The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

白雪姫と八人の小人と二人の男 スノーホワイト

 「アメイジングスパイダーマン」「ダークナイト ライジング」「アベンジャーズ」とアメコミ大作が連続で公開されるこの夏、関連してそれぞれの作品に出てるキャストの別作品も前哨戦としてチェックしたりしてるのだが、この「スノーホワイト」もそんな作品。「マイティー・ソー」に主役の荒ぶる神ソー役で出演していたクリス・ヘムズワースが出演するというので観てきたのだった。

 物語は皆さんよくご存知のおとぎ話の基本「白雪姫」。ディズニーの最初の長編アニメ「白雪姫」がスタンダードになっているが、それ故か実写映画化の場合ひねったものが多い。ディズニーの白雪姫は原題が「白雪姫と七人の小人Snow White and the Seven Dwarfs」だがこちらは「Snow White & the Huntsman」で小人でなく猟師(クリス・ヘムズワース)が主要人物になっている。
 で、白雪姫といえば上映前の予告編で「白雪姫と鏡の女王*1」という別の白雪姫題材の映画が流れたのだが、これから白雪姫観るのにその前に別の白雪姫映画の予告編流すなよ!と思ってしまった。
 いわゆる、「本当に合ったグリム童話」的な路線なのだろうか。中世ヨーロッパ風味ではあるものの具体的には無国籍なファンタジー世界が舞台。白雪姫(スノーホワイト)の王国に謎の軍勢が侵攻、スノーホワイトの父である王はこれを滅ぼすが敵の捕虜に絶世の美女ラヴェンナシャーリーズ・セロン)を見つけ一目惚れする。次の日には彼女を王妃にすることに決める。初夜にラヴェンナは王様を殺害、城門を開いて軍勢を率いて王国を占領!わずか3日で王国支配を完了するのだった!王の忘れ形見であるスノーホワイトは幽閉。しかしやがて成長したスノーホワイトは城を脱走。魔法によって若さと美貌を保っていたラヴェンナはそれを維持するためスノーホワイトの心臓を手に入れようと殺害を画策するのだった。スノーホワイト探索に選ばれたのはとある飲んだくれの猟師だった・・・
 うーん、全体的にはちょっと退屈な映画だったかな。謳い文句が「『アリス・イン・ワンダーランド』のスタッフが贈る」なのだが、あの作品の魅力はティム・バートンによるところが大きいのであってスタッフだけ謳われてもなあ、という感じ。それでも黒い森の幻覚とも実際のものともつかぬ悪夢のような描写や聖域におけるカワイイというよりかなりグロめの妖精の描写は見所があったけど。
 ああ、そういえばシシ神様(byもののけ姫)が出てきたり聖域の描写は結構ジブリっぽいかもしれない。てっきりディダラボッチも出てくるかと思ったのに!後は森のトロールスノーホワイトがなだめるところとかも「ナウシカ」とか「もののけ姫」ぽい。結構影響受けているのかな。というかこのスノーホワイトになついたトロールは絶対クライマックスで登場して窮地を救う展開かと思ったのにその後登場せず残念!

 で、白雪姫といえば七人の小人と魔法の鏡。事前の予告編では小人たちについては全然登場せず、出るのかな?出ないのかな?などと不安だったのだが一応登場。しかしなぜか8人登場する。途中で一人退場して7人になるが彼らをもっと全面に出しても良かったと思う。彼ら一見すると実際の小人(ワーウィック・デイヴィスのような)かと思ったらそうではなくて普通の俳優を特殊メイクなどで小人に見せているのだなあ。後で知ったがニック・フロストやボブ・ホプキンス、トビー・ジョーンズといった結構そうそうたるメンバーが扮している(がさっぱり分からんかった)。
 魔法の鏡は額のついていないシンプルな表面を磨いたタイプの物で鏡の表面から金色のスライム状のものが出てきて人間の姿になり口上を述べるというタイプ。しかもこの光景はラヴェンナ本人しか見えないようだ。世間的にスノーホワイト(クリスティン・スチュワート)よりラヴェンナシャーリーズ・セロン)のほうがどう見たって美人じゃん!ということになっているようだが、まあ美醜の程度など人それぞれで確かに若さを除けばべつに極端に差があるわけではないよね。クリスティン・スチュワート演じるスノーホワイトはキャッチフレーズは「戦う白雪姫」ということなので美人というより「勇ましい、格好いい、力強い」という印象なのだがセロンも似たタイプなので優劣がつけにくいのだな。それこそ「深窓の令嬢」タイプのおとなしい白雪姫なら外見というよりそのキャラクターで差を付けられたと思うがこの白雪姫と悪の女王は実は似たタイプなんである。それでも脱出した後のスカートを短く切って動くやすくした活動的なスノーホワイトはそれなりに魅力的である。最後の鎧武者姿はちょっと魅力に欠ける。クリスティン・スチュワートは去年一番稼いだ女優らしいですね。
 セロンは「ヤング≒アダルト」同様青年期から中年にさしかかりいろんなことに焦っている切羽詰まった女性を上手く演じていた。もともとこの人自身はその美貌の割に自分を醜く見せることのに躊躇しないタイプだからなあ。彼女の悪の女王はひとつの見せ場でしょう。でも予告編で彼女がカラスの群れになってさっそうと消えるシーン、本編ではなかった気がするぞ。
 原題に「〜and the Huntsman」と付いているように、この作品のヒーロー的存在はクリス・ヘムズワース演じる猟師である。パンフレットなどでは「エリック」となっているが劇中で呼ばれてはいなかった気がする(エンドクレジットでも「the Huntsman」とだけ表記)。小雪椎名桔平が声を当てる日本語吹き替え版では出てくるのかな*2?クリス・ヘムスワースを最初に知ったのは「スター・トレック」冒頭におけるカーク船長の父親役なのだが、やはり広く認識したのは「マイティー・ソー」の雷神ソーとしてだろう。いかにもオーストラリア出身らしい精悍な肉体とワイルドなフェイスで今回もソー、というかバイキングの延長線上のようなワイルドな男を演じている。一応妻を失って酒に溺れているとかの描写もあるがまあ、どうでもいい感じ。逆にその設定が邪魔して上手くスノーホワイトとの恋愛描写がうまくいっていない印象。それでもヘムズワース個人の魅力で魅せてくれる。
 本来のお伽話ならヒーローである王子役に当たるのは弓矢が得意なスノーホワイトの幼馴染、ウィリアム。ヘムスワースと対象的な貴族的な容貌でっけこう怖い目のセロンや顎が力強いクリスティン・スチュワートに比べるとむしろ彼が一番美人じゃね?という感じである。
 その他、顔に刺青をした女性だけの水上ぐらしの部族が結構魅力的。ただ肝心の女王の軍団がしょぼいので全体としてはつまらなくはないが飛び抜けたものもない作品であった。とはいえヘムズワースやセロン、クリスティン・スチュワートなど役者のファンであれば観て損はないかと思う。

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 そういえば上映前予告編ではもうひとつ、ピクサーの新作「メリダとおそろしの森」も流れた。この作品主人公メリダの声をAKB48大島優子が当てるということで良くも悪くも話題になっているが、もしも予告編の時点で既に彼女ならそう悪くない気がする。まあ3DCGアニメ作品は比較的タレント吹き替えと相性はいいのだけれど。そして「スノーホワイト」にもメリダそっくりの娘が出てたね!

*1:監督は「インモータルズ」のターセム・シン。なので多分観ないな。でも結構面白そうではある

*2:日本で勝手に作った名称かとも思ったが一応英語版WikipediaにもEricと出ていたので設定はあるようだ