父親になりたい デュー・デート
ロバート・ダウニーJr主演「デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜」を鑑賞。
物語
あるときピーター・ハイマンは熊が自分の赤ん坊のへその緒を噛み千切るという夢を見た。アトランタで仕事を終えたピーターは妻の出産に立ち会うためにロスに戻ろうとするが飛行機の中で俳優志望の男イーサン・トレンブレーといざこざを起こし搭乗拒否に合い荷物は飛行機で先に行ってしまい立ち往生してしまう。仕方がなくピーターはイーサン(&ブルドッグのサニー)と相乗りのレンタカーでアメリカ横断をすることに。そして様々なトラブル。果たして彼は「妻の出産(デュー・デート)」に間に合うことが出来るのか?
監督はトッド・フィリップスで、彼の前作「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」は正月にDVDで見たのだが感想を途中まで書いて放置していた。あれは日本では馴染みの薄いバチェラー・パーティーの顛末を描いたもの。バチェラー・パーティーは結婚する前の花婿が男仲間を集めて乱痴気騒ぎするやつで、映画とかだと出張ストリッパーを呼んだりするのだが、「ハングオーバー!」ではラスベガスで騒いだら肝心の花婿が行方不明になって部屋にトラがいたり、さあ大変!という話だった。傑作だったが調べたら「スタスキー&ハッチ」のリメイク版もこの人だったのか。あれなんて往年のTVドラマのリメイクで主演もベン・スティラー&オーウェン・ウィルソンといういつものコンビなのに日本公開されなかった。面白いのに。
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一方ダウニーJrは「アイアンマン」トニー・スターク系列のエリート建築家(多分)。劇中でダウニーJrであることを前提としたギャグがあるように思う。例えば空港でイーサンと荷物を取り違え彼のマリファナ吸引用パイプが見つかったときに「大麻はやったことがない」(僕が最初に笑ったとこはここなのだが笑っていたのは僕一人だけでした)とか妻に電話で「貴方はキレやすい」って言われるとか。
この二人の珍道中を面白おかしく描いたものなのだが、まあそのほとんどは非常にお下品なギャグで満載なわけです。オナニー、身体障害者、遺灰、マリファナ、メキシコ、不倫、人種。一般にタブーとされてる様々なことが笑いに昇華されている。この辺はアメリカ映画の懐が深いところだと思う。
例えばどう見ても白人であるイーサンがマルコムXに扮した写真とか黒人と白人の間の子をシマウマに例えるとか不謹慎極まりないギャグも多いんだけどそんなに不快には感じないんだよね。
キーアイテムになっているのはイーサンの父親の遺灰が入っているコーヒー缶で、さすがにこれはおろそかには扱えない。ピーターはイーサンを置き去りにして逃げ去ろうとするが遺灰に気付いて戻るし、友人宅でコーヒーにして飲んでしまうシーンとか非常に笑える。似たようなシーンのある映画を見た覚えがあるんだけど、思い出せないなあ。
イーサンはひたすら無邪気で悪意が見えない(最初はわざとかと思ったが)。それゆえに成長も感じられないし自分が好調な時は愉快な奴だが精神的に参っている時はこれ以上ないくらいにウざい。とはいえ、かたや今から父親になろうという身、かたや父親をなくして独り立ちする身、とそれぞれの待遇は歩み寄れる。トイレでイーサンが演技を見せるシーンでなぜか離婚の電話の中に父親の死を紛れ込ませたり(この一連のトイレシーンは凄い良かった!)、グランドキャニオンでだけ特にふざけてなかったのはそういう意味合いもあるのではないか。その後殴りあうけど。
さて、ここからは裏読みなのだが、おそらくイーサンはゲイだと思う*1。歩く後姿、小さな犬を大事そうに飼ってる姿などからそう推理する。冒頭の飲酒運転をしていた男は多分一夜のパートナーだ。そうすると色々見方も変わってくる(特にオナニーシーン)。もちろん、イーサンはピーターをそういう目で見てるわけではないだろう。でも例えば普通の男だったら妻の出産に立ち合わせたりするのは嫌がるような気がする。同意見、あるいは異論反論募集!
あ、最初の夢のくだりがきちんと最後に反映されるのもしっかりした展開だと関心しきりだった。
僕的には凄い面白くて、傑作だったのだが、ただ、前作もそうだけどこの監督の映画は人によって好き嫌いが激しいと思われる。下ネタギャグ、不謹慎ギャグが苦手な人は文句を言うくらいなら最初から見るのを避けた方が良いと思われます。