初「ビギンズ、ダークナイトからの流用が多いし、ファンメイドなんじゃないか」などと疑っていたのですが公式。ゴードンがうつぶせに寝ている(負傷?病気?)長台詞とベインと思われる人物のアップなどが新撮部分。とはいえ劇場で見ると実際のものとして興奮が収まらないのも事実。2012年夏公開。後一年は死ねませんぜ、皆さん。
 この時点で十分満足だったりするのだが、それはさておいて本編(ここからいつもの文体)。

物語

 宇宙の平和を守るグリーン・ランタン・コァ。かつてランタンの一人アビン・サーが封印した強大な敵、パララックスが復活しランタンの本拠地惑星オアを目指し始めた。パララックスに襲われアビン・サーは致命傷を負い自分の後継者を探すため近くの惑星・地球に不時着した。
 ハル・ジョーダンは兵器会社の戦闘機テストパイロット。その日は人工知能を積んだ無人戦闘機の性能を示すテスト飛行に挑んだが、売り込むはずの無人戦闘機の裏をかいて、自身の戦闘機も墜落させてしまう。社長候補で元恋人、パイロット仲間でもあるキャロルから近親を言い渡されてしまう。
 甥の誕生パーティーからの帰り道、なぞの緑の光に連れられハルは瀕死のアビン・サーの元へ。グリーン・ランタンの印であるパワーリングとエネルギー供給用のランタンを預けられる。ハルはグリーン・ランタン・コァの本拠地オアに連れられ、事情を説明され、シネストロ、キロヴォグ、トマ・レーらにランタンとしての訓練を付けられる。
 一方その頃、政府に回収されたアビン・サーの遺体はハルとキャロルの幼馴染で上院議員の息子である生物学者ヘクターによって調べられていた。彼はアビン・サーの体から黄色いパララックスの片鱗を見つけるが・・・

 グリーン・ランタンは宇宙の平和を守る組織の地球(を含むセクター)担当者、ということで日本で言うところのウルトラマンとか宇宙刑事シリーズに近い。多分E・E・スミスレンズマン」の影響を強く受けているんじゃないかなと思う。
 DCコミックスの映画化だと「バットマン」と「スーパーマン」以外は微妙な感じで昨今のマーベル映画の大躍進に比べると正直見劣りするのだが(日本未公開で「ジョナ・ヘックス」もあり)本作は映像だけなら素晴らしい。ただ、そのCGの連続に食傷気味になるのも事実。壮大な世界観を冒頭ナレーションで処理したり地球でなく宇宙の様子から始まるのだがそこでほとんど実写が使われていないように思うのでまるでアニメーションを見ているかのようである。
 ハルがオアに行き、他のランタンと交流するシーンでもCGとの合成なのでリアルなものというより、「ロジャー・ラビット」のような実写とアニメーションの合成作品のように感じてしまった。
 全体としてはマーベルの「ファンタスティック・フォー」シリーズに近い雰囲気。非常に陽性のヒーロー映画であり、それはそれで面白い。それでは例によってキャラごとに。

人類

ハル・ジョーダン

 地球人初のグリーンランタン。戦闘機のテストパイロット。演じるのはライアン・レイノルズ。いつものライアン・レイノルズで(といってもそれほど見てるわけではないのだがイメージとして)お調子者のプレイボーイといった感じ。レイノルズは「ブレイド3」でハンニバル・キング、「ウルヴァリン: X-MEN ZERO」でデッドプールと二度に渡ってアメコミ映画には出演。
 僕はそれほど「グリーン・ランタン」には詳しくないが一番親しみのあるランタンはブルース・ティムのアニメ版「ジャスティス・リーグ」の3代目ジョン・スチュアート(ハルは二代目)。ハル・ジョーダンは以前感想を書いた「グリーンランタン/グリーンアロー」ぐらいでしか知らない。あの作品だと生真面目な正義まっすぐ野郎、という感じなので今回の飄々とした感じは少し違和感。地球で活躍する時はドミノマスクを付けているがキャロルにはあっさり見破られた。そりゃあんなんじゃすぐ分かるよねえ。ヒーローもののお約束を破ったシーン(スーパーマンの場合、正体がばれないのはメガネをしているときに相手に微弱な催眠術をかけてクラークを実物より小柄で頼りなさ割り増しで見せているという後付け設定がある)。
 小さい頃に父親(やはり戦闘機乗り)をマシントラブルで亡くしているのでそれが軽いトラウマにになっている模様。またヒーローには珍しく兄弟がいる。
 

キャロル・フェリス

 フェリス航空の次期社長、テストパイロット、ハルの幼馴染で元恋人。演じるのはブレイク・ライブリー。「007 死ぬのは奴らだ」や「ドクタークイン 大西部の女医物語」で知られるジェーン・シーモアによく似た美人で年代的に親子か?と思ったぐらいなのだが違った。ある意味ハル以上に「意志の力」を感じさせる魅力に満ちた女性。
 

へクター・ハモンド

 ハル、キャロルと幼馴染の生物学者。大学で冴えない講師(?)をしていたが、父親のコネでアビン・サーの解剖に立ち会う。その過程でパララックスの細胞に感染して超能力を得る。キャロルに片思いであった模様。最初「お!ジョン・カーペンターか!」というようなルックスでおよそ若さを感じさせないキャラであったが、その後父親に呼び出され「パパ」と呼んだりハルたちと幼馴染という事実が分かり「ああ、若かったのか」と分かるのである(実際演じるピーター・サースガードブレイク・ライブリーの年の差は16歳)。
 超能力を身に付けてからは北斗神拳を喰らって死ぬ直前の悪党みたいなルックスに変貌・暴走する。
 

