The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

漢の魂を消耗せよ! エクスペンダブルズ

 その昔、小学校ぐらいのころ、兄の部屋で盗み読みしたおしゃれ雑誌(多分「MEN'S CLUB」)に
「通は映画を俳優でなく監督で選ぶ!」
みたいなことが書いてあってなるほど、と思ったものだった。そのころのスターといえばトム・クルーズとかロブ・ロウとか(きしくも最近作品見た俳優ばかり)だったが、映画通を気取ろうと思えば俳優より映画監督を語る方がそれらしい、と思い込んでいた時期が長くあった。
 しかし、それもこの作品では通用しない。何と言ってもこれは頭から尻尾の先までアクション俳優を堪能する作品だからだ(とはいえ監督もスライだけど)。
 というわけで話題のアクション俳優総出演映画「エクスペンダブルズ」を鑑賞。

 物語はあってないようなもので、傭兵たちがCIAの依頼でメキシコ沿岸の島国で独裁者を倒す、というもの。完全にスライ達アクションスターを愛でる映画となっている。
 ただ、冒頭のドルフ・ラングレンの一発によってその本気っぷりは十分に感じ取れる。大体役柄と役者を区別する必要がないくらい(劇中彼らの役名とかほとんど気にならなかった)彼らの個性が生かされている。では、そんなエクスペンダブルズ、使い捨ての男達を紹介しよう。

シルベスター・スタローン

 別名イタリアの種馬。御存知ロッキー・バルボアでありランボー。後はマシンガン・ジョー。エクスペンダブルズのリーダー。血管を浮き上がらせた異様なまでの二の腕がいつ破裂するか分からない不安感を誘う。特技は早撃ち。シュワとは昔の仲間で商売敵。
 

ジェイソン・ステイサム

 新世紀のフランケンシュタイン。手裏剣使い。仕事を終えて帰ってきたら恋人(「バフィー〜恋する十字架」のコーデリアカリズマ・カーペンター)は別の男と出来てたよ!でも女を殴る奴は容赦しないぜ。チームの副リーダー。よく考えるとステイサムとスライは新旧「デスレース」共演なのだなあ。
 

ジェット・リー

 未だにリー・リンチェイの方が馴染みがあったりする。黄飛鴻。チーム一小柄な男でその分他より余計に動き回らなきゃならない。だから分け前を余分によこせ!金を余計にもらうためなら非実在家族をでっち上げるぜ。
 僕はこの人の「少林寺」シリーズや「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」のせいで「中国人凄い!」という意識が刷り込まれている。例えばオリンピックの新体操とか「中国人が本気出せばどこも敵うはずない」と思ってしまう。ずっと童顔というイメージがある人だけど(だからこそそのギャップが生きる)いざというときの凄みも。今回は脇を固めつつ、スライ、ジェイソンに次ぐナンバー3として地味に活躍。中盤のドルフとの格闘は見所。
 

ドルフ・ラングレン

 未だに「ロッキー3*1」のドラゴの人、といわれてしまう。通称、不発の核弾頭。マサチューセッツ工科大学出身、元ファッションモデル、極真空手有段者、4ヶ国語使用。つまり頭が良くて運動神経も抜群のハンサムガイにもかかわらず映画の世界ではいまいちパッとしなった人。
 今回はスライの友達でありながらヤクで身を崩して凶暴化、それを理由に仲間から外されると裏切って敵につく、というツンデレさん。多分ドルフ本人がもつ理知的な部分はまったく感じられず、ちょっとハンサムなリチャード・キールと化している。死んだかと思いきや生きてた。
 

テリー・クルーズ

 パンフのフィルモグラフィーを見る限り、唯一アクション畑出身ではない人のようだ。元アメフト選手。中盤銃器を乱射するシーンで光り輝く。
 

ランディ・クートゥア

 アマレス全米王者。総合格闘で活躍したらしいが僕はあまりシュート系は好きじゃないので知らない。俳優転向後も主にアクション映画で活躍してたらしい。レスリングのやりすぎで耳が餃子みたいになったことは劇中でも言及されてる。一見地味だがラストにストーン・コールドを1対1で倒すという最大級の活躍をする。
 

