愛と平和とライダーの成長と 仮面ライダー平成ジェネレーションズFINALビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー
2018年ももう1月が終わり。寒さに震えておりました。何より今年は元旦こそ劇場で映画を観たものの、そこから先まだ劇場へ行けていないのです。その元旦に観た映画は「仮面ライダー」最新作。仮面ライダー平成ジェネレーションズFINALビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー」タイトルが長い!の何回目かを観に行ったのでした。これは「MOVIE大戦MEGAMAX」以来の傑作ですぜ!
- 物語
「エニグマ、起動!」
平行世界移動装置=エニグマを使った何者かの企みによって、
二つの世界が一つになろうとしていた。
一つは、仮面ライダービルドとして戦う桐生戦兔たちがいる世界。
もう一つは、仮面ライダーエグゼイドとして戦っていた、宝生永夢たちがいる世界だ。
この事件の黒幕は、ビルドの世界の東都政府の元・研究員だった最上魁星。
彼は二つの世界をドッキングさせることによって、
すべてを消滅させ、自らは「永遠の命」を手に入れようとしていたのだ。
人類に残された時間は、あとわずか。
地球最大の危機に、伝説の彼方に去ったはずの、あの戦士たちが立ち上がった・・・・・・。
ビルド、エグゼイド。そしてオーズ、フォーゼ、鎧武、ゴースト。
6人の仮面ライダーが、世界の消滅を阻止するため、いま力を合わせる――!!
えー、張り切ってあらすじ書いたんですが、トラブルで消えてしまったので(同時に再び書く気力も消えた)、パンフレットのSTORYから引用しました。なのでかなり端折ったものとなっていますが、詳細は追々触れていきたいと思います。
今年はまだスーパー戦隊の方の「VSシリーズ」が全然情報が上がってこず、もしかしたらないのかもしれませんが、代わりと言ってはなんだけどこちらのライダー映画が最高なのでぜひ観に行ってほしいです。
この「平成ジェネレーションズ」は今回が2作目。系列的には「MOVIE大戦」の現行ライダーと前年のライダーのクロスオーバー作となる。ただそれ以外のライダーもがっつり関わってくるのが「MOVIE大戦」と違うところか。とはいえ平成と言う年号が来年で終了予定であることからこのシリーズはここで打ち止め。とはいえ新たなタイトルでまた作られることでしょう。
「MOVIE大戦」シリーズは大きく3つのパートに分けて、前年のライダーの後日談エピソード、現行ライダーの新作エピソードを経て二人のライダーが共闘するMOVIE大戦パートに至るのが特徴だったが、それは「ゴースト&ドライブ」及びタイトルを「平成ジェネレーションズ」に変えた前作の「Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー」では踏襲されず一本のエピソードとして描かれました。今回も基本的には一本の長いエピソードではあるのですが、何しろテーマがパラレルワールドであり、終盤までビルドとエグゼイドが直接交わることがないこともあって二分割でこそないけれど、二つの世界のエピソードをちょくちょくザッピングしながら楽しむと言う感じでしょうか。
これまで何回か書いたと思うのですが、スーパー戦隊の「VSシリーズ」が割りと一定のクオリティを保っているのに比べると仮面ライダーのクロスオーバー作品は出来不出来が激しいです。より低年齢向けのスーパー戦隊のほうが多少の矛盾を物ともせず力づくで押し通せる勢いの良さがあると言う部分もあるのですが、仮面ライダーのそれも春映画は色々中途半端なものが多いです。
一応これまでの平成仮面ライダー第2期(仮面ライダーW以降)は同じ世界観の物語といってよくその世界を貫く存在が財団Xでした。なので前作エグゼイドまでは多少の矛盾はあれど同じ世界の物語といってよいでしょう。しかしビルドは違います。10年前に火星から持ち帰ったパンドラボックスによって日本は北都、東都、西都の3つの国家に分裂し覇を競っている、という完全に新しい世界です。なのでどうしてもクロスオーバーさせるなら平行世界を移動ということになります。仮面ライダーの平行世界物ではなんといっても個人的にワーストでもある「仮面ライダーディケイド」が真っ先に浮かんでくるため、不安だったのですが幸いエグゼイド以前を一つの世界、そしてビルドの世界と二つに絞ったため、パラレルワールドテーマの作品としてもこれまでのライダー映画では最良のものとなりました。
今回脚本は「エグゼイド」と「ビルド」のそれぞれのTVシリーズのメインライター高橋悠也と武藤将吾が共同で担当。まず片方が脚本を書き、それをもう一方が自分の担当したライダーの描写を修正しつつ第二案を書き、それを受け取ったらもう一回自分のライダーの描写を修正しながら書き、とキャッチボールしながら書いたそう。お陰で両ライダーのエピソードとしてもこれまでのTVシリーズの補完としても優れたものとなっています(ちょっと矛盾はあるかも)。
「仮面ライダーエグゼイド」は実は平成ライダー2期の中で最もノれなかった作品で、そのせいで前作は劇場では見逃してしまいました。後半になってクロノスが現れたり、檀黎斗が檀黎斗神になったり、九条貴利矢が復活したあたりからハマった感じ。なので「エグゼイド」関連の映画は観ていなかったりしたのですが、物語は「トゥルーエンディング」(レンタルで見ました)からつながっています。映画のラストに突然現れてエグゼイドのパワーをボトルに吸収するビルドの描写がそれ。今回の映画はそこから始まります。戦兔は身に覚えのないその行為を葛城がビルドとして行ったもの、と推理(最も「トゥルーエンディング」でのビルドの口質、口調は明らかに戦兔ノそれなのだが)。これらはのちにTVシリーズの方で戦兔が顔を変えられ記憶を失った葛城巧その人、と判明したことで見事につながります。
なので永夢自身は終盤まで変身しません。そこで他のゲーマドライバーたちのチームとしての活躍が光ります。ブレイブ、スナイプ、レーザーはもちろん、ゲンムまで。ただ個人的に一番好きなシーンは病院でカメラがワンショットで階段から降りていき、エグゼイドチームが毛布や水をやりとりしながら永夢とタケル(ゴースト)の元まで辿り着くシーンが妙に格好良くて変身後のシーンよりも好きです。
今回僕が観に行った大きな理由は二つ。ひとつは現行ライダーの「仮面ライダービルド」が面白いこと。そしてもうひとつは仮面ライダーオーズと仮面ライダーフォーゼがレジェンドライダーとしてしかも渡部秀や三浦涼介、福士蒼汰がちゃんと顔出しで出演すること。なんといっても特に「仮面ライダーW」「オーズ」「フォーゼ」の3作品は僕が最も好きな平成仮面ライダー。現在「W」も漫画「風都探偵」で続編展開中です!
「仮面ライダーオーズ」からは火野映司とアンクが登場。ちゃんと「MOVIE大戦MEGAMAX」でのアンクとの別れと約束を踏まえた展開でその復活と再びの別れは涙なしでは見れません。多分映画史上最も感動的で美しくそしてエロチックにアイスキャンデーを舐めるシーンがある映画だと思う。アンクはその魂とでもいえる鷹のコアメダルを割れた状態で映司が所持しているわけですが、今回は財団Xの科学者でもあるエグゼイドの世界の最上魁星が用意した人造のコアメダルから生まれた偽アンクの身体を依代として一時的に復活した、という設定の模様。割れたコアメダル自体は修復しないので結局また消えることになるのですが、未来への希望は残した展開。
そしてフォーゼ!こちらは新米教師としての如月弦太朗を見ることが出来ます。新米教師といえば「MOVIE大戦アルティメイタム」。この作品では(公開時から見て)5年後の世界で教師として、新・天ノ川学園高校に在籍していましたが、今回はあの映画から5年ということで、その直前の出来事。セリフで城島ユウキの乗ったスペースシャトル打ち上げとそのサポート役としてロシアに行った歌星賢吾のことが語られます。
フォーゼは主演の福士蒼汰の活躍こそ目覚ましいものの、仮面ライダー部はじめ一部の出演者には割りと不幸といっていい出来事が続いています。歌星賢吾役の高橋龍輝は引退。ほのかりんは未成年飲酒などで事務所解雇。第一話で賢吾にラブレターを渡す生徒役で出演した冨田真由はストーカー事件の被害者となりました。そして城島ユウキ役の清水富美加は突然「幸福の科学」へ出家すると行って全てをうっちゃってしまいました。今回エンドクレジットではそれぞれの作品のTVの時のダイジェストともいえるスナップが出てくるのですが、「フォーゼ」のところは慎重に清水富美加が写っているカットを排除していたなあ。とにかく僕は「フォーゼ」が好きすぎるので出てたキャストは全員幸せになってほしいと願ってやみません。
弦ちゃんは「アルティメイタム」でフォーゼドライバーを廃棄するのですが、今回はその直前それでも多分久々のフォーゼとしての活動といったところなのでしょうか。決して出番は多くないですが紛れも無い弦ちゃんの活躍が見れます。仮面ライダー部からはJkと大杉先生が登場。
他は仮面ライダーゴーストと鎧武が登場。ゴーストは「平成ジェネレーションズ」前作でエグゼイド「と共演済みなので割りとエグゼイドのブレイブたちとともに行動。タケル殿は多分年齢的には今回一番年下でやっと大学に受かった一年生といったところ。ライダーとしてはエグゼイドやビルドより先輩ですが立場上永夢には敬語になりますね。この映画の一番の笑いどころは御成と檀黎斗神の仏と神の会話です。
神といえば鎧武ですが、鎧武の世界自体はおそらくWからエグゼイドにつながる世界ですが、彼はなんといっても神様なので一人ビルドの世界へ現れます。多分今後シリーズが続く上でビルドのような明らかにこれまでと違う世界観の作品も出てくると思うのですが、そこでそれらをつなぐ役割をするのが鎧武なのではないかと思います。
先ほどタケル殿が一番若い、と書きましたが、じゃあ仮面ライダーとして一番後輩は誰なのかというとそれは仮面ライダークローズである万丈龍我ということになります。エグゼイドはすでに一年戦ってきましたし、戦兔も番組が開始した時点ですでにビルドとして活動履歴が半年~一年ありそうです。また本人は覚えていませんが葛城としてのビルドの経験もあります。また戦兔はあの性格なのでパラドやエグゼイド、他のライダーに対しても特に後輩ぶりません。
しかし万丈は番組も開始してから、映画公開の直前(この映画は14話直後ぐらいだたと思われます)仮面ライダークローズとなりました。まだまだ新米ライダー。当初は恋人の敵と自分にかけられた殺人容疑を晴らすためという個人的な動機が中心で、この映画を通して先輩ライダーと接することで仮面ライダーとしての自覚と責任に目覚めることとなります。両方の世界で物語は彼の視点となることが多いようです(最近また暴走気味ですが)。
今回の敵はパラレルワールドの両方に存在する二人の最上魁星。それぞれ性格は違いますが、この二人の同一人物がそれぞれエニグマを作り合体させることで世界の破滅と不死身のバイカイザーとなることが目的。性格の異なる二人の最上魁星を大槻ケンヂが演じています。
ラストは北都のあらたなるライダー仮面ライダーグリスが登場してTVに続く形をとって終わり。この映画ではクレジットは「???」ですがTVの方では絶賛活躍中で演じているのは「仮面ライダーキバ」の紅音也こと武田航平。武田航平こと紅音也は「キバ」の中ではイクサ、ダークキバなどに変身しましたが、これらは全部他の登場人物も変身しているので今回始めて武田航平オリジナルのライダーということになります。ちなみに息子の紅渡は月曜日に女装してドレス作ったり、かまどの火と一緒に料理したりしてます。
さて、本作の監督は「仮面ライダーゴースト」のオリジナルビデオを監督し、「エグゼイド」のTVシリーズを手がけた上堀内佳寿也。劇場用映画作品としてはこれが初監督作品となります。最初長い名前過ぎて「上堀・内佳・寿也」かと思った。今回は脚本がよく出来ていたことこもありますが、絵作りも素晴らしく(先述したエグゼイドチームの病院のシーンなどセンスが光る)、坂本浩一監督と並んで今後特撮ヒーロー系では注目したいです。
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とにかく面白いから観て!
