国家百年の計とか言うけど普通百年ももたないよね
昨日、戸籍上で149歳の人がいるというニュースを元に記事を書いて、その途中で152歳の人が出てきた、と新しいニュースを紹介。さらに今朝、追記で黒船来航以前の生まれの人が発覚したニュースを載せました。一般に幕末の始まりは1853年のペリー来航(黒船来航)とされているのでこの人は文字通り江戸時代の生まれということになります。
で、僕は
次は「大塩平八郎の乱」(1837年)覚えてるよ!とか言う人登場の予感
と書いたのですが、さあ!出ました。
本当かよ、と思うところですが山口県(長州藩)なので地理的にあれですが、年代的には「大塩平八郎の乱」をリアルタイムで記憶しててもおかしくない年代ですね。
なんか自治体対抗でご長寿戸籍を競ってんじゃねーのか、とか勘繰りたくなりますが、一連のニュースのブコメで
「江戸時代ってわずか150年前なんだなあ」
と言うような意見が結構見受けられました。まあ、確かにそうなんですよね。
僕は自称佐幕派なので江戸時代を高く評価しています。もちろん明治維新も高く評価しますが相対的に貶められるのは納得いきません。もちろん江戸時代が(明治と比べても)パラダイスだったなどと言うつもりはありませんが。
僕が高く評価するその理由はまずは何をおいても国内が平和だったということです。島原の乱(1637)から大塩平八郎の乱(1837)まで約200年も平和が続きました。一方明治以降の大日本帝国は対外戦争をしまくった挙句約80年で滅んでいます。これだけ見ても徳川幕府はもっと高く評価されてもいいはず。
またその統治方法も巧妙でした。当時の日本はおよそ300諸侯に分かれる一種の連邦国家でしたが強力な中央政府(幕府)がありながら一方で強固な地方自治体(諸藩)が存在する、という絶妙なバランスに成立っていました。例えば参勤交代。
子供の頃、参勤交代で藩の財政が圧迫される、とかを聞くと
「じゃあ、大名行列とかやめて、少人数で行けばいいじゃん」
とか思ってたのですが、そうはいかなかった。一種の人質制度として語られることが多いですが名目上は首府である江戸の警護としての軍役なんですね。だから石高に応じてそれなりの軍勢を用意しなければならない*1。しかしその結果、江戸が巨大消費地区と化して発展し、地元と江戸を往復する武士たちによって地方でも最先端の情報を共有できました。また江戸や大阪といった一部の大都市以外にも城下町という形で人口10万以上の都市がたくさん成立していたのは驚くべきことです。もしも参勤交代が無ければ明治維新も薩摩や長州といった地方発の革命にはならなかったのではないでしょうか。
現在の日本国は65年の平和を保ってきました。江戸時代の平和記録に迫れるかどうかは今後の努力次第ですが誇っていいことです。
さて、僕は先ほど「大日本帝国は約80年で滅んだ」「日本国は65年の平和を保った」と書きました。よく「日本は連綿と続く世界で一番古い国家」という人がいますがもちろんそんなことはありません。国土としては古く連綿と歴史は続いていますが国家(この場合権力を持っていた体制を指します*2)はそれぞれ別の体制です。現在の日本国は大日本帝国が滅んだ後1945年に成立、と考えるべきです。
現在の先進諸国で一番古い国家はイギリスでしょう。それではその次はというとおそらくアメリカ合衆国です。一般に「若い国」というイメージのあるアメリカですが、1776年の建国以来234年を迎えます。この間一度も憲法を変えず国家体制も変えなかった現存する最も古い国家のひとつといっていいでしょう。 アメリカの体制って調べれば調べるほどよく出来てるなあ、と感心するのですが、一方で大統領に強力な力を与えつつ、任期を制限したり法律の提出権をなくしたりと独裁をけん制するつくりになっています。そりゃ長く続くよなあ、と思うわけです。
大昔に比べて一つの国家体制あるいは王朝というものの寿命は短くなっているように思います。よく「国家百年の計」とか言いますが百年後の体制なんてどうなってるか検討もつきません。願わくば平和でありますように。ギャフン!
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