The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

クラシックな香りのする映画 ウルフマン

 まずは今日、僕が体験した恐ろしい体験から聞いて欲しい。レイトショーで映画を観たのだが、何と僕以外客が誰もいなかったのだ!これまでにも最初は客がいたのにエンドクレジットが終わって明るくなったら僕1人だったとか、土砂降りの日に観に行ったら1人だったとかは経験あるのだが、レイトショーとはいえ天気のいい平日に最初から最後まで僕1人だったのは初めての経験だ。
 そしてそんな客のいなかった作品の名は「ウルフマン」。

 さて、僕と同世代か少し上ぐらいだと「ウルフマン」と聞いても「狼男」よりこちらを思い出す人も多いと思う。
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「ウルフマンを含まない13種セット」・・・・「ウルフマンを含まない」・・・・・・!?
 まあ、いいや。とにかく「ウルフマン」だとこの「キン肉マン」登場の超人のことであって(リキシマン?知らないね)いわゆる「狼男」だと「ワー(ウェア)ウルフ(人狼)」の名称でファンタジー小説RPGで親しんでいるだろう。*1

狼男


 絵は劇中にも出てきた人狼を描いた18世紀の絵。
 狼男といえば「怪物くん*2でおなじみ三大怪物の1人であるが固有名詞でもある「ドラキュラ」「フランケンシュタイン(の怪物)」に比べるといまいち地味だ。多分元になったのが伝承であって代名詞となるべき小説をもたなかったからだろう。
 それでも映画化はたくさんされていて僕が見た作品だと「ハウリング」や「狼男アメリカン」、ジャック・ニコルソンの「ウルフ」、「ファングルフ」それにやはり外せないマイケル・ジャクソンの「スリラー」。比較的最近だと「アンダーワールド」シリーズのライカンなど。最近はCGの発展のせいか変身後は完全に人間ではなくなってる物が多いね。
 

物語

 1891年、シェークスピア俳優ローレンスは兄の婚約者から手紙をもらい久方ぶりの帰郷をする。兄が行方不明だというのだ。ローレンスを出迎える父親ジョン。既に兄は死体で発見されたという。酷い惨殺死体と化した兄を見て事件の解決を誓うローレンス。
 満月の晩、父の止めるのも聞かずジプシーンの集落へ情報を集めに行くローレンス。そこに謎の怪物が襲い来る。ローレンスは必死に射止めようとするも襲われ怪我を負ってしまう。腕が使えなくなるほどの大怪我だったが驚異的なスピードで回復してしまう。怪しむ村人達。そしてまた満月の晩が来た・・・

 本作は1941年のユニバーサル映画「狼男」のリメイクで主演のベネチオ・デル・トロが主演と製作を兼ねている。そのせいか実に古風な雰囲気の作品だ。もうデル・トロの顔が暗闇の中で浮かび上がっているだけで変身したがってるのが分かるくらいの獣風味な面構えなのだが、そのおかげで獣化に違和感がない。狼男への変身といえば徐々に毛が生えていく人間味を残す昔ながらのオーバーラップ方式と「ハウリング」でロブ・ボッティンが手がけた顔がボコボコ変化して完全に獣になるのと大きく2つのパターンがあるが今回はボッティン方式を採用しつつも最終的にはオーバーラップ風味。
 ラスト近く、ぽっちゃり茶色ウルフマンと筋骨真っ黒ウルフマンのタイマン勝負はなかなか見ごたえがあった。
 他のキャストはデル・トロの父親役にアンソニー・ホプキンス。人食いの頂上を極めた人だ。
 そして惨殺事件を解決しにロンドンからやってくるのは裂け谷のエルロンドことヒューゴ・ウィービング。このウィービング演じるアバーライン警部は実在の人物で劇中でも言及されるがあの「切り裂きジャック事件」を解決できなかった担当した人である。「フロム・ヘル」の評判の悪い映画版でジョニー・デップが演じてたのもこの人。この人本作のラストだとあれなのだが・・・現実では無事に人生を全うしているはずである。
 後はジプシーの女預言者役がマーゴット・キダーかと思ったが違った。キダーは「スーパーマン(1978)」のロイス・レーンで波乱万丈な人生を送った女性なのだが、今回は違ったのでその話についてはまたいつか。演じた人は何とあのチャップリンの娘だ!
 

スタッフ

 僕はこの映画を観ていてなぜかティム・バートンを思い出したのだがエンドクレジットで納得。脚本は「スリーピー・ホロウ」のアンドリュー・ケビン・ウォーカー(元タワレコ店長)だし、プロダクション・デザインもやはり「スリーピー〜」のリック・ハインリクス、そして何より音楽がダニー・エルフマンだったのだ。ただしもしティム・バートンが監督してたらもっとドイツ表現主義っぽくなっていただろう。あくまで戦前のユニバーサルホラーっぽく仕上げたのは監督のジョー・ジョンストンの手腕だろう(パンフによるとデル・トロの意向でもあるようだ)
 そして、肝心の特殊メイクアップは大御所リック・ベイカーその人である。過去に狼男は「狼男アメリカン」「スリラー」「ウルフ」などを手がけているが猿と狼(のメイク)が大好きな人だ。デル・トロの骨格を生かした狼男を見せてくれる。
 昔から疑問だったのだが狼男が人間に戻る際生えた毛が引っ込むのはどうなんだろう。その都度生え変わる方がリアルだと思うのだが。
 
 ところで、僕以外に誰もいなかったはずなのに予告編が終わった時点で子供の声が聞こえたのだがあれはいったいなんだったのだろう?

ウルフマン (ハヤカワ文庫FT)

ウルフマン (ハヤカワ文庫FT)

*1:ところで今の若い人はなんで力士モチーフの超人が「ウルフ」なのか分からない人も多いでしょうね

*2:ドラマ面白いんですかね。全然見る気がしないんだけど