新年のご挨拶
あけまして
おめでとう
ございます
というわけで、今年は戌年。僕はというと新年早々体調を壊してしまい幸先の良くないスタートです。元日恒例の劇場初めは「仮面ライダー平成ジェネレーションズFINALビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー」を観賞。もう何度目ですかね。毎度アンクと映司に涙してしまう。多分映画史上最もエロく美しく、そして感動的にアイスキャンデーを舐めるシーンがある映画です。本当はもう一本ぐらいはしごしようと思ったんだけど、あまりに体調が悪いので断念して帰宅。今日はもう「風雲児たち」と「相棒」を見て休もうと思います。
さて犬というと「銀牙 流れ星銀」くらいしか思いつかなかったのですが、そういやアイツがいたよダルメシマン!
ギャー!!
ギャー!!
スクービードゥーも怯えてしまいました。
今年もよろしくお願いします!
英雄と怪物の2017年映画ベストテン!
バーフバリー!!!
というわけで「バーフバリ 王の凱旋」の興奮も冷めやらぬのですが、ついに大晦日。今から今年日本で公開されて、僕が劇場で観賞した映画作品の中からベストテンを決めたいと思います。今年は上半期は割りとド派手な作品よりはちょっと小規模の作品が好きになったのが多くてどうなるかな、と思ったけれど、下半期はド派手な作品が続いて結局例年と変わらぬエンターテインメント志向のランキングとなりました。
昨年のベストテンはこちら。
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それではまずはベストテン一覧。
- バーフバリ 伝説誕生&バーフバリ 王の凱旋
- 仮面ライダー平成ジェネレーションズFINALビルド&エグゼイド withレジェンドライダー
- 怪物はささやく
- ザ・コンサルタント
- 美女と野獣
- 新感染 ファイナル・エクスプレス(ソウル・ステーション/パンデミック含む)
- スパイダーマン:ホームカミング
- ワンダーウーマン
- 銀魂
- SING/シング
とまあこんな感じ。1~3位は別に同率1位でも良いです。「バーフバリ」は昨日観たばっかりで興奮冷めやらぬというのもあるけれど、もし「伝説誕生」のみで「王の凱旋」が来年になっていればランキングしなかったかもしれません。この2本はとにかく濃密。そしてずっと飽きない。アメコミ勢はMCUとDCFUから各一本づつ。他のMCU、DCFU作品も好きだけれど代表して一作という形。
それでは各作品ごとに。
- バーフバリ 伝説誕生&バーフバリ 王の凱旋
インドの超大作文明映画。物語自体は特定の歴史や神話、伝説を元にしているのではなくオリジナルだそうだが(一番モデルになっているのはインドの2大叙事詩の一つ「マハバーラタ」だそう)、普遍的な英雄伝説としてインドに限らず世界中の人が楽しめるでしょう。ハリウッドのVFX、スタントチームなどが参加して、もちろんCGやスタント、VFXもふんだんに使われているのだが、それを承知していても役者たちの生身の肉体から発する闘気、表情から放たれるカリスマ。それが男優だけでなく女優にも、正義の英雄にも悪の暴君にも備わって観るものを圧倒する。細かいことはいいんだよ!とにかくこれは劇場の大画面大音量で観てほしい!
昨年の「エグゼイド&ゴースト」から「MOVIE大戦」ではなく「平成ジェネレーションズ」とシリーズ名を変更した現行ライダーと前年のライダーの共演作。ただし今上天皇の退位によって平成が30年で終わるは確定なのでおそらくこの名前でのシリーズは2作で終了(といってもまた別の名前で続くでしょうが)。
スーパー戦隊の「VSシリーズ」が割りと一定のクオリティを保っているのに対して、仮面ライダーのクロスオーバーは出来不出来が激しい印象があるのですが、今回は個人的に「MOVIE大戦MEGAMAX」以来の傑作。異なる世界のライダーが出会うパラレルワールド設定を採用していますが、それ自体が作品の重要なテーマとなって、単に違うライダーを出会わせるための手段ではなくなっています。また今回は平成仮面ライダー第2期の初期ライダー「仮面ライダーオーズ/OOO」と「仮面ライダーフォーゼ」からも参戦。弦ちゃんは新米教師としてTVシリーズの5年後を描いた「MOVIE大戦アルティメイタム」直前の物語、オーズは映司だけでなくアンクもちゃんと登場し、それもただ登場するだけでなくきちんと整合性をつけているのです。こちらもまだまだ絶賛公開中なので観て!