そのほかの人たち

 ヘクターの父親上院議員を演じるのはティム・ロビンス。彼自身は若いのと息子のヘクターが老けてるのとであんまり親子に見えない。中途半端に俗物的な人物でもう少し悪役に徹したキャラにしても良かったんではないかと思う。
 アンジェラ・バセット(久々!)演じるのが政府の「スターゲイト」そっくり(でもあの巨大なわっかのセット関係なかった)の研究所の科学者アマンダ・ウォーラー博士。色々とドラマの片鱗だけ見せてあっさり退場した。
 パンフに載ってないので詳しくは不明だが、ハルの親友でエンジニアなのがトーマス・カルマク(キャラ名、演じてるのはタイカ・ワイティティという人)。典型的なもじゃもじゃ頭に、メガネというオタクルックな人。
 

グリーン・ランタン・コァ 
 グリーンランタンは“緑の力”意志の力(要は想像力)を実現化するパワーリングを使用し宇宙の平和を守っている宇宙警備隊。宇宙を3600のセクターに分けそれぞれを一人のランタンが担当している。コスチュームは隊員の体型によってことなるが緑と黒をベースとしたもの。パワーリングの力は装着者の意志の力に比例するが、恐怖の力である黄色い光には無力である。
 

ガーディアンズ・オブ・ユニバース

 青い肌の宇宙人でグリーンランタンを作った人たち。宇宙の平和と秩序の維持を使命としているがやや頑固な部分も。9名おりほとんど固体の区別が付かないが女性もいる。惑星オアにおいてグリーンランタンたちを統率している。
 

シネストロ

 実際に現場に立つグリーンランタンたちのリーダー的存在。髭にオールバックのおっさんルックスだが肌は赤い。この映画の中ではハルを鍛え上げ、地球を犠牲にパララックスを倒そうとするがハルの決意を信じて最後は認める。演じるのは「キック・アス」「シャーロック・ホームズ」「ロビン・フッド」などで悪役を演じてきたマーク・ストロング。この映画だけ見ると善玉なのだが僕はむしろ暗黒面に堕ちたジェダイならぬ堕ちたランタンとして悪役のシネストロしか知らなかったので見てる最中「いつ裏切るんだろう」とかそんなことばかり考えてしまった。一応ネタバレとしてラストエンドクレジット中に恐怖の力を込めたパワーリングに指を通す。次回作(あれば)では敵となると思われる。結局、マーク・ストロングいつもの定位置。
 

アビン・サー

 伝説のランタン。かつてパララックスを封印したが今回は復活したパララックスに逆にやられてしまった。地球に不時着してハルに意志を託す。筋肉丸出しのような紫の肌の異星人。
 演じるのはジャンゴ・フェット(とクローン・トルーパー)のテムエラ・モリソン。とはいえメイクは後からCGで乗っけたんじゃないかなあ、と思う。
 

トマ・レー

 コミックスにも登場する気のいい鳥っぽい姿のランタン、と思っていたのだが映画では(地球における)魚に近いと説明されてた。コミックスの方が目が大きくて愛嬌あるんだよなあ。彼の担当セクターにはクリプトン星も含まれていて、クリプトン人を救えなかったことを悔やんでいたらしい。原作やアニメでは僕が一番好きなランタン。

 声(ということは完全CGキャラクター)はなぜかジェフリー・ラッシュ
 

キロウォグ

 豚のようなルックスの巨漢のランタン。「ロード・オブ・ザ・リング王の帰還」のオーク隊長ぽい感じ。こちらはイメージに近いやはり巨漢、マイケル・クラーク・ダンカンが声を担当。ルックスもコミックスから大きく外れていない。
 
 他のグリーンランタンはヒューマノイドタイプを中心に妖精みたいのや昆虫、ロボット、クトゥルフ神話の「古のもの」みたいのものまで様々。原作だと微生物だったり、数式だったり、惑星そのものだったりするランタンもいる。
 

パララックス

 かつてガーディアンの一人が恐怖のパワーに魅入られエネルギー体となって暴走した姿。最強とか言ってるわりにあっけなく負けた。まあ、でも「ファンタスティック・フォー 銀河の危機」でギャラクタスがよく分からない雲になってたのに比べると頑張ってたと思う。

 期待値を思いっきり下げて観たせいか、それほど悪くはなかった。勿論凄い傑作というわけでもなく程よく楽しめる作品。壮大な割りに奥行きは狭いし、CGキャラクターもそんなにリアリティは感じない(実物の代替としてのCGなのにアニメと共演してるように見える)。実際に役者に特殊メイクを施したのってヘクターとシネストロぐらいではないか。例えば「ヘル・ボーイ」のエイブのような存在感を見習って欲しいと思う。
 ただ、もしもDCがマーベルのように映画におけるDCユニバースの構築を狙っているなら(そういう噂もあるし、当然考えとしてあるだろうと思う)最初に大風呂敷を広げた「グリーンランタン」を持ってくるのは正解だと思うし、実際他のヒーローもいそうな感じだ。それは「ダークナイト」にはとても出せないものだ。
 また、主にライアン・レイノルズのキャラも手伝って実に明るいヒーロー映画である。バットマンだから暗くても面白いのであって「ダークナイト」が当たったからといって何でもかんでも暗くすりゃいいってもんでもないよ!とは強く言っておきたい。その意味でコスチュームデザインを変えてしまったらしいザック・スナイダーの「スーパーマン」は非常に不安なのだが・・・
 まあ、興行的には大コケしたらしいので、本当に続編が作られるかどうかは分からない。あの展開だと続編でてもグリーンアローは出ないだろうしなあ・・・

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