The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

血と鉛と硝煙が俺の生き様

「西部劇は死んだジャンルである」

 とのっけからなんだがこれは僕が映画鑑賞を本格的な趣味にし始めた頃に愛読した「外国映画ベスト200―青春の数だけ名画がある (角川文庫)」という本の中でジャンル別説明の西部劇のコーナーでの解説で述べられていたことである*1。これは1990年8月の出版ということなのでその頃の話。確かに僕が子供の頃西部劇の新作はほとんど作られていなかったし、それどころか80,70年代の作品もなくほとんどがオールド・ハリウッドの作品ばかりがTV放映されていた。この当時は確かに西部劇は「過去のジャンル」だったのだ。まあ、結局この後「ダンス・ウィズ・ウルブズ」で再び西部劇に注目が集まり、「マーヴェリック」「ヤングガン」などでかつてのようなブームとはいかなくても普通に一ジャンルとして定着したのは御存知のとおり(僕がリアルタイムで西部劇を見始めたのはここらへんから)。
 僕が好きなのは「荒野の七人」で大概年末年始になるとどっかで放送していたので馴染み深いということもあって黒澤明の「七人の侍」よりも好きだ(まあ、先にこちらから触れたから、というのもあるだろう。なんといっても「七人の侍」は時間の長さと白黒というのがネックになって放映数では「荒野の七人」に及ばない)。
 その「荒野の七人」は先述の通り「七人の侍」の西部劇リメイクである。そのせいかやはりそれ以前の西部劇とは雰囲気が異なる。個人的にこの作品はやはり黒澤時代劇「用心棒」のリメイク(ただし無断)である後の「荒野の用心棒」に始まるマカロニ・ウエスタンとの橋渡し作品だと思っている。
 最初に劇場で西部劇を意識してみたのは先述の「ダンス・ウィズ・ウルブズ」で西部劇を復活させたケビン・コスナーが実在、伝説の西部の英雄ワイアット・アープを演じることで話題になった「ワイアット・アープ」だった。これ自体はいまいちだったもののそこから西部劇に興味を持ち「OK牧場の決斗」などを見始めた。「荒野の七人」だけは小学校の頃から死ぬほど見てるんだけどね。
 西部劇は必ずしもアメリカ・メキシコを舞台としなくても構わない。「オーストラリア」はタイトルどおりオーストラリアを舞台とした西部劇だし、「グッド・バッド・ウィアード」は旧満州を舞台としているが立派な西部劇といえるだろう。特に「グッド〜」の方は日本で作られてもおかしくない(満州国は日本の傀儡国家)だけに惜しい。

グッド・バッド・ウィアード 特別版 (2枚組) [DVD]

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 漫画だと「荒野の少年イサム山川惣治川崎のぼる)」と最近だと「RED Living On The Edge村枝賢一)」の2本。「荒野の少年イサム」はばあちゃんちで読んで極悪なウィンゲート親子と元黒人奴隷のビッグ・ストーンの相反する格好よさに惚れた。肝心の主人公イサムが成長する前で単行本が途切れてて実は未だに結末を知らない。
「RED」は騎兵隊に虐殺されたインディアンの生き残りが壮絶な復讐をする話。
Red 19 (アッパーズKC)

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RED DEAD REDEMPTION

 で、なんでこんな西部劇について書いたかというと、久々にゲームを買ったのですよ。洋ゲー西部劇「レッド・デッド・リデンプション」。前々からCMを見て面白そうとは思ってたんだけど最近はゲームの動向に昔ほど気を使わなくなってたので発売日とか認識してなかったんだけど既に発売されてたんですね。で、気にはなってたところに以下のような記事を立て続けに見たら猛烈にプレイしたくなって買ってしまった。

魂揺さぶるアメリカンスピリット「レッド・デッド・リデンプション - 深町秋生のベテラン日記
 
星と荒野とそして死と。〜ゲーム『レッド・デッド・リデンプション』メモリの藻屑 、記憶領域のゴミ

 舞台は1911年のアメリカ・メキシコ国境地帯。一般に西部劇の舞台となる西部開拓時代は南北戦争前後の1860年代から1890年代ぐらいまでを指すことが多い。そうするとこのゲームの設定は西部劇とは少しずれるわけだが、そこは問題なし。酒場には荒くれ者があふれ、馬泥棒、強盗が日常茶飯事に起きる世界。ほぼ一日おきに酒場の女が殺され決闘で命を落すバカもいる。
「西部の墓はああいう若くて負けず嫌いな連中で混み合ってるんだ」
 これ本当に20世紀の話?これに比べりゃ攘夷派浪人が外国人狙ってた幕末日本の方がよっぽど安全だよ!まあ、もちろんゲーム的に誇張はしてあるんだろうけれど西部の舞台は十分に楽しめる。
 しかし、メキシコは今も昔もそう変わらないのであった。
麻薬戦争と麻薬ビジネスの戦慄すべき実態を物語る衝撃的な写真集 - GIGAZINE
 ちなみに僕はこのゲームを出しているロックスター社を「バットマン アーカムアサイラム」のロック・スタディ社と勘違いしてました。僕はいわゆるオープンワールド系のゲームは初めてしたんだけど、とにかく馬に乗ってるだけで楽しい。最初マップの見方が分からなかったのでストーリーが遅々として進まなかったんだけど、普通に牧場と町を行き来して、途中で出会う出来事(襲われてる馬車を助けたり、馬泥棒を追っかけたり色々)をクリアしているだけでも楽しいのだ。今のところ賞金首上等の非道プレイをする余裕はなく。とりあえず一度クリアしたら(現在メキシコに入った辺り)そういうプレイもやってみよう。登場キャラが基本小汚いおっさんばかりなので道中で追われてる人とかをみつけて追跡者を撃ってみたら逃亡犯と役人だったりして意図せず賞金首になったりしてます。
 主人公のジョン・マーストンは僕の中ではカート・ラッセのイメージ(カート・ラッセル主演映画にハズレなし!)。とはいえ年齢的にはもう少し若く、ヒュー・ジャックマンとかヴィゴ・モーテンセンとかかな。 
 


 ところで深町先生の記事でなんで「悪魔のいけにえ」のアフィが貼ってあるんだろう、と思ったのだが、プレイすればすぐ分かる。しかも御丁寧に2回に分けて出てくるとは・・・テキサスは恐ろしい!

*1:現在手元にないので厳密にこのままかは不明