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「バーバリ」や「仮面ライダー」は英雄譚でありますが、もっと小規模にそして僕個人の心に刺さったのはこの「怪物はささやく」でありました。上の2つは神話的でしたが、こちらは寓意的な民話的な物語。少年の心を癒やすというには厳しすぎる「クリスマスキャロル」です。一年に一本ぐらいは現れる「俺の映画」、今年は「怪物はささやく」がそれです。
今年一番最初に「今年のベスト級!」と思った作品。事前に情報を仕入れず何の期待もしていない状態で観たのも幸いでした。主演のベン・アフレックは「ジャスティス・リーグ」も公開。一方でハリウッドの一連のセクハラ事件での言動でかなり株を下げたのではありますが、それをおいてもベストにしないのはもったいない作品でした。
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同名のディズニーアニメ映画のリメイク。アニメを純粋にパワーアップさせた感じの実写版。僕はアニメの方は特に好きではなかったのだけれど、こちらはドはまりしました。敵役のルーク・エヴァンズもその自身の魅力でアニメ版のガストンを越えていたと思うし、声を担当したユアン・マクレガーの歌声は相変わらず素敵。もちろん主演のエマ・ワトソンもそのキャリアの長さ(なんといってもハーマイオニーでお馴染み)を(良い意味で)感じさせない新鮮溌剌な演技&歌で魅了してくれました。
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前日譚のアニメ映画「ソウル・ステーション/パンデミック」を含むランクイン。韓国のゾンビ映画で、もちろん韓国的な部分もありながら人間ドラマは普遍なのは世界中でリメイク企画が始動したことからも明らかでしょう。
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マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)からはこちら。今年は「ドクター・ストレンジ」「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス」「スパイダーマン:ホームカミング」「マイティ・ソー バトルロイヤル」と四本が公開。それぞれ同じ世界の物語とは思えないぐらい多種多様でした。その中で「スパイダーマン」は待望のMCU参加。年齢的にも最も若いMCUヒーローとして、新風を吹き込みました。これまで紡がれた「スーパーヒーローやヴィランが当たり前のようにいる世界」の新米ヒーローの日常、という風景が逆に新鮮でした。もちろん他の3作も良かったですよ。
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マーベルと並ぶアメコミ出版社のもう一方の雄DCコミックスのDCフィルム・ユニバース(DCFU*1)の第4弾。「バットマンVSスーパーマン」で颯爽と登場し、(色んな意味で)世界を救ったワンダーウーマンの待望の単独主演作。一応映画の前後を現代で挟んでいますが、本編は100年前の第一次世界大戦が舞台。特に過去の3作と共通するところが無かったのも良かったのか、DCFUでは一番”まともな”作品となりました。
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江戸末期、黒船の替わりに宇宙人がやってきたパラレルワールドの江戸を舞台にしたSFコメディ剣戟。基本の物語は原作のままにギャグは実写向けにアレンジ。原作そっくりなキャラクターたちがてらいなく大まじめだけど大いにふざけて演じたことで個人的には日本の少年漫画を原作とした実写作品の中では最良のものとなりました。何度か言っているけど原作のエピソードを基本そのまま使用することで福田雄一監督(脚本も)の弱点、物語部分の特にオチの弱さも解消されています。好き嫌いは激しく分かれるけど好き。
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最後は擬人化された動物が歌って踊る(ミュージカルではないが)音楽映画。同じ動物擬人化物でもディズニーの「ズートピア」は単に面白い、かわいいだけでなく現実を反映した社会派サスペンスとして観れるところが凄いけど「SING/シング」はそんなところを全く感じさせないところが凄い。
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ワースト3
さて、一応ワースト作品も選出。例年どおり単につまらないと言うよりは、期待したのにダメだった、というその期待値と実際に観たあとのガッカリ度の差の値が大きい作品がランクインと言う感じですね。僕個人との相性というのも大きく、なのでたいていここで選ばれた作品は世間的には大ヒット好評価の作品だったりします。
「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」は今も絶賛公開中。世界中で賛否を呼んでいますが、個人的には圧倒的にダメ。僕の大好きなキャラクター(ええい、言ってしまおうアクバー提督です)が雑なリスペクトのない死に方をしたのが一番大きな要因ですが、それ以外でもこれはダメだと思います。監督のライアン・ジョンソンは前作「ルーパー」もワーストだったなあ。
「ラ・ラ・ランド」も個人的に非常に相性の悪い作品でした。ミュージカルとしてみると最初の2曲のナンバーは良かったけれど、そこがピークで後は盛り下がる感じ。また主人公二人のキャラクターもあまり受け付けなかったです。作品には監督のデミアン・チャゼルの個人的な背景も関係しているらしいので、この監督の作品は今後も相性悪いのかな・・・
「リヴォルト」は上2つと違って普通につまらなかったです(なので本当はワースト2としてもいいんだけどキリの良いワースト3にしました)
悪人ベスト
いつものならベストアクションヒロインを選出するのですが今年はインド(バーフバリ)とギリシア(ワンダーウーマン)が強すぎた。これで「ソー」関連で北欧神話まで登場してしまうのでもはや神話の領域。ほかが霞むので今回は悪役のベストを挙げてみましょう(上半期でも選んだしね)。
- ジンガロ(皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ)
- バラーラデーヴァ(バーフバリ)
- 井上筑後守(沈黙-サイレンス-)
- ガストン(美女と野獣)
- パク・ソンベ(アシュラ)
- エゴ(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス)
- ヘラ(マイティ・ソー バトルロイヤル)
- リタ・レパルサ(パワーレンジャー)
- ヴァルチャー(スパイダーマン:ホームカミング)
とりあえず順不同で9人。後の一人は各自それぞれ選びましょう。なんならスクリーンの外に飛び出てハリウッド&日本のセクハラ、性犯罪野郎どもでもいいですし。
とりあえず悪人たちは皆悔悟の念が殆ど無いまま終わる人たちですね。楽しんで悪役をやってる感。中には自分が悪役だなんて微塵も思っていない人たちもいるんですが。その中でも「沈黙」の井上筑後守は実在の人物ということもあって、劇中で何らかの咎めを受けることもなく、いあわば勝利者として映画が終わるのがより凄みがあります。
ヘラとリタの女性ヴィランは実は共通点があって、原作コミックスのヘラは「電子戦隊デンジマン」の曽我町子演じるヘドリアン女王の外見のモデルです(東映スパイダーマンから始まる東映とマーベルの提携の一環ですね)。そしてリタはご存知「恐竜戦隊ジュウレンジャー」で曽我町子が演じた魔女バンドーラがオリジナル。つまりこの二人の女性ヴィランはともに曽我町子でつながるのです。ヘラの悪役っぷりも見事でしたし、リタはすでに女性悪役のパイオニア。この二人に共に曽我町子が関わってるのは凄い!
さて、この辺で今年はさようならです。2018年はとりあえず「パディントン2」で始まり最初のアメコミピークは「ブラックパンサー」ですが、「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」がありますぞ!ではみなさん良いお年を!
とりあえずみんな「バーフバリ」と「仮面ライダー」は観てくれ!
神も仏もいなくても仮面ライダーはいる!(最近のライダーは神も仏もいます)
神(檀黎斗神)と仏(御成)の対話。
*1:DCエクステンデッド・ユニバースでDCEUだったのが日本ではDCFUと呼称することになったようです
2017年下半期に観た映画!
デス&トロイがお怒りです。新年の公約も何処へやら、今年は昨年以上に映画の感想記事をかけませんでした。色々理由はあるんですよ。寒い。パソコンが絶望的に遅い。はてなブログに変えたら色々変わってブログが書きにくいエトセトラエトセトラ。ほかはともかくアメコミ関連だけは書く、という決意も「LOGAN」で躓いてしまいました。現在もアメコミに限っても「マイティ・ソー バトルロイヤル」「ジャスティス・リーグ」がまだ書けてません。
ただ映画を観ていないのか?というとそんなこともなくて一応それなりに観ています。というわけで2017年の下半期に観た映画をリストアップ。簡単な感想もここで書いておきます。
例によって参考にしたサイトはこちら。
7月
8月
9月
- 新感染 ファイナル・エクスプレス
- ダンケルク
- エイリアン:コヴェナント
- あさひなぐ
- ドリーム
- ソウル・ステーション/パンデミック
10月
- 猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)
- アナベル 死霊人形の誕生
- 斉木楠雄のΨ難
- ブレードランナー2049
11月
- マイティ・ソー バトルロイヤル
- IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。
- シンクロナイズド・モンスター
- GODZILA 怪獣惑星
- KUBO/クボ 二本の弦の秘密
- ジャスティス・リーグ
12月
- 探偵はBARにいる3
- 仮面ライダー平成ジェネレーションズFINALビルド&エグゼイド withレジェンドライダー
- スター・ウォーズ/最後のジェダイ
- カンフー・ヨガ
- バーフバリ 王の凱旋
公開が大分過ぎて上映終了ギリギリになって観た作品なんかもあるので必ずしも公開月に鑑賞したわけではないですが、一月に4本以上は観ていますね。例によって複数回観てる作品もあるので実際の観賞数は不明です(最近だと仮面ライダー平成ジェネレーションズは3回ぐらい観た)。
それではそれぞれの簡単な感想を。
7月
キアヌ・リーヴスの幽玄暗殺者奇譚第2弾。より裏の世界の様式美が確立され世界が純化。ラストついにホテルのルールを破り世界中の殺し屋から狙われることになったジョン・ウィック。第3弾にも期待。
- ライフ
火星で発見された未知の生命は当初の予想を裏切って凶暴に成長。宇宙ステーションの乗員たちはなんとか対処しようとするが…「エイリアン」と「スプライス」を合わせたような密室系宇宙ホラー。レベッカ・ファガーソン、ジェイク・ギレンホール、ライアン・レイノルズ、真田広之と言った豪華なキャストで面白かった。ただラストのオチは個人的にイマイチ。別にバッドエンドはいいんだけど、あれはちょっと違うよな…
週刊少年ジャンプ連載の人気作品を福田雄一監督が実写化。ギャグは実写に合わせてアレンジ。福田監督の弱点(と僕は思っている)ストーリー部分も原作の「紅桜篇」をそのまま使うことで解決。今年たくさん公開された日本漫画の実写映画化作品としては最良のものとなった(といってもそんなに観てないんですが)。
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日本のスーパー戦隊のアメリカでローカライズした「マイティ・モーフィン・パワーレンジャー」の映画版。映画としては3作目だが、今回はTVの爽快感は控えめ。「クロニクル」を彷彿とさせる雰囲気の映画となった。その分逆に後半のメガゾード戦なんかがマッチしなかったかも。続編を匂わせる要素も合った(ゼッド卿やトミー・オリバーの存在)のでぜひ続編にも期待したい。
人気シリーズ第3弾。僕も大好きなミニオンたちの主人グルーを主役に双子の弟や子役をスねらせた悪役なんかが登場します。ミニオンは出てくるシーンは全部良かったけれど、あくまでこれは怪盗グルーの作品。日本語の副題になっているほどにはミニオンの映画ではないので「ミニオンズ」のような作品を期待するとちょっと期待はずれかも。そっちはやはりいずれ来るであろう「ミニオンズ2」の方に期待したい。
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一説には早くも計画頓挫が噂されるユニバーサルモンスターが跳梁跋扈する世界を描いたダークユニバース第一弾にして「ミイラ再生」のリメイク作品。とにかくトムが(精神的に)若い。若さに任せた勢いで突っ走り最後は神になる映画。紛うことなきトム映画です。
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8月
破壊大帝*1マイケル・ベイのトランスフォーマーシリーズ第5弾。作品を重ねるごとに複雑さを増し、適当さも増し、火薬の量が増す映画。今回はアーサー王伝説にトランスフォーマーを重ねてクインテッサ星人なんかも登場。メガトロンは何の説明もなくガルバトロンから戻っているし、正直めちゃくちゃです。さすがに「トランスフォーマー」では多少のことでは動じない自負がある僕も今回はお手上げでした。でも好き!
