復活悪魔くん デアデビル:ボーン・アゲイン
日本を代表する「悪魔」ヒーローといえば「悪魔くん」と「デビルマン」。それじゃあ、アメリカを代表する「悪魔」ヒーローというと?それは「エトリガン」と「ゴーストライダー」ですね。でも今回はそれではなく、マーベルを代表する地味系ヒーロー「デアデビル」の登場です。
デアデビルとは英語で「命知らず」とか「恐れを知らない」とか言う形容詞であんまり「悪魔」とは関係ない。主人公デアデビル=マット・マードックは子供の頃放射性物質を浴びたことで失明したが代わりにレーダーセンスという力(見聞色の覇気みたいなもの)を手に入れる。マットは成長して弁護士になるが法の限界も知り、昼は正義の弁護士、夜は覆面のヴィジランテ、デアデビルとしてニューヨーク、ヘルズキッチンで活躍するのだった。
デアデビルはいわゆるヴィジランテでバットマンとかと同じ系列に属する。スパイダーマンとは同じニューヨークを縄張りにしているがより犯罪の多いヘルズ・キッチンを主戦場にしている。ただ共通する登場人物は多く、暗黒街の帝王キングピンは元々スパイダーマンにおいて登場した人物だし、デアデビルを追う新聞記者ベン・ユーリックはデイリー・ビューグル誌に所属しており、スパイダーマン=ピーター・パーカーの同僚でもある。勿論二人の共通の上司、不屈のJ・ジョナ・ジェイムソンも登場する。
さて、そんなデアデビルも勿論スタン・リー御大の創造物。彼の作品の主要人物はイニシャルが同じ文字、という特徴がある(Peter Parker,Reed Richards,Bruce Bannerなど)マットもMatt Murdock。とはいえ初期のデアデビルは派手目の衣装を着た陽気なヒーローだった(らしいのだがこの頃のは読んだことない)。黒と黄色のミツバチを思わせる衣装で胸にでっかく「D」の文字をあしらっていた。それが赤一色になり、物語的にもシリアスな物になっていったのはご存知フランク・ミラー先生の賜物である。
というわけで本題「デアデビル:ボーン・アゲイン」を読んだ。
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これ以前に「デアデビル」を担当していたミラーはエレクトラという人気キャラを生み出した後マーベルを離れDCで「ローニン」などを発表していたが、この時期(1986ごろ)は個人で「ダークナイト・リターンズ」を手がける一方、原作者として再びマーベルで「デアデビル」を手がけていた。ちなみに復帰直後に「デアデビル」で共同原作者として名を連ねているデニー・オニールは長く「バットマン」の原作の担当者として知られていてラーズ・アル・グールの生みの親(二代目ロビンを殺した人でもある)。
物語はかつての恋人が帝王キングピンにデアデビルの正体をばらし、キングピンによって徹底的に痛めつけられたデアデビルの復活を描いている。女優を目指しながらもドラッグで身を落としたかつての恋人カレンの描写やカードを止められ社会人としてもどん底に落とされる。そこからの復活を描くハードボイルドな描写はミラーならではといえるだろう。
マツケリーのアートも1年後の「バットマン:イヤーワン」に比べるとまだ従来のアメコミという感じなのだがドラッグで止んでいくカレンの描写や情報提供者が殺されたことを電話口で知るユーリックの描写など鬼気迫る見所は多い。
後半になるとキャプテン・アメリカやアイアンマンなどのアベンジャーズも登場する。
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面白いのは特典映像で、
「デアデビル」は誰のもの?
みたいに聞かれてスタン・リーとフランク・ミラーが共に「そりゃオレでしょ」と発言してることだ。まあ、確かに生みの親はリー御大だが、育てたのはミラー先生というところかなあ。エレクトラ創造したのはミラー先生だし。
この映画自体はキングピンを原作の白人からマイケル・クラーク・ダンカン演じる黒人キャラに変更したり、コスチュームを着ないヴィラン、ブルズアイ(演じるはコリン・ファレル!)の狂犬っぷりが素晴らしかったりと見所はたくさんあるのだが、肝心のデアデビルがいまいちで弁護士業務の無能振りを夜に暴力で憂さを晴らしているようにしか見えないのが難点か。でもブルズアイの「仏に逢うては仏を殺し、ババアに逢うてはババアを殺す」その狂犬ぶりだけでも見所はある映画。
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ちなみにおそらく近日映画が公開されるということで「グリーン・ランタン:リバース」も発売されたのだが、この「ボーン・アゲイン」は特に映画とかはなさそう。なので純粋に作品として日本語版の発売ということで嬉しい限り。
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*1:X-MENやファンタスティック・フォーを手がけた偉大な作家。「キング」の称号を持つ
*2:他にもペンシラーやライターが出演してるかもしれないけど分かる限りではこの3人