ミッキー・ローク

 元エクスペンダブルズ、現マネージャー兼彫師。すっかり下っ腹も出張ったがナイフ投げの腕は衰えちゃいねえぜ。女の趣味は結構大味。好きな女のためにギターに絵を描くが完成するころには別れてしまうらしい。

ブルース・ウィリスアーノルド・シュワルツェネッガー

 ウィリスは身分を隠してスライに仕事を依頼するチャーチ役。シュワは同業他社で仕事をスライに譲る役。次の目標はアメリカ大統領。この二人はゲスト出演ではあるがこの3人がスクリーン上で一緒に写るというのはなかなか感慨深いものがある。共同出資でレストラン経営とかしてるからプライベートの2ショット、または3ショットはあったと思うけど。
 
 こっから敵さん

エリック・ロバーツ

 サルバトーレ・マローニ。ジュリア・ロバーツの兄貴で現在冷戦中。TVドラマ「HEROES/ヒーローズ」や「ダークナイト」のマローニ、そして今回ですっかり悪役のイメージが付いてしまった印象。この映画では数少ない知性派(というか陰謀家)だが一応CIA出身ということで銃さばきはなかなかのもの。
 

ゲイリー・ダニエルズ

 ロバーツの用心棒その一。ハリウッド版ケンシロウ。ジャッキーとも戦ったことあるよ。
 

”ストーン・コールド”スティーブ・オースティン

 What?テキサス産ガラガラ蛇、最凶のタフ野郎。WWE殿堂入りのスーパースター。「オースティン3章16節に曰く、お前のケツを蹴っ飛ばす!」 僕がWWEを見るきっかけになったレスラー。オーナー社長であるビンス・マクマホンとの対決でWWEを全米一の団体に押し上げた。
 今回はロバーツの用心棒として手を汚さない主人の変わりに女も殴るぜ。というポジションからステイサムとラスト戦うのかな、と思いきや違った。中盤のスライとの対決は見ごたえあり。台詞は少ないが黙っててもカリスマ性を放っていると思うのは僕がプロレスラーとして個人的な思い入れがあるからではあるまい。同じレスラー出身のロック様ことドゥエイン・ジョンソンに比べると役者としては不器用なタイプでその辺はスライと共通するところがあるかもしれない。(女に暴力振るうという点では気に食わないものの)非常にいいキャラなのでもし次回作があるならまた出て欲しい。無理だって?大丈夫ビッグ・ボスだって復活したんだから!
 What?文句があるならいつでも言ってやるぜ!What?右から言おうか?What?それとも左からか?What?なんなら後ろから言ってやってもいい!What?でもやっぱり正面から言ってやるぜ!What?分かったか!ストーン・コールドかく語りきよ!


 ストーン・コールドスタナーが見たかったけど今回はプロレス技はクロースライン(ラリアット)ぐらいだった。
 
 さて、映画としては物語自体のリアルさとかは最初から気にしてないのだが、後半黒ずくめのエクスペンダブルズが夜半に潜入するというシチュエーションなので折角個性的なスターを大量に起用しているのにその判別がつきにくいという欠点がある。その辺は開き直ってスターの顔を明るく照らして欲しかった。
 爆発や火炎はこれでもかとばかりに盛大にあがるので見てて楽しい。後は人体破壊描写!冒頭のドルフのフライング威嚇に始まり、銃撃、切断、格闘技と色々な方法でけっして映倫におもねることなく見せてくれる。
 また、作品としてはスライが自分の限界を見据え(劇中でも揶揄する台詞あり)次代のアクションスターとしてジェイソン・ステイサムを前面に押し出している。
 続編もあるかもということでその際は今回出れなかったアクションスター(ジャン=クロード・ヴァン・ダムスティーブン・セガール)も出るかも。
音楽もロック色が強く良かったのだが日本上映版は(吹き替えではなく字幕版でも)長淵剛のオリジナル主題歌が流れるが、そもそもの起用の善し悪しは置いておいて曲自体は作品のテーマを反映していて歌詞、曲調共に良かったと思う。
 漢なら必見!魂の叫びを聞け!

*1:id:katokitizさんより指摘あり。ドルフが出てるのは「ロッキー4/炎の友情」でした。「ロッキー3」はミスターTハルク・ホーガンが出てる別名「グラバー」ですね。凡ミスでした・・・反省!自戒も込めて直さずにおきます