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実写映画の世界ではソニー所属だったスパイダーマンがMCUに帰ってきた!というわけで21世紀に入ってからはすでに3度目のスパイディの映画はMCUの一本となりました。これまでにない若さでMCUの中でもフレッシュ感満載。さらにヒーローやヴィランが普通に存在するMCUの日常をうまく描いていて、個人的にはMCU作品の中でもかなり好きです。
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マーベルと並ぶもう一方の雄DCコミックスの第4弾にしてわりと一番まともな映画。第一次世界大戦を舞台にした戦争映画としてもよく出来ていたと思います。
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ポール・ヴァーホーヴェン監督作品。暴力と欲情と性癖と一癖も二癖も、というか正直お近づきになりたくない(見た目は普通だが)奇人変人達による暗黒のドラマ。
9月
韓国ゾンビ映画。韓国における新幹線KTXを舞台に繰り広げられるゾンビ絵巻グロ描写はむしろ抑制の効いたものであるけれど、その中で社会批評性、人間賛歌も描かれる傑作。
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クリストファー・ノーランの第2次世界大戦映画。異なる時間軸の3つの出来事を同時に描写・進行するという大胆な構成。その分それらが交わった時は感嘆します。CGでなく実物にこだわったノーランの演出が光る。出てくる役者のうちあまり有名でない人たちを僕は別の人だと思っていて、エンドクレジットで自分の俳優認識力に危惧を抱きました。
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リドリー・スコット監督による「プロメテウス」に続く「エイリアン」前日譚第2弾。前作は割りと宣伝などでも「エイリアン」前日譚であることは触れないようにしていた気がするが、今回はタイトルにも出ている通り正真正銘「エイリアン」関連作。ただしあくまでスコット監督作品である「エイリアン」1作目との関連のみであって、ジェームズ・キャメロン以降のエイリアンシリーズとはまた別のようだ。作品はより我々の知っているエイリアン(ビッグチャップ)に近いクリーチャーが登場するがリドリーの心はすでにマイケル・ファスベンダー演じるアンドロイドに向いている模様。一応「エイリアン」の10年ぐらい前という設定だったはず。ここのクルーの杜撰な検疫仕事があって1作目のリプリーの非情とも言える厳しい検疫があるのです(多分)。
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競技なぎなたに打ち込む女子高生を描いたこざき亜衣の同名マンガの映画化。僕はこの映画でメインの役どころの多くを務める乃木坂46目当てのアイドル映画として観に行ったのだが、一応事前に原作も読んではいて、かなり忠実に丁寧に作られた良質な青春部活映画だと思いました。ちなみにこの映画のクレジットを見るまで江口のりこと安藤サクラの区別がついていませんでした(こちらに出てるのは江口のりこ)。あと中村倫也出演シーンは福田雄一演出かと思ってしまった。
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- ドリーム
マーキュリー計画のNASAで活躍した知られざる黒人女性たちを描いた作品。原題は「Hidden Figures」で「隠された数字たち」とかそんな感じ。フィギュアには「人形」の意味でも用いられるように「人間」の意味もあり、初期の宇宙計画に貢献しながらこれまで知られていなかった黒人女性たちのことでもある。邦題は当初「私たちのアポロ計画」という副題が付いていて、マーキュリー計画を舞台としているのにさすがにこれはないと議論を呼び結局副題が削られる形となった。実際の当時のNASA は映画で描かれているほど黒人差別、女性差別があったわけではないようだが、細かい描写が心に刺さる。
で、ですね。この邦題の副題は議論を呼んだけれど、観た上でいうとやっぱり「私たちのアポロ計画」はありえないですね。「ドリーム」の邦題は時が過ぎれば他の作品に埋もれてしまうような味も素っ気もないタイトルだけど、この副題はNGです。そのうえで原作となったノンフィクションの「NASAを支えた名もなき計算手たち」を副題にすればよいのにと思いました。
ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち (ハーパーBOOKS)
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- ソウル・ステーション/パンデミック
「新感染」と同じ監督による前日譚。というかこちらが作られてその続編として実写映画の「新感染」が作られたのですな。アニメ映画だけどほぼアニメを見ているという感覚はなしに驚くほど実写の感覚で見れる。また絶望度はアニメのこちらのほうが強いです。
10月
- 猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)
新しい「猿の惑星」シリーズの第3弾。僕は前作の感想で「次は聖書のエクソダス(出エジプト)をモチーフにした物語となるだろう」と書いたけれど、ほぼそれが当たった。この新シリーズはあくまでリブートとして新しく作ったものであって1966年からの「猿の惑星」の前日譚ではない、と理解しているのだけれど、一方で過去シリーズへのオマージュなども多く、今回はなぜ人間は言葉を失ったのか?という事への原因も描かれる。
一応はシーザーサーガもこれで終了、有終の美を飾った。ちなみに僕は感想記事のタイトルとして「Great EscAPE」という「大脱走」からの駄洒落を考えていたのだけれど結局書けずじまいでした…(タイトルにするぐらいなので「大脱走」オマージュと言えるシーンあります)
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実録ホラー「死霊館」シリーズのスピンオフ第2弾。この映画を観ることで正直そこまで良い出来では無かった前作も見直したくなる作品。「アナベル」シリーズとしてはこれで終わりかな?と思うけれど、本編「死霊館」やまた別のスピンオフはこれからも続きそうです。
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こちらも週刊少年ジャンプの人気連載作品麻生周一の同名漫画の映画化。「銀魂」同様福田雄一監督作品。主演は漫画映画御用達山崎賢人だが、ほかはほぼいつもの福田組。原作の方は、2,3年前から読み始めたので全部読んでいるわけではないが、基本は一話完結のギャグ漫画。「銀魂」のように時々シリアスな長編ストーリーものになるとかもないようだ。映画も特にこれといった物語はなく、高校の文化祭を舞台に超能力者斉木楠雄を主人公としながらその周辺の奇人変人たちの身に起こる出来事をスケッチとしてつないでいったもの。そのためここは福田雄一脚本の弱点だと思うのだが、物語の特にオチが弱い。最も「変態仮面」以上に物語はあってないようなものなので、「モンティ・パイソン」系のコントスケッチ映画だと思えばいいのかも。橋本環奈は同世代のアイドル・女優が少女漫画の実写映画などでヒロインを演じる中、少年漫画の実写化作品で変顔を晒し続けてるので偉いな、と思いました。
- ブレードランナー2049
伝説のSF映画「ブレードランナー」の約30年ぶりの続編。僕はそれほど大好きな作品では無かったけれど、それなりに観てはいて、設定とかで一部疑問に思ったところもあったけれど、この続編はその期待には十分応えたのではないでしょうか。ただ映画は淡々としていて、しかも上映時間が長いので興行的には振るわなかったそうで、そんな部分も前作譲り。人造人間レプリカントとバーチャル彼女の逃避行。涙なしには見れません。
ブレードランナー 2049(初回生産限定) [Blu-ray]
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11月
ここはまだ感想書く気が満載なのでまたあとで。MCUのシリーズの中でも「ソー」は一作ごとに雰囲気がガラッと変わりますね。
マイティ・ソー バトルロイヤル (オリジナル・サウンドトラック)
- アーティスト: MARK MOTHERSBAUGH
- 出版社/メーカー: Hollywood Records
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- IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。
スティーブン・キングの代表作「IT」の映画化。27年毎にデリーの町に現れ子供たちを殺していくブギーマンピエロのペニーワイズの恐怖を描いた作品。過去にはTVドラマとして映像化されおり、そこから27年ぶりの映像化となる。TVドラマの方は現在を舞台に過去を回想する形で主人公たちの少年時代が描かれたが、本作はシリーズ化することを前提に回想ではなく少年時代のみを映像化。原作及びドラマと大きく違うところは時代設定で、原作が刊行された1986年よりもあとの1988年を少年時代として設定している(原作では1960年代)。
ペニーワイズはスカルスガルド家の新たな刺客、ビル・スカルスガルド。若くイケメンの長身なのでドラマのティム・カリーよりルックスは最初から怖い。そして結構チャラチャラしている。
作品はホラー要素を除けばほぼ「スタンド・バイ・ミー」なので青春劇としてもよく出来ています。こどもたちが自転車をスタンド立てせず、倒すのはまだいいのだが、みんな道路の真ん中に倒すのはどうなのかな?(そんななかでもきちんと脇にスタンドで立てる少年がいたりしてそういうとこで個性を描くのは見事だな思いました)今後はチャプター2として大人時代もあるはずなのでそちらも期待。
こちらはTV版。
- シンクロナイズド・モンスター
無職のダメ人間アン・ハサウェイは彼氏に愛想尽かされ田舎に帰るが、同じ頃韓国ではソウルに巨大な怪獣が出現。アンは自分が朝方の公園でした動きと怪獣の動きがシンクロしていることに気づくが…。
同棲、もしくはそれに準じるカップルの男のほうが無職のダメ人間で、映画の冒頭で彼女に追い出される&別れを切りだされるところから始まる作品は何本も観たけれど(「モール・ラッツ」「ハードロック・ハイジャック」など)、女のほうがダメ人間というパターンの映画は始めて観たかも。怪獣要素抜きのダメ人間サスペンスコメディでも面白かったと思う。ただもちろん怪獣要素も結構しっかりしていました。
【映画パンフレット】 シンクロナイズドモンスター 監督 ナチョ ビガロンド キャスト アン・ハサウェイ, ジェイソン・サダイキス, ダン・スティーブンス,
- 出版社/メーカー: アルバトロス
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- GODZILA 怪獣惑星
ゴジラシリーズの初のアニメ映画。ゴジラ他怪獣が現れて人類は地球を脱出、何故か地球人を手助けしてくれる異星人2種族とともに新天地を求めて宇宙を彷徨うこと20年。結局何のせいかも出せず地球に戻る事になったが、地球ではもう何万年も経っているのであった。
設定的にこれ人類が侵略者じゃね?と思ったりするのだが、なんとなく「進撃の巨人」を随所に思わせる作品。結局ゴジラとその眷属のみが地球の支配者となって他の怪獣はゴジラに敗れたということらしく、「怪獣惑星」と言うタイトルのわりに冒頭以外他の怪獣が出てこないのは不満。とはいえアニメならではの見せ場も多く、ゴジラ作品としてどうか?と言われれば返答に困る部分もあるが、映像作品としては大画面、大音量で観るに値する作品。続編もあるのね。
LAIKAのストップモーションアニメーション作品。一応日本を舞台にしたファンタジー。とにかう描写が細かく丁寧で驚きに溢れているので何度観ても飽きない。同じLAIKA作品としては僕は「パラノーマン」の方が好きだし、今年の作品なら「パラノーマン」と同系統の物語とも言える「IT」の方が好きだけど、こちらも傑作です。
字幕と日本語吹替版と両方観たけれど、日本を舞台に日本的な風俗・衣装などが多く登場するので個人的には日本語吹替版がオススメです。特に冒頭の口上は(日本人なら)日本語吹替のほうがよいでしょう。川栄李奈さんが予想以上に上手です。
オリジナル・サウンドトラック「KUBO クボ二本の弦の秘密」
- アーティスト: サントラ,ジョージ・ハリソン,AKIRA INOUE,ダリオ・マリアネッリ
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2017/11/15
- メディア: CD
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DCFU(DCEUではなくなったらしい)のこれまでの作品としては予想以上にちゃんとしてます。もっとカオスな出来になるかと思ったのに。ただ人間贅沢なもので上手くまとまっているとそれはそれで物足りない。苦味や雑味も料理には必要なのです。こっちもまだ公開中だしちゃんとした感想書きます。
- アーティスト: サントラ,TJ リンドグレン,ジェフ・ザネリ,ピナール・トプラック
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
- 発売日: 2017/12/06
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12月
安定のシリーズ第3弾。アクションはそれなりに凄惨で暴力的だけどバイオレンス過ぎず。もっさりでも早口でもない明瞭な会話。基本はシリアスな物語だが常にユーモアが作品全体に漂い、でもそれがでしゃばりすぎて邪魔になることもない。またとにかく出演者が一番楽しんでいる空気も伝わってきて最大公約数的に万人が楽しめる映画。
傑作!!!観て!
仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイド with レジェンドライダー オリジナルサウンドトラック
- アーティスト: ats-,清水武仁&渡辺徹(tearbridge production),中川幸太郎川井憲次
- 出版社/メーカー: avex trax
- 発売日: 2017/12/08
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個人的には残念な一作。もちろん好き嫌いは人それぞれなのだが、個人的にスターウォーズで最も好きなキャラクターがまったくリスペクトのない死に方をしたので、他にどんな良い部分があってもダメです。こっちも一本の記事書く予定。
スター・ウォーズ/最後のジェダイ オリジナル・サウンドトラック
- アーティスト: V.A.
- 出版社/メーカー: WALT DISNEY RECORDS
- 発売日: 2017/12/15
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ジャッキー×インド!予告編からめでたい作品なのはまるわかりだっったので年明け一発目に鑑賞しようかと思ったけれど、諸事情で公開初日に。ジャッキー映画としては最近だと「ライジング・ドラゴン」を思わせるアクションとしてはそれほどエクストリームではないけれど、もちろんそれなりに魅せてくれて(建物から落ちるみたいなのはなくなった代わり小道具を使ったアクションが冴える)、また若い俳優の育成みたいな部分もありますね。とにかくストレスがないということでは「トリプルX:再起動」にも似た、ただある一点においてはそれを凌駕する部分もある作品でした。
- バーフバリ 王の凱旋
これから(30日15時頃)観ます!バーフバリー!!!
一応「バーフバリ」観て2017年の映画鑑賞はラストです。で大晦日に紅白見ながらベスト記事を書きたいと思います!
反省として排水口に逃げ込むペニーワイズ(ティム・カリー版)さん。
*1:日本だけでなくアメリカでもメガトロンをもじったベイトロンと呼ばれているのだ
時をかけるので永遠不滅!な映画オールタイムベストテン!(2017年12月現在)
寒い中コウモリ退治に勤しむペンギンさんとキャットウーマンさん。
2017年ももう終わろうかというこの頃、またしてもすっかりブログ更新が滞っておりました。いやまあ映画はたくさん(と言っても週一程度)観ていたんですよ。でもあまりに寒いので椅子に座ってキーボードを叩くのも辛かったりしたのです。と、言い訳はさておいて、長期間の更新停止が続いたあとはそうです、ワッシュさん( id:washburn1975 )さんのランキング企画です。今年は「映画オールタイムベストテン」!
ワッシュさんはブログを始めて12年、恒例のベンストテン企画が2007年からで10周年ということです。僕なんかまだブログ始めて9年なのでまだまだですね。9年ということは2007年時点の企画には当然参加していない(自分が参加したのは2009年の「映画ゼロ年代ベストテン」から)わけで、オールタイムのベストテンとしては今回が初参加ということになります。というわけでやってみましょう映画オールタイム・ベストテン!
今回はワッシュさんが定めたルール以外の自分で決めたルールは特に無し。とにかく現時点で大好きな作品、よく見返す作品、この映画ならいくらでも語れるという作品を選びました。悩みに悩んだというよりはもうパッと頭に浮かんだ作品たち。あくまで2017年12月現在のベストテンということで、来年はもちろん明日にはやっぱりこっちのほうが・・・とかあるかもしれませんが、とりあえず以下のようになりました。
- バットマン・リターンズ(1992年 アメリカ ティム・バートン監督)
- マッドマックス2(1981年オーストラリア ジョージ・ミラー監督)
- 悪魔のいけにえ(1974年 アメリカ トビー・フーパー監督)
- 大脱走(1963年 アメリカ ジョン・スタージェス監督)
- 荒野の七人(1960年 アメリカ ジョン・スタージェス監督)
- ブレックファスト・クラブ(1985年 アメリカ ジョン・ヒューズ監督)
- 時をかける少女(1983年日本 大林宣彦監督)
- 小さな恋のメロディ(1971年 イギリス ワリス・フセイン監督)
- パラノーマン ブライス・ホローの謎(2012年 アメリカ サム・フェル&クリス・バトラー監督)
- ゴジラ(1954年 日本 本多猪四郎監督)
上位3作品は不動(3作品内で上下はあり)。4位&5位は普段最もたくさん見返す作品。6~10位は気分によるので来週には別の作品のほうが好き!ってなってるかもしれませんがそれでもやはり大好きな作品、といったところでしょうか。それでは各作品ごとに簡単に(すでに過去記事で作品感想・解説がある場合はそちらへのリンクも)。
まずは1~3位。
- バットマン・リターンズ
前作である1989年の「バットマン」も含め、自分が映画鑑賞というものを一生の趣味としようと決めた作品。特にこちらの「リターンズ」の方は毎年クリスマスが近くなると見返す作品です。
バットマンの映画化作品としては2008年の「ダークナイト」のほうがよく出来ていると思うし、ティム・バートンの映画の中から順位をつけるなら「シザーハンズ」と「ビッグ・フィッシュ」が1位と2位になる。でもそれらをひっくるめて一番大好きな映画といえばこの「バットマン・リターンズ」なのです。コウモリ、猫、そしてペンギンの格好をした変人たちが互いに憎みあったり愛しあったり、とてもまともな作品とは思えませんが、これが心を締め付けるのです。その歪み具合からも偏愛すべき一本。 「シザーハンズ」「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」とともに「バートンのクリスマス3部作」(この3部作自体は僕が勝手に言っている括り)の一本。
日本の漫画作品「北斗の拳」にも強い影響を与えたバイオレンスSF作品。前作からうって変わって文明の崩壊し石油を巡って弱肉強食の闘いが繰り広げられる世界。そこで一人彷徨うマックスの物語。物語は単純ながら力強く神話的。主人公は寡黙ながら強い印象を残します。2015年には待望の続編「マッドマックス 怒りのデス・ロード」も制作され再び見るものの度肝を抜きました。
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マッドマックス <ハイオク>コレクション(初回限定生産/8枚組) [Blu-ray]
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トビー・フーパー監督の芸術的にも価値の高いホラー映画の傑作。テキサスを旅する若者たちが突然食人鬼一家の犠牲になる!
