The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

方舟は大罪をのせて 2012

 世界の終わり!というとなぜかウキウキしてしまうんだけど日本では当の昔に終末ブームは過ぎ去ってしまったけど、アメリカでは今まさにブームだそうだ。
 マヤの予言?によると2012年に世界が滅びるそうである。なんでも古代マヤでは天文学が発達しており暦もかなり未来まで作られているにもかかわらずそれが2012年で終わってるからだそう。
 ところで一口に「世界の終わり」と言っても「地球の終わり」と「人類の終わり」では微妙にニュアンスが変わってくる。人類が死滅するだけならむしろ地球にとってはいいことじゃね?なんて思ったり。まあ、人類が滅びるときは少なからず他の生物にも影響あるでしょうけどね。道連れだ!
 と言うわけで話題の終末映画「2012」を観てきた。

 監督はドイツ発アメリカ万歳野郎ローランド・エメリッヒ。前回は始まりを描いたネタ映画「紀元前1万年」だったけど今回は終末。ところでエメリッヒってドイツ人なのに典型的なハリウッド大作ばかり撮るのでアメリカ万歳野郎と思われてるし実際僕もさっきそう書いたけどよく考えると映画の中でアメリカは大変なことになってばかりだなあ。
 
 で、この作品はエメリッヒの何度目かのディザスタームービー。
 良くも悪くも馬鹿映画だろうと思ってたけど、思ったよりいいできの映画。SFXのできはもちろん、結構キャラクターがしっかりしてる。悪く言えば類型的、よく言えば昔の空想特撮映画的なタイプばかりではあるんだけど、とにかく視点がいろいろなキャラクター目線なのが良い。
 インドに始まり世界中の崩壊を描き、最終的にチベットで建造中の方舟に乗れるかどうかを描く。
 あれ、マヤは?そう、作品の中ではほんの少し触れられるだけであくまでSFものなのでマヤの出番はほとんど無い。
 で、その地球崩壊の過程だけど、科学的にどこまで説得力があるものなのかは文系の僕には分からないけどとにかくヴィジュアルに圧倒されてしまう。大体この手のものは予告編以上の物は無い場合が多いんだけど比較的早い段階で予告編の地上崩壊を見せてくれるし、その後も出し惜しみ無く見せてくれる。最近のSFXは凄いなあ。
 
 それで、チベットで建造している巨大船に乗れるかどうかがストーリー上重要なところなのだが、これって「世界最後の日」だよね。現代のノアの方舟を作ったがいいけれどそれに乗せる人々を選別するのは人類史上最大の差別ではないか?例えば、主人公の雇い主であるロシア系実業家ユーリは方舟の建造資金10億ユーロ(一人分)と引き換えに方舟の乗船券を手に入れている。「地球最後の日」では土壇場で資金を出した金持ちは科学者に拒否されてしまう。「2012」では科学者ヘルムズリー*1が各国首脳に訴え船の門を開放する。最初の予定では方舟の建造に借り出されたチベットや中国の人たちは乗せてもらえない予定だったのだ。もしもそのまま出発していれば人類の新しい神話は最初から血塗られたものになっていただろう。
 それに比べると、「2012」のほうがまだ希望は持てる。
 
 後はキャストが結構いい顔の役者が多くてダニー・グローバーが大統領役なのにびっくりなのだが大統領の娘役がなまめかしい*2
 後はやっぱりウディ・ハレルソン。こういう映画の中では楽しいけど現実にはお近づきになりたくない役をやらせたら最高ですね。ラリー・フリント」最高!]

 後は特に関係ないんだけど方舟の船長が妙に「スターウォーズ」のグランド・モフ・ターキンというか銀河帝国軍の制服に似てるのは気のせいか?
 
 その他、いろんな解釈ができそうなシーンはたくさんある。ひとつだけあげると大統領の最後、ホワイトハウスを襲う津波のなかに母船「ジョン・F・ケネディ」号がいてそれに押しつぶされるシーンとか。
 
 実ははっきり言って期待してなかった作品だったんだけど予想以上に面白かった。もしまだの人がいればお勧めします。
 
 
追記
 チベットのお兄さん、どっかで見たことあるなあと思ったら「ダークナイト」のラウだ!顔は似てるけど服装とかで別人みたいだねえ。

*1:WWEのレスラーHHHから取ったのか?

*2:関係ないけど「リーサル・ウェポン」シリーズのグローバーの娘リアン役の人は凄い美人だったなあ