The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

私を地獄に連れてって スペル

 サム・ライミ監督の新作ホラー、「スペル」を鑑賞。
 実は最初、この映画を見る気はなかった。というのも事前情報としては、サム・ライミのホラー映画という以上に情報を仕入れておらず、
サム・ライミのホラーかあ。まあ、ライミも「スパイダーマン」でいまやすっかり大物だし、お上品な作品なんだろうなあ」
という認識でいたのだ。もはや僕の中ではすっかり「死霊のはらわた」の人ではなかった。
 
 ところが、こちらのブログでこの映画を紹介していた。
必見!愉快なホラー映画『スペル』 - 俺の邪悪なメモ
 要約すると、これは「ババアが若い女の子をストーキングする映画」らしいのだ(強引なまとめ)。
 これは面白そうだ!というわけで一気に観たくなってきて、最終日に観てきた。
 

 
 主人公は「ビッグ・フィッシュ」でユアン・マクレガーの奥さん(というかジェシカ・ラングの若いころ)を演じたアリソン・マーロン。この娘の印象はか弱い感じの美少女だったのだが、さすがに少し大人っぽくなっている。個人的にPerfumeあ〜ちゃんに似てるので今後あ〜ちゃんと呼ぶことにしよう(同じAから始まるし)。
 彼氏役は「ギャラクシー・クエスト」のジャスティン・ロング君。さすがにもう「ギャラクエ」から10年経ってるから子供には見えないが、いまだに頼りなさそうさはピカ一。
 
 冒頭、ジプシーから首飾りを盗んだ少年が呪いをかけられとある霊媒師のところに担ぎ込まれる。それだけだと少年が悪いように思えるが、この少年きちんと謝罪して返そうとしたにもかかわらず、許してもらえなかったというのだ。
 結局少年は霊媒師の眼前で地獄に引き込まれ、霊媒師は悪霊に再見を誓う。
 
 
 そして、現在。あ〜ちゃんは銀行で融資係をしていて彼氏のジャスティン・ロング君は名門の出(どうやら大学で心理学を教えているようだ)。自分は農家の出なのでつりあうように次長に昇進するべく頑張っている。
 ある日、ジプシーの婆さんがローンの返済の延滞を求めてきたが、ライバルに差をつけたいあ〜ちゃんは断ってしまう。するとババア豹変!怒り狂う。
 
 そして、この後、前半の見せ場とでも言うべき、地下駐車場、車内でのバトルが始まる。あ〜ちゃんの車で待ち構えるババア。主な攻撃方法は噛み付き&チョーク。対するあ〜ちゃんはホチキスや定規で反撃だ。うまく車内から締め出したがババアは何と駐車場の車止めの石でガラスを割る!凄い怪力。ババアはあ〜ちゃんのコートから袖のボタンを引きちぎり、勝ち誇って呪いをかける。つまりこの乱闘は完全に超常現象抜きの肉弾戦だったのだ。
 
 そして、呪い(三日間嫌がらせを受けた挙句三日目に地獄に連れて行かれる)によるババアの嫌がらせが始まる。そのほとんどが、ババアが突然出てきて驚かすというもの。
 上司の前で鼻血ブーしたあ〜ちゃんはババアに謝罪に行くが、ババアはすでに死んでいた!死体から口移しに何かもらってしまうあ〜ちゃん。それにしてもこの時の孫娘(?)の態度が酷い。ごめんですんだら警察はいらねえ、の世界だ。生きてたら生きてたで、死んだら死んだでどこまでもはた迷惑なババア。
 
 占い師に従って、飼い猫をいけにえに捧げたのに効果なし。ついにはジャスティン・ロング君の実家で粗相をしてしまう。さらに昇進までフイになる始末。
 
 このままじゃ埒があかねえ、と占い師の師匠の霊媒師(冒頭の人)に頼んで除霊してもらおうとするが、一時的に追っ払っただけで失敗。すると占い師が「呪いをかけられたボタンを他人に贈ればいいんだよ」とぶっちゃけ。最初に言えよ!と思うがこの辺からオチが見え始める。
 で、オチが見えるとこの後のあ〜ちゃんの行動は全部道化に見えてしまう。カワイソス。
 
 
 ジプシーの呪いって言うとスティーブン・キングの「痩せゆく男」とか「バフィー恋する十字架」のジプシーの呪いを受けて魂を持ったヴァンパイア、エンジェルとかが思いつくのだが、みなしつこい。実際のジプシー的にはいいんでしょうかね。
 
 死ぬまでに期限があるところや、呪いを他人に移せるところなんかは「リング」等日本のホラー映画の影響を受けてるとは思う*1けど、がんがん見せちゃうところはやっぱりアメリカ風。
 
  
 ところでこの「スペル」って邦題はどうなの?原題は「DRAG ME TO HELL」で「私を地獄に連れてって」(このタイトルなら勘違いしたカップルが入ったかも。いや、ないか)という素敵なタイトルなのに。
 冒頭、あ〜ちゃんが訛りを直すべく、カーステで発音練習してるシーンがあるけど、そっからとったのか?
 
 ラストの余韻のない終わり方も含めてとても楽しい映画。観て損はなかった。

*1:ライミはハリウッド版「呪怨」のプロデューサー