人皮をかぶったチェーンソーを振るう殺人鬼はその後のホラー映画に大きな影響を与えました。おそらく監督の資質的には続編の「悪魔のいけにえ2」などの狂騒的なホラー映画のほうが本来の志向なのだと思います。多分この作品はあの時、あの場所でなければ撮られない作品でしょう。
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以上1~3位は20年来の僕のベストスリーで、おそらくもう一生変わらないでしょう。いずれも同じ監督によるシリーズ1作目(「悪魔のいけにえ」は2の方)も含めて大好きです。
この3作はそれぞれ何らかの形で今もシリーズが継続中。バットマンはクリストファー・ノーランの3部作のあと今はDCFUとして映画に出演中。「悪魔のいけにえ」は続編が3作作られたあと、リメイクシリーズが2作作られ、2013年には1作目の直接の続編として「飛びだす 悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲」が作られました。そして「マッドマックス」は「怒りのデス・ロード」の衝撃も記憶に新しいところ。これらは新作のほうが好きだという人も多いかと思います。とはいえ僕にとってこの三本は単に作品の出来以上に十代の最も多感な時期に見たということも大きく、人生に影響を与えている作品です。
続いて4位&5位。
- 大脱走&荒野の七人
ジョン・スタージェス監督による作品が4位5位。「荒野の七人」は黒澤明の「七人の侍」の西部劇リメイク。ここでスティーブ・マックィーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーンなどが人気を博し、そのまま「大脱走」でも重要な役を務めることとなります。どちらもオールスター映画。それぞれ個性豊かで魅力的なはぐれ者達にによるチーム物という点でも共通ですね。
とにかく暇さえあれば見返している2作品。シリアスながらもどこかカラッとしているゲーム的な部分も高得点です。「荒野の七人」は「マグニフィセント・セブン」としてリメイクされ、こちらも良い作品でしたが、やはり選ぶならオリジナルの「荒野の七人」です!
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後半戦。
- ブレックファスト・クラブ
ここからしばらく青春映画が続きます。まずは「ブレックファスト・クラブ」。高校におけるスクールカーストというものを知らしめた作品。それぞれ違う集団(カースト)に属する5人の生徒が問題をおこし、放課後に集められ反省文を書かされることに。普段は互いに挨拶もしない5人はやがて自分をさらけ出していき…
90年代以降はファミリー映画の旗手として知られたジョン・ヒューズですが、80年代は青春映画の旗手だったのです。僕はこの映画の主題歌シンプルマインズの「Don't You(Forget About Me)」が流れると自然と涙腺が決壊する仕様に身体がなっているので、泣かせたいならこの曲ですよ!(そういうことじゃない)
Simple Minds: Dont You Forget About Me
筒井康隆の同名小説を大林宣彦が映画化した「尾道三部作」の2作目。筒井康隆の「時をかける少女」は何度も映像化され(この大林宣彦版は映画化としては最初だが、映像化としては二度目)、この後もその時代を代表する女優・アイドルを主演に迎え作られてきましたが、やはり決定版はこの原田知世主演の大林宣彦版でしょう。
映画の魅力はたくさんありますが、まずは原田知世につきます。主題歌はもちろん、劇中の「桃栗三年柿八年」の歌も途中のセリフまで含めて空で言えるぐらい好きです。原田知世は時をかけるので永遠不滅!
ワリス・フセイン監督の、というよりアラン・パーカー脚本といったほうが通りが良い恋愛映画。イギリス本国やアメリカではヒットせず、日本ではなぜか大ヒットしたという作品。もちろん僕はリアルタイムで当時のことなど知らないが、まあ作品内容(小学生の恋愛)的に欧米よりも日本で受けたというのは分かる気もします。とはいえ、内容的にはポルノ的な要素は全くなく、純愛を描いた作品、そしてそれだけでなく大人と子供の対立、イギリスならではの階級社会など一恋愛映画にとどまらない要素を含み、でもけっして深刻ではなく最後は痛快に終わっているのもこの映画の良い所(その意味では日本でこの映画に近いのは「ぼくらの七日間戦争」かもしれない)。全編を彩るビージーズの楽曲も素敵です。
オールタイムのベストというとどうしても子供の頃から10代にかけて見て強烈な印象を残した作品というのが多く、大人、それも30を越えてから観たような最近の作品は質的に出来がいいことはわかっていても、どうしてもランク外になってしまう事が多いのですが、そんな中でも一番新しいのがこの「パラノーマン」。SF映画などの特撮技術としてはもうほぼ使われなくなってしまったが、人形劇として逆に実写やCG,通常のアニメでは表現し得ない独特の手段として確立したストップモーションアニメーションによる作品。制作会社のライカはバートンの「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」などを手がけたスタッフが設立し、ヘンリー・セレックの「コララインとボタンの魔女」で名を知らしめました。最新作は中世の日本を舞台にしたファンタジー「KUBO 二本の弦の秘密」で、こちらも素晴らしいですが、個人的に一番好きなのはこの「パラノーマン」多数のホラー映画のオマージュもありながら、最後は互いに分かり合うことを目指した物語は何度見ても感動的です。
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最後は怪獣映画「ゴジラ」。こちらは邦画では多分一番多く見返していて、「削るところも増やすところもない完璧な映画」といういう印象を僕は持っています。第1作から60年を越えて今なお愛され、かつその作品テーマは輝きを失わない。日本では「シン・ゴジラ」、ハリウッドでもモンスターバースの「GODZILLA/ゴジラ」が作られましたが、本作は一作目にしてマスターピースなのです。
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こちらの記事で「ゴジラの東京襲撃ルートは東京大空襲におけるB29編隊のルートと同じ」というようなことを書いたのですが、どうも間違っているというのが最近…。定説のようになっていたので特に疑いせず書きましたが、もし明確に間違いだとわかれば修正等するかもしれません。
というわけで以上オールタイム・ベストテン映画でした。この10本を挙げたあと思い出した作品に「キング・コング(1933年版)」「ムーラン・ルージュ」「スターシップ・トゥルーパーズ」「ダーティハリー」「続・夕陽のガンマン」「猿の惑星」などがありますが、6位以下は先に頭に浮かんだ作品優先。あくまで2017年12月現在のランキングであることは繰り返し書いておきましょう。とはいえ6~9位と青春映画とでもいえるものが続いたのは自分でも意外ではありました。
以前のランキング企画はこちら(それ以前はその記事からさかのぼっていただけると助かります)。
susahadeth52623.hatenablog.com
susahadeth52623.hatenablog.com
ブログはサボりまくっていましたが映画はたくさん観ているし、感想書きたい作品もたくさんあって、もう公開終わってしまったようなのはともかくまだやってる作品は幾つか書きたいとは思います(年内に3本書ければ御の字かな)。そのあと一応の劇場鑑賞映画下半期リストと2017年のベストの記事を挙げて終わりですかね。
水をくれ。氷入りの水だ・・・
悪魔が紡ぐ世界 アナベル 死霊人形の誕生
その昔から人を象ったものには魂が入りやすい等と言われていて、人形は単に愛玩道具としてだけでなく死んだ人の身代わりとなる、なんて例も多い。日本の髪の伸びる日本人形から映画「チャイルド・プレイ」シリーズのチャッキーまで人形を扱った心霊ホラーもたくさんある。今回はそんなホラー映画の一つ。「死霊館」シリーズ第4弾、外伝的ストーリーとして人気も博した「アナベル」の第2弾「アナベル 死霊人形の誕生」を観賞。
物語
1945年、カリフォルニア州で人形工房を営むマリンズは妻と一人娘と慎ましく暮らしている。しかし教会からの帰り道娘のアナベルは交通事故で帰らぬ身となってしまう。
1957年、孤児の少女たちがシスター・シャーロットに率いられマリンズ邸にやってくる。孤児院が閉鎖されたことで新たな行き先を探していたところマリンズが屋敷の提供を申し出たという。寝たきりだというマリンズの妻の部屋などいくつ入ってはいけない部屋以外は自由に使って良いと言われ興奮する少女たち。しかしポリオによって足が不自由なジャニスは屋敷に住む不穏な存在を感じ取る。
夜中、ジャニスは入ってはいけないと言われた部屋の鍵が開いていることに気づく。何かに誘われるようにその部屋に入ったジャニスはそこで謎の人形と出会う……
