それぞれの正義の立場 相棒 劇場版Ⅱ
今年劇場で観た映画のベストととかを考えてみたら気付いたこと。今年は「仮面ライダー」「スーパー戦隊」などを除くと邦画を全然観てないんですね。まあ、例年も2〜3本ぐらいしか観ないのではありますがそういや観てないなあ、と。何本か興味をそそられる邦画タイトルもあったんですがやはり少ない予算でやりくりすると優先順位で後ろになってしまう。「ヤマト」とか観て「突っ込み入れてえ!」という気持ちもあるんですがそれよりは他の洋画を優先してしまう。
そんな中でこの年の瀬に観に行った今年唯一の邦画*1が「相棒 -劇場版II- 警視庁占拠! 特命係の一番長い夜」*2。
物語
特命係による警視庁職員婦人による警察庁女性職員殺人事件を解決した夜。捜査一課は在庁祝い、鑑識米沢は志ん生のメモリアルCDを買うために金を下ろし、経理の陣川は振り込め詐欺防止の標語をコピー。そして神戸尊は大河内と剣道の稽古、それを紅茶を飲んで待つ杉下右京。そんな警視庁に一人の男が訪れた。(以上シーズン9、第9話)
警視庁幹部12人による定例会議に一人の男が押し入り、前代未聞の警視庁幹部を人質にした篭城事件が起こる。特命係は犯人を特定。彼は懲戒免職になった元警官だった。SITによる強行突撃が行われる中、人質と犯人がもみ合いになり、犯人は動機不明のまま死亡。人質の正当防衛が認められる。疑問を持った特命係が独自の捜査を開始した・・・
以前にもちょこっと触れたけど僕はこのTVシリーズ「相棒」は主人公杉下右京(水谷豊)の相棒が亀山薫だったときもたまに見てはいたけどあんまり熱血漢のキャラは好きにはなれなくてファンと言うわけではなかった。新相棒神戸尊になって元々及川光博のファンだったこともあってはまってしまった。
今回は神戸を新相棒に迎えての2シーズン目、その途中での劇場版と言う形だが時間軸が少しずれている。「予兆」と題された9話は劇場版直前の話だが、それ以外は劇場版の後の話である。第5話で神戸と陣川が初対面のはずなのに2回目であるような会話をしていたのは劇場版で既に会っていたからなのですな。そして衝撃作第8話「ボーダーライン」でことさら被害者の一年間を追って12月であることを認識させた上で9話は7月のカレンダーを劇中に出している。つまり劇場版はシーズン8とシーズン9の間に位置するエピソードと言うことになる。劇場版を見た上でシーズン9を見るとまた違った印象を持つのではないだろうか(特に第6話「暴発」とか)。
最初の方の神戸尊と大河内監察官(神保悟志)のシャワーシーンと言うサービスショットもある。劇場版だからといって無駄に大きい話にはしていない。
話は警視庁の幹部12人が人質になるという篭城事件から始まるのだが、この警視庁幹部がTVの方でもレギュラーでもある内村刑事部部長(片桐竜次)を始めとして強面のおっさんばかり。日本のこの年代の強面俳優総動員したんじゃないか、と言うくらい。名高達男のような体格のいい人から、まるで経済ヤクザのような雰囲気の佐渡稔などなど。関係ないけど佐渡稔はその昔「11PM」とかで宇津井健(宇津井健は警察庁長官の役で出演)の真似、というか再現演技してましたよね。
たかだか人を殺し、脱獄し、逃亡したという、たったそれだけのことで彼がコンクールに出られないなんてそんな理不尽なことってありますか!
で、特命係はこの篭城犯が殺されたのは正当防衛なのかどうか、という捜査から警察庁と警視庁の勢力争い、公安部の存在意義のために事件をでっち上げた「影の管理官」を突き止めるにいたる。アクションもそれなりにあるけれど(右京さんの軽やかにラベリングするシーンは必見!)むしろ顔をつきあわせての密室劇のような部分も多い。
基本登場人物のほとんどが警察官であり、しかもいわゆる悪徳警官の類ではない。誰もがそれなりの正義感でもって行動している。しかしマクロな視点で時に一般人を犠牲にしてもやむなし、という人もいれば、右京さんのように大局がどうなろうと目の前の悪を見逃せない、という立ち場もある。
「まさか、絶対的な正義がこの世にあるなんて思ってる?」
警察は暴力装置である*3。普通の人が許されないような装備や行動が許される。だから暴走しないように市民がコントロールしなければならない。「影の管理官」のように暴走し、小さな犠牲が黙殺されるようではダメなのだ。
今回はっきりって観終わってどっと疲れる、充足感はあるが、カタルシスはほとんど無い。「えっ、そこで終わるの?」と言う感じ。でもリアルさで行ったらありだろうなあ。多分、どんなに頑張っても犯人は起訴されないだろう。
ネタバレ!
今回、小野田官房長が亡くなります。それもあっさり。死ぬ時の演技が少しあれだったので入院ぐらいで済むと思ったらその後、葬儀のシーンにつながって本当に死んでしまったんだなあ。そういえば回転寿司で皿を戻さなくなったのも今思うと死亡フラグだ。
パンフレットが無駄に豪華なのだがパロディ広告で「花の里」の広告が載ってて笑った。
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