作戦は奇を以って良しとする! 特攻野郎Aチーム
「特攻野郎Aチーム」を鑑賞。非常に軽快で痛快なアクション映画です。
邦題について
*.映画そのものとは関係ないのでこの段落は読み飛ばしてもらっても結構です。
これはまだ僕の中でもどう結論付けていいのか分からないのだが、要するに8月公開の映画に「特攻」とつけてしまうことについて。
もちろん、これが80年代にヒットしたTVシリーズの映画化で「特攻野郎Aチーム」という名前はそのときのものをそのまま流用しているというのは分かっている。単に「Aチーム」だけでは物足らないし、かといって別の枕をつけるのは何か違うと思う。むしろ下手に新しい邦題をつけずTVシリーズのタイトルをそのまま持ってきたことは誠実な態度だとも思う。
しかしその一方で日本では8月というのは嫌でも先の戦争を意識する月である。先週の「ゲゲゲの女房」が水木しげるの戦争体験の回想週をこの時期に持ってきたのは偶然ではなく狙ったものだと思う。
特に「神風特攻隊」というのは日本が犯した行為の中でももっとも恥ずべき愚かな行為の一つだ(もちろん恥ずべきなのは命令した軍上層部と現代において賛美する輩であってパイロットではない)。それを冠したタイトルを8月公開の映画につけていいものだろうかと、思ってしまう。これが別の月であれば全然気にならなかったのだが。
一方で単に「特攻」だけでなく「野郎」と付けば、それはもう「Aチーム」以外の何者でもなくいわゆる「神風特攻」とは別のものである、というのは肌で実感できる。「自己犠牲で相手を倒す(生きて帰るのは許されない)」ではなく「無茶もするけど絶対生きて帰るぜ!」という内容からしても全然別物だ。
映画の内容とは直接関係ないけど少し気になったので(そして一度気になるとなかなか頭から離れないので)・・・
TVシリーズ
で、先ほども述べたとおりこれは80年代にヒットしたTVシリーズのリメイク映画化である。80年代のTVシリーズでいうと「ナイトライダー」とか「超音速攻撃ヘリ エアーウルフ」などと並んで隙あらば再放送されてたイメージがある。僕も見ていたはずなのだが4人のキャラクターは覚えているけど個々のエピソードは何一つ思い出せないや。今回はアメリカ版の名称に戻っており(要は「トランスフォーマー」と一緒)クレイジー・モンキーやコングの名称は使われない。まあ、一回限りの字幕版では致し方ないかな。今回の映画版ではそれぞれのキャラクターを生かしたキャスティングがされています。
個人的にはコング役のミスターTとクレイジーモンキー役のドワイト・シュルツは印象深い。ミスターTは「ロッキー3(真なるタイトルは「グラバー」)」とか「レッスルマニア3」でのホーガンと組んでのロディ・パイパー戦とか(映画じゃないよ!)。漢の中の漢です。一方シュルツはクレイジーモンキーよりも「新スタートレック」でのレジナルド・バークレー役の方で僕の中では記憶されている。
作戦は奇を以って良しとする!
まずは登場人物紹介
ハンニバル(リーアム・ニースン)
Aチームリーダー。「作戦は奇を以ってよしとすべし」をモットーに派手且つ綿密な作戦を考案、実行する。
演じるは師匠役者としてすっかり定着してしまったダークマンことリーアム・ニースン。
フェイス(ブラッドリー・クーパー)
日本での旧称はフェイスマン。天性の色男で作戦の主な実行役。物品調達も係りの内。演じるブラッドリー・クーパーは本当に美青年だけどそれだけでなく表情とかに愛嬌があって、こりゃもてるわ。チームの中では副リーダーで作戦を立てることも。次代のハンニバルといったところか。
B.A(クイントン・ジャクソン)
日本での旧称はコング。優秀なメカニックでドライバー。愛車はアイアンハイド*1。腕っ節も強いが根は優しく、飛行機嫌い。今回は何故飛行機が嫌いになったかが明かされる。実はチームの中で一番常識人?
演じるジャクソンは元総合格闘技のチャンピオンだそう。TVシリーズではもっとも特徴的なミスターTが演じてただけにモヒカンだけに意匠を残し、ファッションとかは敢えて真似していない。そのモヒカンにもきちんと意味を持たせている。
マードック(シャルト・コプリー)
日本での旧称はクレイジー・モンキー。天才的なヘリ(に限らないが)のパイロットだがイカれている。
演じるは「第9地区」で一躍僕らのヒーローとなったヴィカスことシャルト・コプリー。「第9地区」以上に挙動不振ぷりを発揮。異常事態を楽しむ様は本当に嬉しそうだ。
マードックが脱出するシーンでTVシリーズの映像がかかる(と思う)がそのときのクレジットが「レジナルド・バークレー」となってた(気がする)。
ソーサ(ジェシカ・ビール)
Aチームを追いかける国防省の大佐(後中佐に降格)。フェイスの元恋人。はめられて脱走したチームを追い詰める(が空回り気味)。
演じるビールは過去に食人鬼一家や吸血鬼や人工知能を持ったステルス機などと戦ってきた経歴を持つ女傑。
リンチ(パトリック・ウィルソン)
妙に目立ちたがり屋なCIA職員。ヤンエグっぷりが鼻につく嫌なヤロー。
演じるウィルソンは「ウォッチメン」のナイトオウル。今回は嫌な役を嬉々として演じてます。
本編はメキシコにおける4人の邂逅から始まり、イラクにおける偽ドル札の原版強奪作戦、そしてその作戦ではめられそれぞれ別々に獄中へ(マードックのみ精神病院へ)。そして脱出と再び原版奪取作戦へ。
それぞれのシチュエーションは面白く、特に戦車を積んだ飛行機で脱出、空中戦。飛行機爆破、積んでた戦車で堕ちながら戦闘。という一連の流れは素晴らしいものがある。
今回は自己紹介、といった感じで本格的に(合衆国政府に囚われないという意味で)活躍するのは次回以降ということなのだろう。ラストにTVシリーズでのオープニングのナレーションがかかる。もしも次回作があればまた見てみたい。
エンドクレジット後のお楽しみ。
例によって最後まで見てた人のためのお楽しみ(今回クレジットが始まった時点で立ち去る人の量がいつもより多かった)。
フェイスが日焼けマシンを使うシーンに出てくるのはTVシリーズでフェイスマンを演じたダーク・ベネディクト。同じくマードックが電撃を喰らうシーンに出てくるのはTVシリーズでクレイジーモンキーを演じたドワイト・シュルツだ。
ミスターTとジョージ・ペパード(ハンニバル役)は出てこない。まあ、なんかあの二人仲悪かったらしいし・・・
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And that's bottomline couse STONE COLD said so!
どんな80年代バブル映画だよ!
*1:素人の僕が見た限りでは同形車