原題は「ANNABELLE CREATION」で「アナベル 死霊人形の誕生」はほぼ原題のままといってよいかと思う。「CREATION」には「創造」というような意味もあるがこれは単に人形を誰が作ったか、というのとそれが何故悪魔の取り憑いた死霊人形となったか、という2つの意味があるのであろう。前作の感想記事はこちら。
susahadeth52623.hatenablog.com
もともとこのシリーズは実在する心霊研究家ウォーレン夫妻の彼らが体験した出来事に基づく物語。それが本当に超常現象だったかどうかはともかく、基本的には実際に起きた出来事に基づいている*1。アナベル人形も実在し、「死霊館」冒頭で描かれる事件は現実に起きたものを元にしている。ただ、「死霊館」本編で物語に関わってくることは殆ど無く、基本的にはウォーレン夫妻の家に設置された心霊博物館に陳列されているにとどまる。メインの心霊事件に共鳴したかのような描写もあるが、あくまでも映画を彩るワンポイントに過ぎない。ただそのインパクトは強烈でメインでないにも関わらずいくつかあるポスターの一つを飾っていたし、自身の主演作を経た「死霊館」続編ではより存在感を増していた。
ウォーレン夫妻を主人公とした「死霊館」シリーズは第3弾も予定していて(長期シリーズ化が可能なぐらいウォーレン夫妻がこれまで関わって収集したオカルト事件は興味深いエピソードが満載だそうだ)、そこでは実在した事件がモデルとなるのであろうが、本作自体はオリジナル。「死霊館」冒頭のエピソードそのものは実在のものだが、それ以前のアナベル人形については不明で、前作や本作のエピソードはもしかしたらまた別の事件が参考にされていたりするのかもしれないが基本的にはオリジナルだろう。このウォーレン夫妻が実際に携わった事件、とオリジナルの外伝という二本柱でこのシリーズは成り立っている。
前作は1969年が舞台(「死霊館」では冒頭のアナベル事件(アナベル1作目→「死霊館」冒頭の順)が1968年になっているので矛盾が生じる)だったが、今回はそこから更に12年遡る1957年がメインとなる。オープニングはそこから更に12年さかのぼって1945年、人形師の娘アナベルの不慮の事故が序章となる。これらの年代は過去のシリーズと12年前という説明から判断し、後でパンフレットで確認。観てる時は正直いつなのかわかりにくかった(田舎の一軒家が舞台なので服装などの風俗からの判断も難しかった)。
本作はとにかく構成が見事で、本作単品でも面白いのだが、この続編によって前作を輝かせる。前作は普通に面白かったけれど、特に傑出した出来とは思わなかったが、本作を観た後前作を見なおせば新たな発見があり、また評価も変わってくるのではないかと思う。
前作は若い夫婦の特に妻のほうが主人公だったが(余談だが、この主婦をアナベル・ウォーリスが演じていてアナベル対アナベルであった。あとこのアナベル・ウォーリス、トム・クルーズの「ザ・マミー」のヒロインだったんだけど全然気づかなかった)、「死霊館」2作や本作では年端もいかぬ少女がオカルト現象の中心となる。で、最初に二人の少女が登場した時、主人公となるのは目鼻立ちがくりっとしたこれまでの少女たちジョーイ・キングやマディソン・ウルフを連想させるリンダという少女がメインだと思ったら、ジェニファー・ローレンスに似た、正直ちょっと地味(ただし気は強そう)なジャニスの方が中心となる。ジャニスとリンダは大の親友で、一緒に引き取られなければ養子を断ろうというぐらいの仲なのだが、他の4人の孤児(二人は年長でもう二人は同年代)とは少し距離を置いている。さらにジャニスはポリオによって足が不自由なためさらに孤独を募らせていく。悪霊はそういう孤独につけ込むのだ。
アナベルに取り憑いた者が亡くなった少女の霊などではなく、悪魔そのものであるというのはもう「死霊館」冒頭で示され、前作「アナベル 死霊館の人形」でも提示されていたのだが、それでも本作でまたもや亡くなったマリンズの娘アナベルが憑いたと錯覚させる。実際にはやはり悪魔がアナベルの名を騙り人形に憑依する許可をマリンズ夫妻に求め、娘が帰ってくるのならとそれを許可したがその途端悪霊の本領を発揮したため封印した、という経緯を持つ。
ホラー映画としてみた時に、見事なのは実はアナベル人形そのものが直接動くことは殆ど無い。なんなら悪魔が黒子のごとく持っている描写はあっても直接誰かを攻撃する描写はないのだ。にも関わらず、まるで人形そのものが生きているような後味を覚える。
そしてジャニスが悪魔に魅入られ、主人公がジャニスからリンダに交替。この交代劇も見事なのだが、さらに見事なのはジャニスのその後。姿を消したジャニスは別の孤児院でアナベルを名乗りヒギンズという夫妻に引き取られ育てられる。12年後成長したアナベルはカルト教団に入信し、恋人共に養父母を殺害。発見された時腕には隣の家から盗んだアンティークの人形を抱えていた……果たして人形とジャニスが同じ場所に集ったことで起きた悲劇なのか、それともそんなものと関係なく事件は起きる運命だったのか。そもそも人形とジャニスが12年の時を経て集ったのは本当に偶然だったのか?
こうして物語は前作につながる。この構成には思わず歓声を上げそうになった。小野不由美の「残穢」の岡谷マンションの歴史がひとつにつながった時に感じた興奮に似た何か。本編も面白かったが、このラストでホラー的な興奮と言うよりは歴史物を見ているような知的興奮を味わった。
この映画にはもうひとつ仕掛けが合って、劇中でシスター・シャーロットがスペインの修道院を訪れた時に撮った記念写真をマリンズが見るシーンがある。そこにはシスター・シャーロットとスペインの修道尼のほか尼の格好をした別の何かも写っていて、マリンズはシスターに尋ねるがシスターは知らないと答える。この謎の尼僧こそ「エンフィールド事件」で出てきた悪魔ヴァラクである。こうして「死霊館」と「アナベル」すべての事件がつながった。実は「死霊館」シリーズのスピンオフ第2弾としてこのヴァラクに焦点をあてた作品「The Nun(尼僧)」が予定されている。おそらく50年代のスペインを舞台にした物語となるのだろうか(さらに「エンフィールド事件」で登場した「ねじれた男」を主人公とした映画も予定されているそうです)。
official Trailer of Annabelle: Creation (2017)
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で、本物のアナベル人形である。過去にも「死霊館」や前作の記事で紹介したように実際のアナベル人形は映画に出てくるような木製のアンティーク人形ではなく、布製の抱き人形。これは「ラガディ・アン」というアメリカでは1915年から現在も発売されている人形とその人形を主人公とした絵本でアメリカはもちろん日本でも強い人気を誇るのだそう。
このラガディ・アン自体は全くオカルト要素はないのだが、「死霊館」「アナベル」を通した目で見るとその「誕生のエピソード」がなかなかホラーとして読めないこともない。実家の屋根裏で発見したボロボロの人形を直したのが元だとか、それで遊んでいた娘が13歳で亡くなってしまうとか。
自分でも驚くぐらい、このシリーズ好きみたいです。
*1:何度も言っているように僕はフィクションの題材としては心霊含めた超常現象は大好きだけど実在のもととしては全く信じていません
家路へ 新感染&ソウル・ステーション
最近はトビー・フーパー、ジョージ・A・ロメロとホラー映画の巨匠の訃報が相次ぎ、僕も大好きな作品の監督なので軽く落ち込んだり。ちょっと一時代の終わりというか象徴性も感じます。一方で新しい作り手も出てきているわけで、今回はそんな新しいホラー映画として韓国の作品を。昨年話題になった韓国製ゾンビ映画「新感染ファイナル・エクスプレス」とその前日譚であるアニメ映画「ソウル・ステーション/パンデミック」を観賞。
ソウル・ステーション/パンデミック
物語
夕暮れのソウル駅。ホームレスの老人が首から血を流す大怪我をしながら駅構内のねぐらへ向かう。老人の弟はそれに気づき様々な助けの手段を講じるが全て梨のつぶて。やがて老人は死亡してしまう。弟が駅員に訴え死亡した現場に赴くとそこにあるはずの老人の遺体が亡くなってしまっていた。老人を裏路地で見つけた弟だったが、老人は人を襲い食べていて、弟にも襲いかかってきた!
家出少女ヘスンは自分に身体を売らせて日銭を稼ごうとする恋人キウンと喧嘩をして駅をうろついていた。一方キウンはキウンが勝手にネットに載せた売春広告を見てやってきたヘスンの父と名乗る男と出会う。父にこっぴどく怒鳴られ、とりあえず拠点にしている安宿でヘスンの帰りを待つことに。しかし宿では女将が客を襲い、それを目撃したキウンたちにも襲いかかってきた。なんとか部屋の外へ出ると外には同じような者達が多数徘徊している。なんとか自動車まで辿り着いた二人はヘスンを探すこととするのだった。
一方ヘスンは駅で凶暴化した者達に襲われホームレスたちと一緒に交番へ駆け込む。最初はホームレスだからとバカにしていた警官だったが、やがて交番にも押し寄せヘスンたちは留置所へ逃げ込むことに。果たしてソウルで何が起きたのか?そしてヘスンたちは助かるのか?
製作及び韓国での公開順は「ソウル・ステーション」「新感染」の順番だが、僕はまず「新感染」を観て、その後「ソウル・ステーション」を観た。で、「ソウル・ステーション」を観た後勢い余ってもう一度「新感染」を観た形。もちろんどっちを先に観ても問題なく楽しめるが、やはり制作順通りに観たほうがより物語は理解しやすいように思う。例えば「新感染」でソグたちが乗車してから車両内のニュースでデモを鎮圧、というニュースを見るが、このデモの正体は「ソウル・ステーション」の方を観ていれば分かる。
でこの2本の作品はともにヨン・サンホ監督作品で多少矛盾はあるのかもしれないが同じ世界の物語であり時間的にも両作品は前後して交差している。ただ同じ監督、同じ世界観、同じゾンビが出てくる映画であってもこの2本はかなりテーマ的な部分で異なる部分があり、それが自分には興味深かった。
韓国のアニメ映画、というのをきちんと意識して観たのはおそらく初めてだと思うのだけれど、個人的に全くアニメを見ているという意識が無かった。もちろんアニメならではのカットやシーンもあるのだけれど、驚くほど普段の韓国の実写映画を見ている感覚で観ていた。絵柄的には確かにキャラクターの等身も高くリアルな絵柄ではあるんだけど、おそらくこの絵柄で日本で作られると動きにしろ会話にしろもっと淡々とした感じになるのではないか、と思った。でもこの映画では韓国人の喜怒哀楽の激しい部分がそのままアニメになっても生きている感じ。リアルな表現だが、台詞のやりとりは激しく、でもデフォルメはされていない、そんな感じ。特にお役所や警官の(相手がホームレスだからと)小馬鹿にする感じのやる気のない演技・描写はちょっと日本や欧米のアニメでも、珍しいんじゃないか、と思うぐらい素晴らしい。今回は字幕で観たけれど日本語吹替版も公開されているようです。そっちはどうなってるのかちょっと気にならないでもない。
主演のヘスンを演じているのは「サニー」「怪しい彼女」のシム・ウンギョン。19歳の家出少女で風俗店から逃げ出してきたものの出会った恋人キウンは彼女に体を売らせようとするクズ。ヘスンはホラー映画のヒロインとしてそれなりに強い部分もあるが、根本的に男性に頼らないと生きていけない体質の女性、という風に描かれている。交番から逃げ出した後なぜか初老のホームレスのアジョシ(おじさん)と行動を共にする。そのホームレスが亡くなったあとは電線を伝って逃げようとする男性を見つけ同じ行動を取る(結果その男性を犠牲にして自分だけ助かってしまう)。特にホームレスのアジョシとの行動は何故行動を共にしているのかよくわからない感じ。ふらふらと頼れそうな男性の後を追ってしまう感じだろうか(ホームレスのアジョシはゾンビ化した警官から銃を奪ってヘスンを助けた)。
この「ソウル・ステーション」は上映時間約90分と短め。何故こんな事態に陥ったのか、という部分は全く触れられない。物語的には最初の感染源であろう冒頭の老人ホームレスにしても最初に怪我を負った状態で登場していて、じゃあその怪我を負わせたのは誰なのか?と言う部分には触れられない。ただし「新感染」では描かれ無かった部分も描かれ、むしろアニメといってもこっちのほうが社会的なテーマは深いかもしれない。
「新感染」は邦題が駄洒落になっているようにメインの舞台は韓国のソウルから釜山までの日本でいう新幹線、高速鉄道KTXが主たる舞台となっている。当然一部例外を除いてそれに乗って旅行できるレベルには裕福な人達がメインの登場人物だ。一方で「ソウル・ステーションはソウル駅の近辺を根城とするホームレス、安宿を拠点にその日暮らしをする若者がメインの登場人物。途中ヘスンとアジョシをいちゃついてるカップルと勘違いして罵倒していく(ちょっとアレな)おばさんがこの世の中、社会、国家への呪詛を吐き捨て、こんな世界滅んでしまえばいい!というような事を言うが、「ソウル・ステーション」の方はまさにそんな「この浮世こそ地獄」という感覚でそこに本当の地獄が溢れだしてきた、と言う感じ。物語的にも全く救いはなくまさになんなら生きていくことよりゾンビになる事こそ救い、と受け止められなくもない。
とまれこのアニメ映画が評判となり、続編後日談として「新感染」が制作されることとなる。
新感染 ファイナル・エクスプレス
物語
ファンドマネージャーのソグは妻と離婚して娘のスアンを引き取って暮らしているが、仕事が忙しくてあまりスアンをかまってやれない。スアンは誕生日に釜山にいる母の元へ行きたがっていて、ソグは母の忠告もあり一緒に釜山へ行くことにする。まだ日も昇らない朝方、ソウルでは何やら不穏なことが起きていたようだが無事釜山行きKTXに乗車。ソウルを出発する。直前に乗り込んできた女性が女性乗務員に噛み付き、襲われた者もまた凶暴化し車両内はパニックに。ソグとスアンは屈強なサンファとその身重の妻ソンギュン、高校の野球部のヨングクなどと行動を共にしながら釜山へ向かうKTX内で安全を求める!
こちらは実写映画。先述したように「ソウル・ステーション」は驚くほどアニメ映画というよりも通常の実写韓国映画と同じ感覚で観れたので、この監督が続編を実写で撮ろうと思ったのも納得。ただし同じ世界を描いた作品でも「新感染」と「ソウル・ステーション」は大きな違いもあって、こちらのほうがより前向きで一つのエンターテインメント作品として完成度は高い。
邦題は駄洒落で、原題は「釜山行き」で英語題他の外国語題も概ねこの原題に準じている。副題含めてあんまり良いとも思えないけど、割りとこの駄洒落題は嫌いじゃないかな。ただ中国語題が「屍速列車」で簡潔にして格好いい。せめてこの同じ漢字文化圏、中国語題に負けないぐらい頭を捻って邦題をつけてほしい*1もの。
同じ列車を舞台にした韓国映画ということで「スノー・ピアサー」を連想したりするのだが、「スノー・ピアサー」が列車という閉じた社会で、でもその中でも明確に存在する格差社会を寓話的に描いていたが、その辺の描写はむしろ「ソウル・ステーション」のほうに譲る。「ソウル・ステーション」はソウル駅を中心に同心円上に広がるパニック、という感じだが「新感染」はソウルから釜山まで線状に辿っていく物語。このソウルから釜山へゾンビ禍が南下していく様子は朝鮮戦争の時の北朝鮮軍の進路を暗示している、なんて解説もあって、「ゴジラ」におけるゴジラの東京上陸の進路が東京大空襲の時のB29編隊の進路と同様で空襲、戦争を暗示している、なんてのに通じるところか。
KTX出発間際、感染した女性が乗り込んでくるが、この女性を演じているのがシム・ウンギョン。これはもちろん「ソウル・ステーション」の方で主演している関連である。で僕はこの情報を知って「ソウル・ステーション」を観たので、てっきりこの女性が「ソウル・ステーション」の方の主役ヘスン(の成れの果て)なのかな?と思っていたのだがどうやら別人という扱いのよう。とまれこのシム・ウンギョンがパニックの原因となる。ちなみにこのウンギョンに噛まれる女性乗務員がチャーミングな美人で、てっきりこの人がヒロインなのかな?とか思ったりした。二回目観賞の時も!(この人はゾンビとなってある意味映画を象徴するヒロインみたいな感じになるが)
社会の底辺の人たちがメインである「ソウル・ステーション」と比べるとこちらは比較的社会的地位の高い人たちがメインとなる。その中で描かれる疑心暗鬼の物語は割りと定番で平板な描き方だと思う。自分本位なおっちゃんが出てきたりする。主人公のソグもファンドマネージャーという資本主義社会での勝ち組で最初は自分たちだけ助かろうとしたり、スアンに他人より自分を優先しろと諭したりわりと嫌な人物として描かれているがそれが物語の中で徐々に行動し成長していく。
ソグたちはKTXの中のニュース映像でソウルが凶暴化した群衆によって混乱状態になっていること、暴力的なデモを警察や軍が出動して鎮圧していることなどを知るが、このデモというのはゾンビ化した感染者のことではなく、ゾンビから逃げ出したのに政府から隔離させられその場所から逃げ出そうとすると放水によって押しとどめられる人たちのことだということが「ソウル・ステーション」を見ていると分かる仕組み。
こちらは登場人物も多く、一応パニックの原因と思われる事象にも言及があったり、より詳細にこの世界について描かれている。また主人公が実はこの事態に一枚噛んでいた可能性が示唆されるところは理不尽さより因果応報というふうにも受け止められそう。
列車の中をゾンビをぶちのめしながら前方に進む三銃士。この3人、どうしても西島秀俊、大塚明夫、浅利陽介に見えてしょうがなかった。ちなみに大塚明夫に見えたマ・ドンゾクの日本語吹替の声は大塚明夫ではなく小山力也のようです。
多く出てくる役者は皆魅力的で主人公ソグを演じるコン・ユはハンサムだが他人を見下す感じの前半から、後半の慈愛に満ちた表情への変化を上手く演じているし、子役であるスアン役のキム・スアン(名前が同じというのは演技(act)より反応(react)をさせるためだろうか、とか思ったけれど、この子は子役としてすでに結構なキャリアがある模様)も良かった。何度か書いてるけど、子供が重要な役割を果たす映画って、(役柄というよりも)その子役に好感を持てるかどうかってことが結構重要になってくるのですよ。高校生カップルも微笑ましい(周りの野球部員が素直に祝福している感じなのも良かった)。
後は老姉妹。この姉妹のうちお姉さんの方は普通におばあちゃんという感じなんだけど、口が悪そうな妹の方はちょっと老人というには若いような、40歳ぐらいの人がコント用のメイクで老人を演じている、って感じに思ったのだがどうなんだろう。他最初に美人すぎて僕がヒロインと勘違いした女性乗務員や男性乗務員、運転手なども良いキャラでしたね。
でも一番魅力的なのはチョン・ユミとマ・ドンソクの夫婦だろう。芯の強い妊娠中の妻ソンギョンと大柄で口は悪いけど正義感が強いサンファ。この夫婦がいるだけで映画に力強さを与えている。
ソグ役のコン・ユとソンギョン役のチョン・ユミは「トガニ 幼き瞳の告発」のコンビでもありますね。
この世への呪詛に満ち、人間なんて滅んでしまえ!というルサンチマンあふれる「ソウル・ステーション」と比べると疑心暗鬼、人間のほうが恐ろしい、という展開になれど極限状態でなお生への望み、人間性への希望をつなぐ「新感染」はかなり前向き。それは両作品のラストシーンにも現れているだろう。
この映画に出てくるのはいわゆる「走るゾンビ」。特にただ走るだけでなく結構な運動量を誇り、「ワールド・ウォーZ」ほどではないけれど、個体としてより群体としてのゾンビを見せてくれる。
いわゆるゴア描写もそれなりにあるけれど、いい意味で抑制が効いているというか、そんなにこれみよがしに見せるタイプの描写ではないです。物語的にも前向きで希望を見せて終わるので多分物足りないと思う人もいるだろうけど、その分より多くの人に奨められる作品。
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susahadeth52623.hatenablog.comコン・ユの過去の出演作。
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同じ監督による、同じ世界を描いた2作。その違いばかり強調してしまったけれど、もちろん共通する部分もある。それは「家」だ。ヘスンは地下の線路を歩きながら家出してきた実家に帰りたいと泣く。それを受けてホームレスのアジョシも別に怒鳴るでなく、自分も家に帰りたいけどそもそもホームレスだから家がないんだよ!と泣く。「新感染」でも悪役的立場になったバス会社の重役は感染して自分を失う直前にまるで子供に戻ったように「家に帰りたい」と呟く*2。帰る場=家という構図だが、それは単にノスタルジックな田舎という感じではなく都会であってもいいから家族がいる場所、という風に受け止めた。ゾンビに帰る場所はないが人間にはそれがあるのだ。